日本を代表する山と言えば、ご存知富士山ですね。
標高は3376mを誇ってもちろん日本で一番高い山です。2013年には世界文化遺産にも登録されました。
しかしこの富士山ですが、地図で見てみると静岡県と山梨県の県境に位置していますね。
学校の地理の授業でも習うと思いますが、改めてこの富士山は一体どちらの県に属しているのでしょうか?
実際静岡県や山梨県の人達にとっては、富士山がどっちに属するかで大論争になることも多いようです。
県外の人達にとっては、そんなことで喧嘩しなくてもと思いたくなりますが、両県の人達にとってはかなり大事なお話です。
静岡県民と山梨県民はそれぞれどう主張しているのでしょうか?興味ある方はぜひご覧ください!
富士山は静岡と山梨のどっち?
日本一高い山として名高い富士山は大昔からも多くの日本人の間で親しまれ、国家のシンボルとして様々な芸術作品に描かれています。
ただしその富士山の所在地をWikipediaで調べたところ、静岡県の富士宮市や裾野市、山梨県の富士吉田市など、複数の自治体に跨っていることがわかりました。
そして地図上でも、ご覧のように静岡県と山梨県の県境にあります。
一体全体どっちの県が正解なのか、凄く気になりますよね?
ここでとあるニュースサイトのページで記載されていた、全国の人を対象に行ったアンケート結果を紹介すると
- 富士山は静岡県のものと答えた人が65.9%
- 富士山は山梨県のものと答えた人が34.1%
という結果になっていました。
これを見ると“一般的には静岡県”という認識が強いみたいですね、山梨県の人には申し訳ないのですが...
しかし富士山についての帰属問題を詳しく調べてみたら、
どちらの県にも属さない!
というのが正解となります。
これは一体どういうことでしょうか?白黒つけたいという人にとっては、こんな曖昧な答えだと納得いかないでしょう。
もっと詳しい理由や背景を探ってみました。
富士山の山頂は帰属未定だった?
富士山が静岡と山梨のどちらに属するのか?
山自体が県境に跨っているため、「どちらのものでもある。」という見方もできなくはないです。
ではどっちの県がより多く保有するのでしょうか?
言い換えれば、「富士山の面積の割合が大きいのは、静岡と山梨のどっちなのか?」という問題ですね。
この問題の答えを探るために、実際に地図を見て調べようとした人は多いでしょう。
ということで、国土地理院がインターネット上で公開している「地形図」を見てみました。
すると山頂付近の部分が白く塗られているではありませんか!
実は、富士山頂(通称“剣ヶ峰”)を含む8合目以上の約385万㎡の土地は、現時点では静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間神社の私有地なのです!
当神社の本宮は静岡県富士宮市にありますが、奥宮に関しては富士山の山頂に石碑が建てられており、山頂のシンボルともなっています。
山頂付近が白く塗られていて県境がわからないままということは、面積もどっちの県が占める割合が大きいのか判別できません。
これについての論争は実際に1967年の名古屋高裁で行われました。
そして1974年の最高裁の判決で、富士山8合目以上の土地は富士山本宮浅間神社の私有地であり、その内測候所や御殿場電報電話局などは国有地であると言い渡されました。
ここで「静岡県の神社の私有地だから静岡県のものでしょ!」と単純に考えがちですがそれは誤りで、あくまで神社の社有地と考えてください。
富士山頂を巡っては、静岡と山梨の両県で境界問題は未解決のままとなっています。これについては、2014年1月の記者会見で、両県の知事は県境を定めないことを明言しています。
ただし国土地理院が公開している地図で、富士山頂(剣が峰)を指定すると「静岡県富士宮市」として表示されたことがあったそうです。これについて山梨県から猛抗議を受けて、富士山頂の住所については非表示になりました。
郵便局は例外?
富士山頂に関しては現状「静岡県と山梨県のどちらでもない。」という認識で大丈夫ですが、実は例外となる箇所がないわけではありません。
その例外となる箇所が郵便局です。
正確には「富士山頂郵便局」のことで、文字通り富士山の山頂にある郵便局のことで、所在地は「静岡県富士宮市粟倉地先」となっています。
一体全体こんな場所に郵便ポストを置いて、誰がいつ利用するのか?凄く疑問ですが、兎にも角にもこの郵便局だけは静岡県が所有すると見なすことができます。
その証拠に、この郵便局で作られる風景印にはハッキリと「静岡 富士山頂」と記載されているのです!
これを見たら山梨県の人達は納得がいかないでしょう。
しかし現状富士山頂にある郵便局はこれだけです。山梨県側が対抗して郵便局を山頂に作ることになったら、一体どうなることやら...
両県の主張まとめ
富士山に関しては昔から静岡と山梨の人の間で帰属論争が絶えません。
そこで両県の人達の具体的な主張をいろいろとまとめました。
まずは静岡県サイドです。
- 山梨から見える富士山は「裏富士」だが、静岡から見える富士山は「表富士」である!
- お茶畑と一緒に見える富士山は最高だ!
- 新幹線と海も一緒に見ることができる!
- 登山ルートの数は静岡からの方が多い!
- 宝永4年の噴火で誕生した宝永山が見れるのは静岡から!
次に山梨県サイドです。
- 富士五湖(本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖)があるのは山梨県だ!
- 旧五千円札及び新千円札に描かれた富士山は山梨側から見たものだ!
- 登山者数が最も多い吉田ルートは山梨側にある!
- 富士急ハイランドがあるのは山梨県だ!
- 逆さ富士、赤富士やダイアモンド富士も見れて景観の美しさや種類は静岡以上だ!
いかがでしたでしょうか?
一般的に静岡県寄りなイメージが強い富士山でしたが、こうしてみると山梨県から見た富士山も捨てがたいです。
実際富士山の景観の美しさは本当に素晴らしくて、2012年に放送された『ほこ×たて』というテレビ番組で、「山梨から見れる富士山と静岡から見れる富士山はどっちが美しいか?」を競う企画が放送されました。
結果は「3勝2敗」で山梨県の勝利に終わりました。番組終了後もやはり賛否が大きく分かれていましたね。
番組を見た両県の人達はどういった気持ちで見ていたのでしょうか?
もし自分が静岡県民だとしたら、やっぱりいい気分じゃなくなりますね(;^^)
まとめ
今回は富士山の帰属問題について詳しく解説してきました。
まるで領土問題みたいな感じですが、日本一高い山で尚且つ世界文化遺産にも登録されていますから、帰属問題は大きく揉めるのは致し方ありません。
山頂付近については取りあえずどちらにも帰属しないということにしていますが、非常にデリカシーな問題でもあります。
因みに筆者は静岡を何度か訪れたことはあって、そこで何度も富士山は見たことはあります。山梨側からはないですね。
もちろん山梨側からも一度は見てみたいです!
本当にどっちに属するかは決めるのは難しいでしょうが、仮にも世界遺産でもあるので、静岡県と山梨県の両方で大事に管理・共有し合うという形の方が無難かもしれません。