夏の暑い時期になると体調を崩しやすい人が多くなります。昔と違って冷房環境が整っている家も増えたことから、現代人はすっかり冷房に依存しています。
そうなるといざ外出した時に猛烈な暑さで熱中症になったり、夏バテに苦しむ人が増えます。
特に厳しいのが食欲がなくなることです、あまり食べてもいないのに夏の暑い時期は食欲が減ります。ダイエットには効果的かもしれませんが、健康に過ごすには食事が一番です。
そんな真夏の時期に貴重な栄養源として昔から食されているのがうなぎです。
うなぎは夏が旬というわけではありませんが、昔から7月の後半の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が日本にはあります。
子供の頃はよく家族と一緒にうなぎを食べていましたが、今となってはいい思い出です。しかしなぜ土用の丑の日にうなぎを食べるという風習があるのでしょうか?
そもそも土用の丑の日って何なのか?
またうなぎ以外の食べ物が気になる人もいると思うので、今回はこれらのことについて詳しく掘り下げていこうと思います。
土用の丑の日って何?
「土用の丑の日って何?」と疑問に思う方のために基本的な所から解説していきます。
土用の丑の日とは、土用の間のうち十二支が丑の日という意味ですが、これだけ聞いてもよくわからないという人は多いと思います。
そもそも土用というのは、“土曜日”という意味ではありません。
その昔自分も「土用の丑の日だから土曜日なんだろ。」と誤解していた時期がありました、恥ずかしい(笑)
土用というのは陰陽の五行に由来する暦の雑節で、立夏・立秋・立冬・立春の直前にあたる18日間のことを指します。
つまり1年の内4回訪れるというわけですが、現在では土用といえば夏の土用(立秋直前)を指すことが一般的になっています。
次に丑の日というのは、十二支を1日ごとに割り当ててちょうど丑の順番にあたる日のことを指します。先ほども説明した通り土用の期間は1年に4回訪れるので、18×4=72日あります。
これを十二支で割ると6になるので、十二支は6日ずつ1年に訪れるわけです。夏の土用の期間は18日なので、夏の土用の丑の日が2回訪れる年もあります。(ここ最近は2011年、2013年、2015年とほぼ奇数の年に2回訪れています。)
因みに2017年の土用の丑の日は7月25日とその12日後の8月6日の2回訪れます。うなぎを食べたいという方は覚えておきましょう。
うなぎを食べる由来は江戸時代にあった?
土用の丑の日にうなぎを食べる習慣の由来を探ってみると諸説ありますが、中でも江戸時代の著名な発明家平賀源内が発案したという説が最も有名です。
平賀源内といえば学校の歴史の授業でも習う人物ですが、その平賀源内が知り合いのうなぎ屋の店主から夏になると売上が下がるという相談を受けたのがきっかけです。
なんとかして売り上げを伸ばす手はないかと発案されたのが、「本日丑の日」という貼り紙を店頭に貼っておくという案でした。
なぜ丑の日などと書かれた貼り紙を考えたかというと、実は「丑の日に『う』の字がつく物を食べれば夏負けしない。」などという風習がその当時あったと言われているのが理由ですが、定かではありません。
しかしこの貼り紙を貼ったうなぎ屋は大変繁盛して、他のうなぎ屋も真似するようになりました。こうして土用の丑の日にうなぎを食べる風習が根付いたというわけです。
今の時代でもバレンタインデーにはチョコレート、ホワイトデーにはマシュマロ、節分には恵方巻きを食べるという風習が根付いていますね。
これらは全て企業による商法がきっかけでしたが、土用の丑の日のうなぎに関してもお店が儲かるために広めた商法という点で似ています。江戸時代にもこういった商法の源流があったのですね。
もちろんうなぎにはビタミンAやBが豊富で夏バテ防止に最適な食べ物と言われていますが、実はうなぎの旬は秋から冬にかけてなので若干旨味が落ちているようです。
うなぎを本当においしく食べたいなら立冬の前、つまり冬の土用に食べた方がいいということですね。
※最近の研究では栄養価の高い食品で溢れた現代社会では、果たしてうなぎそのものに夏バテ防止の効果があるのか疑問視する声もあります。
うなぎの健康効果については大昔の日本から知られていましたが、実は遡ると奈良時代の和歌にも登場します。
万葉集にある大伴家持の歌の中に登場しますが、夏痩せに効果のある食べ物としてうなぎを勧めていることが書かれています。
- 石麻呂に 我物申す 夏痩せに よしというものぞ 鰻捕りめせ
- 痩す痩す 生けらばあらむを はたやはた 鰻を捕ると 河に流るな
訳:石麻呂さん、夏痩せには鰻が効くというから食べた方がいいですよ
訳:どんなに痩せようが生きていれば幸せです。鰻を捕ろうとして、川に流されないようにしてください
どちらも親友である石麻呂のために歌った和歌ですが、この頃から既にうなぎは暑い夏を乗り切る栄養食として知られていたことになりますね。
「う」の付く食べ物ならなんでもいい?
うなぎを食べる由来をおさらいしてみると、丑の日に「う」のつく食べ物を食べたら夏負けしないということにあやかった説が有力ですが、これを素直に考えれば基本的に「う」の付く食べ物で栄養がたくさん含まれていれば問題ないです。
すぐに思いつく食べ物といえば梅干しです。梅干しは古くから日本の食卓に欠かせない食べ物で、クエン酸が豊富に含まれています。
白米と一緒に食べるのが恒例となっていますが、酸味によって食欲が増進するだけでなく抗酸化作用もあってアンチエイジングに最適な食べ物と言えます。
またそれ以外にオススメの食べ物といえば瓜(うり)です。夏の季節に食べるウリ科の植物といえばスイカが有名ですが、ウリ科であれば他にもゴーヤやカボチャ、キュウリもその一種です。
特にゴーヤを使ったゴーヤチャンプルーが夏の時期には最適だと思うので、土用の丑の日にうなぎと一緒に食するのもアリです♪
「う」のつく食べ物といえば他にも、ウニやうずら、ウィンナー、お菓子やジュース系飲料まで含めると、うまい棒や烏龍茶などもあります。
個人的にはお寿司屋さんに行って、ウニとうなぎを一緒に召し上がるのはかなりいいコンビネーションだと思います♪
天然うなぎの量が減るとなると頼みになるのは養殖うなぎです。しかしうなぎの完全養殖化はコスト面や生態系などの問題点が大きくてなかなか前進していないようです、果たしていつ頃実現できるのでしょうか?
土用しじみの効果とは?
土用の丑の日といえばうなぎ、というのは凄く有名ですが、実はもう一つしじみを食べる風習もあることをご存知でしょうか?
しじみは夏に旬を迎える魚介類ですが、特に土用に食べるしじみのことを「土用しじみ」と呼んでいます。
この土用しじみはミネラルや良質なアミノ酸、カルシウム・マグネシウム・鉄分など、多くの栄養素が詰め込まれており、昔から腹薬や風邪薬の代用とされていました。
またミネラル類も多くあることで、暑い夏の時期に不足しがちなミネラルを補ってくれるのも助けてくれます。
さらにしじみに特集すべきはその良質なたんぱく質です。
たんぱく質を構成する良質なアミノ酸であるタウリンやアラニン、グリコーゲンが肝臓の働きを助けてくれて、疲労回復や脂肪の取り過ぎから守ってくれます。
「お酒を飲んだ後にはしじみの味噌汁が効果的!」と言われる所以は、こうした肝臓の働きを助けるアミノ酸が豊富にあるからです。
服薬と言われるのも納得ですね!
海産物が大好きな日本人ならではの知恵が、今でも慣習として残っているのはすばらしいことです。しじみをたくさん食べれば夏を乗り切りやすいでしょう。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます!
あつあつのご飯の上に甘辛いタレがかかったウナギ、極上のうな重を土用の丑の日に食べてみたいですね。
想像しただけで食欲をかき立てられますね。市販のウナギで不満足なら、やや値段の高いウナギか思い切って外食で奮発して、土用の丑の日を満喫してみるのもいいかもしれないですよ!