夏休みは長い休みになって遊びに行く子どもの数が増えます。
ところが長い休みでいいことだらけと思いきやそうでもなく、学校側から大量の夏休みの宿題が出されるのは毎年のこと。この多い宿題が終わらずに夏休みの後半は忙しくなる子どもの数も増えます。
しかしそうした子ども達にとって救世主になるようなサービスが最近注目されています。
それが宿題代行サービスと呼ばれるものです。
その名の通りお金を払えば、夏休みの宿題を代行してくれるサービスのことです。
なんと夏休みの宿題だけでなく、大学生の卒論なども代行する業者がいるそうです。
もちろん筆者が子どもの時代にはそんなサービスはありませんでした。せいぜい家族に手伝ってもらうことしかできませんでしたが、本当に今の子どもは恵まれすぎているなと痛感しますね。
ただしこの宿題代行業もメディアに取り上げられることが多くなり、親や子のモラルなどを巡って論争が繰り広げられています。
どういった批判があるのか?またなぜ依頼する親が多いのか?理由や批判など徹底的に探っていきます。
宿題代行サービスとは?
冒頭でも紹介したとおり、子どもの夏休みの宿題を丸ごと有料で業者が請け負うサービスのことです。業者に関しては主にインターネットなどで注文を受け付けていて、現在少なくとも10以上の業者がいると言われています。
その内の一つである『ジーニアスアシスト』は宿題代行業としては唯一の法人となっていて、2015年には100以上の依頼があったようです。
※ジーニアスアシストの公式ページはコチラ
業者と言っても専門的なプロというわけではなく、アルバイト学生などがお小遣い稼ぎに宿題を代わりに解いてあげる、というパターンが多いです。
さらに特徴すべきは子供の学力に合わせて、適度に間違えてくれたりもします。それまで学力が低かった生徒がいきなり算数の宿題を全部解いて、全部正解だなんて不自然ですよね?
こうなると怪しまれるので、事前に学力を調査して字を雑に書いたり、適度に間違えたり、そもそも解かなかったりする場合もあります。
つまり「宿題代行=問題を全部パーフェクトに解く」というわけではないので、その点は考慮してください。
- 漢字・算数のドリル1冊:6000円
- 読書感想文なら400字:2900円
- ポスター・イラスト作成:15000円
- 工作:6000円
- 自由研究の相談:1~2万円
※料金はいずれも小学生の場合
宿題代行業への依頼は夏休みだけでなく、冬休みにも依頼が殺到します。
これらの休みの期間は子ども達にとって遊ぶ機会が増える時期でもありますが、塾に通っている子ども達にとっては講習などで忙しくなる時期でもあります。
最近は子どもの進学(特に中学受験)のためにお金をかける親も増えてきたようで、そうした親の配慮もあって、子どもが受験勉強に専念できる環境を作らせるために依頼することが増えてきた背景があります。
夏休み宿題代行サービスに対しての批判は多い!
夏休みの宿題と言うのは、当たり前ですが子どもに課せられた宿題であるので、子ども自身の手でやるのが筋と言えます。
2015年7月の読売新聞の調査でも、「夏休みの宿題は本人がやるべき」と答えた人の割合は84%で、やはり宿題を代行してもらうというサービスに対して世間からの受け止め方は批判的です。中には詐欺罪とまで主張する評論家もいます。
またそれ以外にも以下のような点で批判がつきまといます、これでも宿題代行業に賛成ですか?
教師を騙している立派な不正行為である
これに関しては筆跡ですぐにばれると思いがちですが、最近では子どもの筆跡まで忠実に真似する業者もいるみたいです。
お金のためなら何でもするという意味では凄いことですが、高校や大学の入学試験でも代わりに受験してもらうというのは、立派な不正行為で重い処罰が下るということをお忘れなく!
お金で何でもできるという価値観を与えかねない!
宿題をお金を出してまで代行してもらうという行為は、代行業者がいる以上法律違反ではありません。
しかし「お金を払っているのだから問題ないでしょ?」ということで、安易にお金で解決してしまうと、子供に対してお金の使う意味を誤って解釈させてしまう恐れもあります。
つまり「面倒なことはお金を払って他人に任せてしまえばいい。」という考え方が身についてしまい、結果としてますます子供が遊ぶことに繋がってしまう恐れもあるからです。
そうした考え方が出来るのはお金が有り余った大富豪くらいで、特にビジネスでは役に立つ考え方です。
しかし面倒なことや大変な作業というのは、まずは一回自分が体験してみるのも大事です。
そうしないと他人(社会に出て働く大人)がいかにして苦労しているかが、わからないですし、何より自分で解決する力が身に付きません。
いくら塾の勉強で忙しいからと言って、学校の宿題ですら自分で解決できないようでは、高校受験や大学受験、さらに社会に出てから苦労します。
もしどうしても厳しいというなら、塾の先生と相談してみてはどうでしょうか?
なぜ依頼する親が多いのか?親の心理は?
ここまでで宿題代行サービスへの批判と問題点を紹介しました。
ただこれほど批判が多いにもかかわらず、なぜ依頼する親が多いのでしょうか?
- 両親が忙しくて手伝えないから
- 宿題の量が多すぎるから
- 塾の勉強に専念させたいから
実は背景にはこういった理由があるんですね。それぞれ詳しく見ていきましょう!
両親も手伝ってあげたいが共働きのため暇がない!
最近では当たり前のようになってきた共働き世帯ですが、この共働き世帯の増加もあって手伝う暇がない親が多くいるそうです。
それ以前に宿題と言うのは親が手伝うというものではなく、子どもが自分の力でやるというのが前提だということをお忘れなく!
あまりにも量が多すぎるから!
手伝ってみた親からみても宿題の量が意外と多くてびっくりするみたいです。特に悩むのが自由研究で、子ども達も面倒で後回しにしてしまいがちです。
探せば自由研究のネタはいくらでもあるのですが、これに関しては算数の課題みたいに明確な答えがないので、本当に自由なテーマで大丈夫だと思います。
特に夏場は天体観測が人気というか定番なので、迷ったら望遠鏡を買って毎日星空を観測しましょう。
塾に通っているため夏期講習などに専念させたい!
なんとなく正当な理由っぽくて悪気はなさそうに思えますが、学校の宿題よりも塾の方が大事だというのも親の考えとしてどうかなと思います。
確かに受験に合格するのは大事なことでありますが、夏休みの宿題も立派な勉強です。
難易度は簡単かもしれませんが、基礎を固める・復習という意味でも夏休みの宿題は最適だと言えます。塾の教師も学校の宿題を蔑にしろと教える人なんていませんよ。
こういった理由があって毎年宿題を依頼する親も多いのも事実です。
ただし子どもが自分の力で宿題をやっていないかどうかは、教諭側の視点に立つとすぐにわかるそうです。
もちろん先ほども説明しましたが、筆跡も真似してくれる業者もいます。しかし漢字ドリルなどは書く量も多いので、全て完璧に真似するのは不可能に近いです。
また読書感想文の課題も、インターネット上に掲載されているテンプレートの文などはコピペしたということはすぐに見破られます。
代行業者と言えどアルバイトが意外と多いので、頼り過ぎるとボロが出かねません。
最後に一言!
夏休みの宿題は量が多いので、多少親が手伝うのは多めに見てくれますが、全部代行サービスがやってしまったとなれば完全に信頼を失います。
むしろ終わらなければ素直に「終わりませんでした。」と申告した方が、まだマシなような気がします。
そもそも保護者全員が代行サービスを利用しているとは限らないですよね?真面目に頑張っている子どもからしたら、明らかに不公平ですよね。
また「夏休みの宿題なんかやる必要ない!」という意見も多いです。
確かに漢字ドリルや計算ドリル、読書感想文など何十年も前から大きく変わっていません。
しかしこうした学校での基礎教育こそ地道に固めることが、何より大事だと思います。
事実大手予備校や進学校でも、学校の宿題をまず終わらせることが大事だという考えを持った講師の方が多いでしょう。
「学校での基礎教育を蔑ろにする生徒に、大学受験を受ける資格なんかない!」と僕の高校時代の恩師は声高に言っていました。
今年の夏休みも恐らく宿題は多く出されると思いますが、実際に頼んでしまった親も後になって罪悪感に襲われることもあるようです。
また代行業はお金もかかると言うのもネックです。
その分のお金を旅行や行楽地に出かける分に使う方が有意義だと言えるので、本当に子どものためを思うのならば代行業者に依頼するのは止めた方が身のためですね。