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政治

アメリカとの2国間FTAは実現する?メリット・デメリットは?

投稿日:2017年2月17日 更新日:

トランプ大統領が就任して1カ月が経とうとしています。

この間にTPP離脱・難民受け入れ禁止・メキシコとの国境の間に壁を建設するなどの大統領令に署名したりして、早くもアメリカ国内の反トランプ派の反感を買うような政策を次々と打ち出してデモが多発しているようです。

 
またそれ以外にも側近の大統領補佐官が辞任したり、労働長官に指名されていてたパズダーという人も指名を辞退することになりました。

このパズダー氏はファストフード店などを展開していた企業のトップでしたが、不法移民を自宅で雇っていたという事実が発覚して、与党・共和党内から反発の声が高くなっていました。

 
政権発足からまだ1カ月しか経っていないのに早くも波乱含みの幕開けとなっています。

果たしてこの先大丈夫かと不安になりますが、そんな中日本の安倍総理と会談してかなりの親密ぶりを発揮して日米同盟の強化を再確認したという形になります。

 
その日米関係ですが、TPPの交渉が事実上なくなって日本の農業関係者の間では安堵の声が広がっています。

しかし実はトランプ大統領は、日本との間でFTAを結ぶのではないかと噂されています。

FTAとは自由貿易協定のことですが、どういった趣旨の協定なのでしょうか?

またもしアメリカとのFTAが実現したら、日本にとってどんなメリットがあるのか解説していきます。
 

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FTAとは何か?EPAとの違いは?

FTAとはFree Trade Agreementの略で、日本語に直すと”自由貿易協定“です。

2か国以上の国や地域との間で行われる貿易で、関税や輸入割当を撤廃・削減して自由な貿易を拡大しようというのがこの協定の趣旨です。

 
似たような言葉としてEPAというのがあります。

これは日本語で”経済連携協定“と呼ばれるもので、物流のみならず、人の移動や知的財産権の保護、投資といった様々な面でお互いに親密な関係強化を図る協定のことです。

言ってみればEPAとはFTAの上位互換に位置します。

トランプ大統領が離脱することを表明したTPPは日本語に直すと環太平洋戦略的経済連携協定となるので、TPPはEPAの部類に入ります。
 

そもそも関税の役割とは?

2国間との間の自由貿易協定は特に2000年代以降急速に広まります。

お隣の韓国はEUやアメリカと既にFTAを結んでいて、日本でも近年FTAをいろんな国と締結しています。

そのFTAの狙いは関税撤廃による自由貿易の推進ですが、そもそもなぜ関税を設ける必要があるのか解説します。

 
2国間の貿易というのは、自国の製品を輸出し、他国の製品を輸入することです。

お互いの国では生産されていない、もしくは生産量が極めて少ない製品を売買すればお互いの国で利益が出て非常に有益な貿易となります。

 
しかし同じジャンルの製品が、互いに生産量が多く、国内の製品で十分だという場合はどうでしょう?

 
日本とアメリカとの貿易を例にして考えます。

アメリカが農作物の米を日本に輸出したと考えた時に、日本の国内では既に多くの農家が米を栽培しているので供給は間に合っている状態です。

 
しかしもしアメリカ産の米の方が値段が安いとなるとどうなるでしょう?

実際アメリカ産の米はかなり安いです。

当然日本の消費者の目はアメリカ産の米の方に目が行くでしょう。こうなると日本の農家の人達は困るわけです。

 
この場合の対抗措置として関税というシステムがあるわけです。

日本政府がアメリカ産の米に多額の関税をかけると、アメリカの輸出業者は日本政府に対して高い関税を払わないといけません。

その高い税金分を補うために、日本で売られるアメリカ産の米は日本産の米より高くなるか同等の値段となるわけです。

 
農作物に限った話ではなく工業製品でも同じです。

国内の製品より、海外の製品の方が安いと当然国内の消費者は海外の安い製品を買います。

また品質に関しても同じで、国内の製品より海外の製品の品質が高いと当然国内の製品は売れなくなります。

それだと同一の産業においては国内の方が不利になるので、海外の製品を輸入する際に高い関税を設けて国内産業を保護するのが狙いです。また単純に財政を補う手段として貴重な収入源となっている場合もあります。
 

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FTAのメリット・デメリットは?

このように関税とは国内産業を保護する大事な役割があるのですが、それを撤廃するとなると、当然国内産業が打撃を受けます。

日本だと農作物が、海外に比べて競争力も強くなく値段も高いため、FTAが締結されると海外の安い農作物が大量に市場に出回り、国内の農作物が売れなくなると懸念されているのです。

 
日本の関税は高いと言われていますが、その関税のほとんどは一部の農産品が占めています。

TPP交渉では原則加盟国の関税はゼロというのが趣旨となっていましたが、そうなると当然農家は大反対します。

 
また値段の安さが重要視されると、品質が劣る製品が市場に出回る恐れもあって消費者にとってもデメリットとなる恐れがあります。

 
一方メリットとしては、両国の間で自由貿易が促進されると、その国の間で投資が拡大するとも期待されています。

それと同時に地域間で競争が活発化し、国内経済が活性化につながるという期待もあります。

確かに日本の農業は競争力が弱いと言われていますが、TPPや自由貿易の拡大で競争力がより強くなるのではと言う期待もあります。

 
もともと日本の農作物は海外からも品質が高いと評判なのでこれを機に日本の農業の競争力を強めて、海外に多く売り込むべきだと推進派は訴えています。
 

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日本がFTAを結んでいる国は?

日本は現在アメリカとの間でFTAを結んでいません。日本がFTAを結んでいる国は以下の通りです。

  • 日本の二国間自由貿易協定国リスト
  • 東南アジア諸国連合の10か国
  • スイス
  • チリ
  • メキシコ
  • インド
  • ペルー
  • オーストラリア
  • モンゴル

※参考サイト:Wikipediaの「二国間自由貿易協定リスト」より

ご覧のように東南アジアの国々と、モンゴルやインド、メキシコなどになっていますが、日本との貿易がそこまで盛んではない国がほとんどです。

つまり自由貿易協定を結んでも国内産業へ与える影響が小さい国々がほとんどです。

この中で唯一日本との間で貿易が盛んなオーストラリアは、肉類や小麦などの農作物を大量に輸入していて、一見すると国内の農業に打撃が大きいと予測されます。

実際北海道の農業・酪農に与える影響は深刻と批判され、旧北海道拓殖銀行が破綻した時を上回る経済的打撃と試算されています。

 
もっともこの試算は関税が即時撤廃されたらの話であって、実際には関税の引き下げには長期間かかり、また輸入数量を限定する特別セーフガードも設定されたので国内市場への影響は限定的だとの見方もあります。

 
何よりこのFTAで重要視されたのは、オーストラリアが有する鉄鉱石などの豊富な鉱物資源が関税なしで輸入できるという点です。

また自動車の輸出に関しても関税が撤廃されれば、日本企業へのメリットは大きく、人的交流の活性化も見込まれて経済効果は6500億円に相当すると試算されているのです。
 

アメリカとのFTAは実現できる?メリット・デメリットは?

さて本題のアメリカについてですが、アメリカとのFTAは実現するのかについてですが、これについてはハッキリ言って厳しいと言わざるを得ないのが現状です。

 
安倍総理大臣も「アメリカとのFTAは全くできないことではない。」と語っていることから、今後もしかしたら日米間でFTAの交渉が始まるかもしれません。

 
ただしそうなりますと、米を始めとする農作物の関税が焦点となります。

日本はアメリカとの輸入で小麦・トウモロコシ・大豆といった主要穀物を大量に輸入しています。

そして米も輸入していますが、もし関税が撤廃されればアメリカ産の農作物は安いので、国内農業に与える影響は計り知れません。

そしてもう一つ懸念されるのは、日米安全保障への影響です。

日本はアメリカと軍事同盟を結んでいます。

良く言われる「核の傘」という言葉も、この軍事同盟を皮肉に言い換えた表現ですが、尖閣諸島近海における中国の領海侵犯や、北朝鮮の核実験やミサイルの脅威を考えるとアメリカとの共同戦線はなくてはならない存在です。

 
安全保障のことを考えると、アメリカに対して大きく言えないというのが今の日本の立場です。

経済的な協定を結ぶ交渉でアメリカ側が難色を示すと、日米安保にも悪影響が出かねないと言われています。このことが日米FTAの実現が困難だと言われる主な理由です。

日本側が不利となる条件を結ばれる可能性が高いので、仮に交渉することになっても間違いなく農家の反対は大きくなるでしょう。

こう考えたら多国間のTPPの方がマシだったかもしれません。
 

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執筆者:


  1. 中島 恭佑 より:

    日米間のみならず、アメリカは様々な国との2国間協定を結んでいくことを発表していました。トランプ氏はアメリカファーストの考えに基づいて政策を打ち立てていますが、なぜ多国間協定ではなく2国間協定がアメリカの国益につながると考えるのか。その答えを教えて欲しいです。

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