地球では日本を始め多くの地域で四季が見られます。
春・夏・秋・冬というサイクルは毎年同じですが、この中で最も気温が高くなるのが夏です。
なぜ夏になれば気温が高くなるのかというと、それは太陽の南中高度が最も大きくなるためです。
太陽の高度が上がるということはそれだけ多くの太陽光が地球に降り注ぐので必然的に気温が高くなります。
この太陽の南中高度が最も高くなるのが夏至と言われる日です。
日本では早ければ夜中の4時頃から明るくなり始めて、夜の7時くらいまでは日が沈みません。徐々に昼の時間が長くなってくるのも夏の特徴ですが、実は日本より高緯度の地域ではもっと昼の時間が長くなります。
それどころか何と1日中太陽が沈まない地域まであるのです!
これが白夜と呼ばれる現象で、主に高緯度の寒い地方でしか見られないそうです。
日本に住む我々からしたらにわかには想像しがたいですが、こういった地域で住んでいる人達にとっては昔からごく当たり前の光景になっています。
今回は白夜が見られる地域や国について解説しつつ、その仕組みについてわかりやすく解説していきたいと思います!
白夜の意味・由来を解説!
白夜とは真夜中になっても太陽が沈まず薄明り状態が続く自然現象のことです。北極圏・南極圏といった高緯度地方でしか見られません。
今でこそ学校の地理の授業でも習う単語ですが、日本だと最北端の択捉島のカモイワッカ岬ですら北緯45度であるためこの現象は起きません。
言葉の由来を探ってみると、ロシア語の”ベーヤラ・ノーチ“にあるそうでこの言葉を和訳したのが白夜です。以下のサイトにかなり詳しく書いてありました!
レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
白夜が見られる時期・場所は?
白夜が見られる時期は夏至の1カ月前後ほぼ限られていて、緯度に直すと北緯66.6度以上の地域、北極圏にほぼ限定されます。
北緯66.6℃以上と言いますと、カナダやノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ロシアあたりの国々が該当します。
もちろんこれらの国々でも国土全体が北緯66.6度以上にはないので、かなり北部まで行かないと見れません。
また北緯66.6度以上と言うことは、必然的に気温もかなり寒くなり冬の時期は住むのも一苦労です。
そのため人口100万人以上の都市が存在しません。
人口100万人以上もいる都市で最も北に位置しているのはフィンランドの首都ヘルシンキですが、それでも北緯60度10分、ギリギリ届いてません。
ただし北緯60度でも太陽は地平線ギリギリに沈みはしますが、それでもうっすらと太陽光が夜中でも漏れていますので薄明りのまま朝を迎えます。
フィンランドと言えばムーミンで有名な国ですが北欧の中でも最も北に位置する国で、ほぼ全土が北緯60度以上に位置しています。そのため昔から白夜を見るために多くの人が観光に訪れるそうです。
しかし白夜は太陽が真夜中でも沈まないので、慣れない人は夜になっても眠れないという状態になりかねません。
観光の際には寝不足との戦いになっちゃいますね(笑)
因みに2002年に公開された『インソムニア』という映画では、主人公が白夜で寝不足になる描写が描かれています。
インソムニアとは英語で”不眠症”を意味しています。
アル・パチーノ主演の映画でしたが、私も子供の頃に見て非常に印象に残っています。
この映画をきっかけに白夜に興味を抱いたわけですが、この記事を書いている最中にもう一度見たくなっちゃいました(^▽^)/
白夜はなぜ起こる?
白夜はなぜ起こるのか?なぜ夏至の時期限定なのか?
それらの疑問について図を用いながら詳しく解説していきます!
上の画像は夏至の時期に地球が太陽光を受ける様子を、宇宙空間で真横から見た断面図です。
地球の地軸は23.4度傾いているため、夏至の時期になると北半球が太陽光を高い角度から浴びやすくなるのが、よくわかると思います。
また地球の全ての部分は、昼と夜では地軸を中心にちょうど線対称の位置になります、これがポイントになります!
ここで注目してほしいのは、北極圏に位置する地域です。
図で言うと地球の上部、オレンジ色で塗りつぶした部分です。
この部分が白夜が見られる地域になるわけですが、緯度にすると66.6度以上になります。
この数字も図で見るとわかりやすくなりますね。公転面に対して立てた仮の垂線と地軸で三角形が出来上がりますので、三角形の内角の和の公式から自然と66.6度となるわけです。
真横から見てもらえればよくわかりますが、このオレンジ色で塗りつぶした部分は、夜になっても太陽光が当たることがわかります。
太陽光が当たるてっぺんの部分がちょうど北緯66.6度にあたりますので、ここから低緯度の地域になるとようやく太陽が沈むわけです。
これが66.6度以上の地域で、白夜が起こるメカニズムとなります。
南半球でも同じ!
もちろんこの現象は北半球だけでなく南半球でも起きます。
上の画像では夏至の時期でしたが、これが冬至になりますと逆に南半球の方が太陽光が当たりやすくなるわけです。
これも先ほどと全く同じで、やはり南緯66.6度を境にしてそれより北の地域では太陽が沈み、南になると太陽が沈まない白夜となります。
ただし南半球では66.6度付近、もしくは南になると人が定住している地域はありません。
南半球で最も南に位置する町はチリのプレルト・ウィリアムズと呼ばれる港町ですが、南緯55度なので冬至になっても太陽は沈みます。
近年ではこの港町からの南極圏への観光ツアーもあるそうですので、是が非でも南極で白夜を見てみたいという方は是非訪れてみてください♪
白夜の読み方とは?
白夜は一般的には「びゃくや」と読みますが、実は昔は「はくや」なんて呼び方もされていたようです。
確かに”白”という漢字を”びゃく”と読むのは少しおかしな感じがしますよね。
NHKの放送文化研究所によりますとこのような読み方に変わったのは、1970年にリリースされたあるヒット曲にあります。
そのヒット曲とは森繁久彌氏が手掛けた楽曲の『知床旅情』です。
石原裕次郎や美空ひばり、さらにはサザンの桑田佳祐もカバーしたほどの名曲だそうですが、もしかしたら年配の方なら「あぁーあの曲ね。」とすぐ思い出すかもしれません。
この曲の歌詞の中に含まれる白夜が「びゃくや」と呼んでいたのが由来だそうです。
昔の日本人が北欧でしか見られない自然現象を既に歌の中に組み込んでいたのは少し驚きです。
作詞した森重さんがどういった心境で白夜を「びゃくや」と読むようにしたのかまではよくわかりませんが、今では「はくや」と「びゃくや」のどっちで呼んでも大丈夫みたいですね。
まとめ
今回は白夜の意味と起きるメカニズムについて解説していきました、参考になりましたら幸いです!
白夜は本当に幻想的な風景で、筆者もいずれはこの目で直接拝んでみたいと思っています。
いつになるかわかりませんが世界旅行で白夜の光景を写真に撮りまくってみたいですね!