世界地図の右上か左上の方をよくを見てみると、とんでもなく巨大な島がありますね。
上の画像で赤丸で囲んだ所です、両端に跨っていますが一つの島です。
この島はグリーンランドと呼ばれる島で北欧のデンマーク領になっています。
地図だけで見たらとんでもなく巨大な島に見えますよね。日本より大きいどころからオーストラリア大陸より大きく見えます。
しかしこれはあくまで世界地図でしか見られない錯覚です。
実際に地球儀で見てみたら、この部分は小さくなるのがわかります。
「え?グリーンランドってこんなに小さかったの?」
と誰もが最初は驚くはずです。
なぜこんな錯覚が生じてしまうのでしょうか?
今回はグリーンランドの面積についてオーストラリア大陸と数値で比較しつつ、なぜ地図で大きく見えてしまうのかについても深く掘り下げていきます。
オーストラリアとグリーンランドを比較!
グリーンランドは大西洋の北側にある世界最大の島です。
対してオーストラリア大陸は日本のちょうど南側、中緯度高圧帯に位置する世界で最小の大陸です。
この2つを世界地図で見た時に、明らかに上の方にあるグリーンランドの方が大きく見えますね。
ですので単純に考えれば「グリーンランドの方が面積は大きい!」と解釈してしまいがちですが、これは完全な誤解です!
ここで世界の島や大陸、国の面積を数値で表した以下のWikipediaのサイトを参照してみましょう。
国の面積順リスト
このページでオーストラリアとグリーンランドの2つの面積を調べてみると、以下のように記されているのがわかります。
- グリーンランドの面積:216万6000㎢
- オーストラリア大陸の面積:769万2000㎢
何と実際の数値で比較したらグリーンランドの方が3分の1も小さかったのです!
世界最大の島とはいえ、大陸のサイズを上回るなんてことはあってはいけないわけですから、当然と言えば当然です。
ではどうして普通の世界地図で見ると大きさが逆転してしまうのでしょうか?
これについては次の項目で詳しく解説していきます!
グリーンランドが大きく見える理由とは?
世界地図でなぜグリーンランドがあんなにも巨大な島に見えてしまうのか?
これに関しては、みなさんも学校の地理の授業で習ったある地図の図法が関係していました、すなわち
世界地図がメルカトル図法で描かれているから!
です。
この一言で片付きそうですが、もちろんこれだけだと納得いかない人もいるでしょう。
そもそもメルカトル図法って何?
学校の授業で習ったけど、あまり記憶がない人もいたりするのでしっかりと解説していきたいと思います。
メルカトル図法とは?
皆さんが普段の生活でよく目にする世界地図は、ほぼ全てこの図法で描かれています。
ベルギー出身の地理学者ゲラルドゥス・メルカトルによって発表されたので、このような名前がつきました。
メルカトル図法での最大の特徴が等角航路が直線で表されることです。
等角航路とは簡単に言えば、出発する地点と到着する地点の2点間で直線を引いた時に経線となす角が常に一定になるような航路のことで、特に船でしか遠距離を移動するしかない時代においては重宝するものでした。
大航海時代に確立された図法ですが今でも世界全体を簡略的に表している上に、長方形であるため多くの書籍で掲載されています。
しかしよく考えてみると、メルカトル図法には大きな問題点があります。
それは球体である地球の地図を無理やり平面の図で表現していることです。
球体である物体を平面の図で表現するとどうしても角度や面積、距離などで歪みが生じてしまいます。
全てを正確に表現する地図は残念ながら出来ません、この理由を図解で解説していきます。
ちょうどみかんの皮を平たく剥くのと同じ感じです。
メルカトル図法では経線(縦の線)を平行に地球の北極点から南極点に引いて、地球を分割して無理やり平面図に表現しているわけですが、 みかんの皮も同じ感じで分割して平らにしても、絶対に長方形にはならないですよねwww
分割するとどうしても極に近い部分が細く尖がった形状になります。
この細い部分は、世界地図で言うところの高緯度に当たる部分です。
上の画像で示したように赤い部分がどうしても足りなくなるので、高緯度であるほど赤道と同じ長さに拡大する必要が出てくるのです。
実際に数値で換算しますと、緯度60度では緯線が赤道の半分しかないので長さが2倍に拡大されます。
それに伴って経線も2倍に拡大されるので面積は4倍に拡大されます。
つまり日本列島を緯度60度に配置してみたら、今よりも4倍ほど大きく見えるわけです!
本当の大きさドットコム!
これでグリーンランドが大きく見える理由が理解できたと思います。
高緯度に位置する島なので必然的に拡大されるのがグリーンランドになるのですが、何と実際より17倍も拡大されているのです!
今まで完全に騙されていましたね(笑)
北極点と南極点を表現できない!
緯度が高くなればなるほど、赤道と同じ長さ分拡大するのがメルカトル図法の特徴です。
しかしそうなりますと緯度90度の地点はどうなるのでしょうか?
緯度が90度の地点というと北極点と南極点ですが、文字通り点になっているので、赤道の長さと同じくらい拡大するなんてことはできません。
横方向に拡大しようがないので縦方向にも拡大できません。
つまりメルカトル図法では極を表現できないわけです。
もちろんメルカトル図法でも下の方に南極大陸が描かれているわけですが、南極大陸は南極点を含む大陸です。
90度の地点は表現できていませんが、それでもギリギリの場所まで表現するとなると拡大率はかなり上がります。
そのため南極大陸はメルカトルの地図で見ると、端から端まで大きく広がっているように見えるのでちょっと怖いですね。
グリーンランドが可愛く見えるほどの大きさです(;^^)
地図上での錯覚ではあるんですけど、傍から見たらまるで超大陸です!
こんな世界地図なんて意味ないじゃん!
と思いがちですが、実際に我々が日常生活で用いる地図は狭い範囲(都道府県や市町村規模)がほとんどなので、メルカトル図法でもほとんど問題ありません。
間違っても南極大陸に好き好んで行く人はほぼいないでしょうから(笑)
しかし近年は空間に立体的な映像を映し出すホログラフィーの技術が進歩しています。
これに加えスマホの技術も上がれば、スマホで地球儀の立体映像を簡単に投影できるなんてことも可能になりそうです。
世界中どこにいても正確な航路が簡単に見れれば本当に便利になるので、世界旅行で高緯度地方に行く場合でも役に立つことでしょう♪
まとめ
最後になりますが、改めて今回の記事をまとめさせて頂きますと、
- グリーンランドの実際の面積はオーストラリアの3分の1
- グリーンランドが大きく見えるのは世界地図がメルカトル図法で描かれているから
- メルカトル図法では高緯度の地方ほど見た目の面積が拡大されるから
- メルカトル図法では北極点と南極点を表現できない
となります。
ここからは本当に余談になりますが、グリーンランドは近年地球温暖化の影響もあってか、地下資源の採掘のスピードが速まっているそうです。
実はグリーンランドの地下には中東に匹敵する量の原油が埋蔵されていると予想されているので、 この原油がグリーンランドの経済を支える柱になるとも見込まれます。
これが引き金になって、グリーンランドがデンマークから独立する動きも出ているようです。
世界地図で見たら普通の国として見られてもおかしくないくらい大きな島ですが、本当の独立国になる日が近いかもしれないですね。
グリーンランドって右上じゃあないの?
始めの文で左上ってあるから… どういう意味?
コメントありがとうございます。
始めの文で曖昧な書き方をしてしまい、申し訳ございません。
訂正いたしました。
メルカトル図法ではなく、ミラー図法では?