大学の授業は高校までとは違った形式になって、戸惑う学生も多いですね。
今回ご紹介する「シラバス」と「カリキュラム」の違いもその一つです。
高校まではカリキュラムという言葉は聞く機会が多いですが、大学になると新しくシラバスと言う単語まで出てきます。
かくいう僕も最初にこの言葉を聞いた時、「一体カリキュラムとどう違うんだ?」と素直に思いました。
同じカタカナ用語だけど、正直意味がわからないね。
なんとなく授業の中身とか計画に関係する言葉かな?
大学に入った後でよく聞くけど、改めて意味の違いを問われたら、ちゃんと答えることができますか?
ということで今回は「シラバス」と「カリキュラム」の違いを、具体例も含めながら解説していくことにしましょう!
「私の講義のカリキュラム」と「私の講義のシラバス」はどっちが正しいかな?
シラバスとカリキュラムの違いを簡単に!
いきなり結論からになりますが、シラバスとカリキュラムの違いを一言でまとめますとこのようになります!
だけどこの文章だけでは、ちょっとイメージしづらいかなと思います。
「結局どっちも計画のことを言っているんだよね。」ということになりますが、どう区別しているんでしょうか?
そこでもっとわかりやすくするため、レストランに例えて解説しますね。
個別の料理のレシピがシラバスでメニュー全体がカリキュラム
レストランに行くと、様々なメニューが載ったカタログを見ることができます。
特に高級レストランともなると、前菜やオードブル、スープ、サラダ、デザート、パン、飲み物などが全部揃ったフルコースのメニューで約1万円くらいかかりますね。
そのメニューの一つ一つを構成する個別の料理がシラバスとなります。
そしてその料理が全部組み合わさることで、フルコースのメニューとなります。
つまり「いろんな講義(料理)を組み合わせて、カリキュラム(コース)を作る」と言ったイメージですね。
シラバスが木の葉、カリキュラムが木だとイメージしてもいいよ!
シラバスとカリキュラムの違いを詳しく!
シラバスとカリキュラムについて、大まかな違いはご理解いただけましたか?
ただしあくまで簡単な違いに過ぎないので、ここからはそれぞれの特徴や定義など細かい内容にも踏み込んで見ていくことにしましょう!
シラバスについて詳しく!
まずシラバスについて見ていきましょう!
おさらいしますと、シラバスとは講義・授業毎に定められた計画と内容、及び所用の単位数等を示したものです。
この言葉は大学に入って初めて聞いたという人も多いです。基本的に学期最初の講義時間で担当講師(または教授)が簡単に説明してくれます。
より具体的に説明しますと
- その講義で習う内容と扱う教材
- その講義を1学期で履修するコマ数
- その講義を履修するための条件
- どういった形式で授業を行うか
- 出張で休講になる日程
- 学習資料を置いてあるURLなど
- 教員への連絡方法、メールアドレスなど
- 到達目標
- 試験形式
- 出席点をいくら加味するか
- 欠席や遅刻は何回までなら許されるか
といった内容です。
一つずつ丁寧に教えてくれる講師もいれば、シラバスが載ってあるURLだけ教えて「後で見てね。」で終わり、そのまま講義に入る講師もいます。
基本的にほぼ全ての教科に共通して言えるのが、その大学の学科毎にある公式のホームページからも閲覧することは可能です。
ただあくまで簡単な内容しか載っておらず、より具体的な内容(例えば「何回までなら欠席していいか」とか、「試験はノートの持ち込みは可なのか」など)ともなると、やはり初回の講義に直接出席しないと伝わらないこともあるみたいです。
多くの学生にとっては授業内容よりも、やはり試験形式や成績評価が気になりますからね。
兎にも角にも初っ端の講義に参加することは凄く大事になってくるね!
大学のテストは高校までと違ってノートやテキスト、参考書の持ち込みが可能な科目もあります。だけど持ち込みできるからと言って簡単なわけではなく、逆に難しくなる傾向が強いです。どうして難しくなるのか、その理由を具体的に考察していきます。
小学校や中学校にも導入?
大学に入って初めて「シラバス」を聞いた学生も多いかと思いますが、実は最近の教育現場では小中高でも作られるようになりました。
シラバスを作るメリットとしては、学習の流れを学生だけでなく指導者にとってもわかりやすくなるため、円滑に授業を進めることができる点にあります。
学校の授業を振り返ってみると、「教科書のこの章だけは後回し。」とか、「この部分の内容は覚えなくていい。」と先生が言っていたことがあると思います。
教科書については全国共通ではありますが、細かい授業内容や範囲、レベルについては地域や自治体によって異なってきます。
こういった違いや差異が生じるために、学校ごとに先生らがシラバスを作成し教科書の内容を減らしたり、足りなかった場合は追加します。
つまり同じ中学1年の英語の教科でも、A学校とB学校では教える内容が微妙に違ったりします。
それもこれも全て学校毎でシラバスが独自に作られているからですね。
基本的に進学に力を入れていない県立学校や公立学校では、教える内容が若干簡単になったりします。
間違っても塾や予備校と同じようなシラバスになることはないです。
公立学校では生徒の赤点は出来るだけ減らし、成績の格差を減らさないといけないからです。
ただし普通科の学校でも、私立の場合は話が変わってきます。進学に力を入れている進学コースや一部の高校にある特進コースでは、より受験対策向けのシラバスになってきます。
高校2年の後半で教科書の内容は終わって、3年以降は全て演習問題を解くという授業形式にもなるんですよ。
私立高校に多く設置されている特進コースとはどんな意味なのか?どういった趣旨で設けられたのか。その特徴と学校生活について体験談も踏まえながら紹介していきます。これから入学する方はぜひ参考にしてみてください!
カリキュラムについて詳しく!
続いてはカリキュラムについての解説です。
こちらについては小中高でも馴染み深い言葉と思いますが、元々は「走る」を意味するラテン語の「currere」 から由来した言葉です。
厳密に言えば、カリキュラムは「教育課程」と同じ意味になりますが、今回はあくまで大学でのカリキュラムだけに絞って解説します。
シラバスが各授業での計画、取得できる単位や成績評価などの情報でしたね。
これに対してカリキュラムは、自分が所属する学科(あるいは学部)における
- 履修できる科目の種類
- 取得できる総単位数
- どこで学習することになるか
- 年間スケジュール
- 教育方針
- 進級や卒業の為の条件
などの情報となります。
シラバスも大事となりますが、それ以上に大事となるのがやはりカリキュラムとなりますね。
特に進級と卒業するための条件は、どの学生にとっても知っておかなければいけない情報です。
大学のホームページからでも閲覧可能ですが、入学時及び進級時にもらうパンフレットでも確認は可能です。なくさないように注意しましょう!
「時間割」とは違うの?
一般的にはカリキュラムと言うよりも、「時間割」という言葉の方がしっくりくるかもしれません。
週間スケジュールという感じだろうと思っている方も多いですが、要するにその学期でどういったスケジュールで授業を行っていくか、表などでわかりやすく見れるようにしたものだというイメージで捉えている人も多いですね。
だけど正式にはこれは狭義の話で、カリキュラムと言うのは学校教育の内容を系統立てした「教育課程(履修課程)」と同じ意味になります。
教育課程というのは教科の目標や内容などを定めた教科課程と、教科以外の様々な活動(など)からなる教科外活動の2つの部門から成り立っています。
要するに、「広い意味で学校教育の姿勢を改善し、より社会全体に役立てるようにしないといけない!」という意味で導入されたことになります。
この考えは20世紀半ば頃から盛んに語られてきました。
単なる勉強ではなく、ホームルームや学校給食、体育祭、文化祭、修学旅行、クラブ活動、社会科見学などといった特別活動、さらには教師の構えや姿勢にまでアプローチしていることになります。
教育課程の基準として定めたのが『学習指導要領』となりますが、文部科学省はこれらの考えを参考にして改定しています。
シラバスは個々の学校によって定められるけど、カリキュラムを定めるのは実質国という見方もできるね。
まとめ
以上シラバスとカリキュラムの違いについての解説でした。それではまとめといきましょう!
- シラバスは個別の講義や授業での計画、カリキュラムが学年及び学科全体での教育課程
- シラバスとカリキュラムの関係は木と木の葉のようなもの
- 大学のシラバスは個々の講義の成績要件や単位、授業計画
- 大学のカリキュラムは学科全体で受講できる科目の種類や進級・卒業要件
- カリキュラムは文部科学省の学習指導要領の改定の参考にされている
因みに英語だとシラバスが「syllabus」、カリキュラムは「curriculum」となります。
綴りもやや難しいですが、知っているとかなり自慢ができますよ♪