2017年の国際情勢で注目されたのが、2016年の大統領選挙で当選したドナルド・トランプ新大統領です。
共和党から立候補して、民主党のヒラリー・クリントン氏との激戦を制して見事選挙に勝利して当選しました。
アメリカは昔から二大政党制で共和党と民主党からほぼ交互に大統領が誕生しているような感じです。トランプ氏の前は民主党のオバマ氏、オバマ氏の前は共和党のブッシュ氏・・・
この共和党と民主党はアメリカの二大政党を司る重要な政党ですが、2つとも150年以上の長い歴史を持つ政党です。
政策的にどう違っているのか、支持者はどんな人が多いのかそれぞれ解説していきます、ぜひ参考にしてください!
共和党について解説
共和党が成立したのが今から160年も前の1854年、黒人奴隷制の反対を掲げて連保派のフェデラリストとホイッグ党の流れを汲んで、北東部と中西部の支持基盤によって成立した政党です。
近年ではロナルド・レーガンやジョージ・W・ブッシュなど、対外的に強硬路線を張る政策が目立ってきています。特にブッシュ政権の対イラク政策、イラク戦争は間違いだったという世論が圧倒的に多く、この影響もあって共和党離れが進んでいると言われています。
主な歴代大統領
共和党を代表する大統領と言えば何と言っても第16代大統領のエイブラハム・リンカーンです。
南北戦争において奴隷解放宣言を行ったことや、国家分裂の危機を乗り越えた強いリーダーシップ、またゲティスバーグ演説における「国民の国民による国民のための政治」という有名なセリフで民主主義の基礎を改めて主張したことなどが非常に高い評価を得ていて「最も偉大な大統領」によく挙げられます。
このリンカーンも含めて共和党の大統領は歴代で19人いますが、共和党が非常に強かった時代がまさに1860年から1900年初期にかけてで、この間だけで9人の大統領が誕生しています。やはり奴隷解放による実績が高い評価を得たことが影響していると思いますが、第2次世界大戦以降を見てみると大統領は民主党と共和党が交互に入れ替わっている状態が続いています。
共和党の政策・思想
共和党は伝統的に保守主義を掲げています。この理由は300万以上いるとされる福音派のキリスト教勢力が支持母体にあることもあって、また対外政策では力によって秩序を保ちあくまで米国の国益を優先する姿勢が色濃く出ています。
その他内政面では以下のような政策を掲げています。
- 人工妊娠中絶を禁止
- 不法移民の受け入れに断固反対
- 銃規制反対
共和党の支持母体・勢力
共和党の支持勢力と言われるのが先ほども説明したキリスト教主義勢力ですが、実はもう一つ大きな団体があります。
それが全米ライフル協会という圧力団体です、アメリカ合衆国に在住する銃愛好家で結成された市民団体ですが、設立されたのが1871年で会員数は全米で400万人とされています。
共和党が政策で銃規制反対を訴え続けるのは彼らの支持があるからです。アメリカで銃犯罪をなくすには共和党を変える前に、全米ライフル協会をどうにかしないといけないのです。
民主党について解説
次は共和党と対立するもう一つの政党民主党について解説します。実は設立年が1828年で共和党より26年も早く非常に歴史が深い政党なのです。南北戦争時において北部が共和党中心だったのに対して、民主党は南部を中心とした勢力を支持基盤に持っていました。その名残ゆえか、現在でも伝統的にカトリックを重んじる保守系の議員もいたりします。
南北戦争で奴隷制の廃止を訴えた共和党の台頭もあって、1800年代後半はかなり弱体化しました。
しかし1929年の世界恐慌で状況は一変し、経済規制に政策を転換したことで民主党が優位な立場になります。
主な歴代大統領
民主党はこれまでに16人の大統領を輩出していますが、中でも印象深いのが第35代大統領のジョン・F・ケネディでしょう。
選挙で選ばれた大統領としては史上最年少の43歳で就任した若さということと、キューバ危機を乗り越えたこと、宇宙開発競争でアポロ計画を推進したことなど多数の功績がありますが、1963年のパレード中に暗殺されるという悲劇的な結末を迎えます。
あまりにも衝撃的な事件でありましたが、この暗殺事件には様々な陰謀説があります。(因みにこの暗殺事件に関する機密資料が公開されるのは2039年らしいです、長すぎますよ。)
また日本ではケネディ元大統領の娘であるキャロライン・ケネディさんが昨年まで駐日大使でした。願わくば彼女だけでも留任してほしかったですね。
民主党の政策・思想
共和党が保守主義であるのに対して、民主党はリベラル思想が強いです。最近ではリベラルとは言わずに進歩主義という言葉も使っているそうです。
その名の通りリベラリズム色が強い政策が売りで、経済・財政政策的にも医療保険の強化や累進課税の強化を訴えたり、さらに国際協調主義を全面に打ち出しています。オバマ前大統領はまさにそういった色合いが強い政策でした。
この他内政面では以下のような政策を掲げています。
- 人工妊娠中絶の容認
- 不法移民の受け入れを容認
- 労組重視
- 同性愛容認
ご覧のように共和党とはまるで真逆の政策です。どっちがいいかなんて明確な答えがあるわけではありませんが、ハッキリしているのは、アメリカでは賛否両論が激しく分かれる政策で対立すると中間になるような政党がないので、有権者からしたら選べないという悩みも少なくないようです。
民主党の支持母体・勢力
リベラル色が強い政党なので支持勢力もそういった人達が多いですが、何といっても移民に関しては非常に寛容的な姿勢なので、黒人やヒスパニック系など特に有色人種が多く住む地域は非常に強い地盤を持ちます。
また労働者や労働組合を重視した政策も掲げているので、アメリカ労働総同盟(略称:AFL-CIO)という団体も支持しています。日本に例えるなら今の民進党と言えるでしょう。
まとめ
説明は以上ですが、最後に共和党と民主党の違いを簡単にまとめると以下のようになります。
- 共和党は保守、民主党はリベラル
- 大統領の人数は共和党が19人、民主党が16人
- 共和党の支持母体はティーパーティー・全米ライフル協会、民主党の支持母体はアメリカ労働総同盟・有色人種など
長い解説となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます!アメリカの政治制度を理解するとアメリカ関連のニュースも面白くなります。
また大統領選挙は去年ありましたが、次に控えているのは1年半後の中間選挙です。
共和党と民主党が下院議会で過半数を争う大事な選挙です、果たしてトランプ政権は評価されるのか否か?