世の中には「林」や「品」など、同じ形をした漢字がいくつもあります。
今回ご紹介する漢字もその一つです。その漢字とは「㐂」、送り仮名にぶをつけて「㐂ぶ」と書きますが、さて何と読むでしょう?
うーん、そもそも見たことないな
まさかとは思うけど、「スリーセブン」かな?
この漢字、調べたらなんとあの漢字と意外な関係がありました!
そしてどうやって、この漢字をパソコンやスマホで入力するのかについても調べたので、ぜひ御覧ください!
漢検一級取得者でもわからないとされる凄い漢字だよ
「㐂ぶ」は何と読む?
では答えを言いましょう。「㐂(ぶ)」」の読みはこうなります。
え!?これって「喜ぶ」と同じだったの?
どうです正解できた人いましたか?
「喜」と全く同じ読みで驚いた人も多いでしょう。
確かに漢字辞典ONLINEを調べても意味は「よろこぶ」、音読みも「キ」であり、確かに「喜」と同じですね。
一体なぜ「㐂」という漢字が「喜」と同じ読みと意味になるのか、ちょっと深堀りしてみました!
「喜ぶ」と「㐂ぶ」の関係は?
既に気づいた方もいるかもしれませんが、「㐂」というのは常用漢字ではありません。
正式に言いますと、「㐂」という漢字は「喜」の異体字にあたります。
ではどうして、「㐂」が「喜」の異体字になるのかと言いますと、「喜」の草書体が「㐂」のように見えることから、改めて「㐂」という漢字が生まれたと言います。
上の画像が「喜」を草書体(崩した書体)で書き表した図です。
うーん、確かに「㐂」っぽく見えるな
書道に詳しい方なら、もしかしたら見たことある人は多いでしょう。
また年賀状などで未だに手書きで書く人は、見かける機会もあるかもしれません。
ここで誤解してほしくないのは、草書体というのはあくまで同じ漢字という扱いです。
しかし「喜」と「㐂」は、違う漢字として扱われます。書体が違うということにもなっていません。
実は「㐂」という漢字が生まれた背景は、あるイベントが関係していました。
それが77歳を迎えた際に祝う「喜寿」、77を漢字で表記すると「七十七」になりますね。
「七十七」を速筆すると、確かに「㐂」という漢字っぽくなります。
これが「㐂」の漢字が生まれた由来で、「㐂」を「喜」に変えて「喜寿」という表記に変わったわけです。
また「七」が3つも並んだ漢字ということで縁起がよく、お店の屋号やお酒の名前などによく使われています。
東京都の「㐂寿司」、京都の「天㐂」(懐石料理)、宮崎県の「㐂六」(焼酎)などが有名だよ!
今回紹介した「㐂」のように、同じ漢字が3つも並んだ漢字のことを「品字様」と呼びます。
冒頭でも紹介した「品」や「轟」、「森」などがその代表例です。
実は調べてみたら、まだまだほかにもいっぱいあるんです。漢字って本当に奥が深いですね!
「林」や「弱」、「競」など2つ並んだ漢字は「理義字」と呼びます、混同しないようにしましょう!
パソコンやスマホで入力する方法は?
では読みがわかったので、あとはパソコンやスマホで入力する方法を解説します。
パソコンやスマホで「よろこぶ」あるいは「き」と打ち込めば、変換候補の中に現れるはず。
え、出ないんだけど!?
はい、こうなった人は多いと思います。
もちろん全ての人で当てはまるとは思いませんが、この漢字は漢字コードで言うところのJIS第3水準にあたる漢字に該当します。
簡単に言えば超特殊な漢字ということです。
もしくは「環境依存文字」と言ってもOKですが、通常この手の漢字は普通に読みだけを入力しても、出力されないことが多いです。
ではどうすればいいのか?
ここでパソコンのワードやエクセルを使用している人は、少し便利な方法があるので教えいたします。
まず数字で「3402」と打ってみてください。そしてその次にF5キーを押します。
すると変換候補の中に「㐂」が表示されると思います。
これは「㐂」という漢字が3402という漢字コードに該当することが関係しています。もちろんこれを利用すれば、通常の変換では出力されない漢字も出力できます!
そして変換して出てきた「㐂」という漢字を単語登録することで、次からの入力が楽になります。単語登録については、以下の記事で詳しく解説しています!
外来語に多い「ヴ」という文字ですが、パソコンだと自動でカタカナに変換されます。「ヴ」だけは何故か平仮名の「ゔ」に自動で変換されません。環境依存文字になってしまいますが、そもそもどうしてこうなってしまうのか?変換するための打ち方も含めて詳しく見ていきます!
しかしこの手段が使えるのは、残念ながらパソコンでの話。
恐らくスマホで入力する場合は、ほぼ出ないというパターンが多いですね。
最終手段としてはコピペするということです。
「㐂」の漢字をこのページからでもいいですし、あるいは漢字辞典オンラインからコピーして貼り付けます。
あるいはそれでも駄目な場合があります。
それは「㐂」という漢字が環境依存文字であることです。
環境依存文字とは、ユーザーが利用するアプリの状態やデバイスの種類、OSの種類によって文字化けする可能性が高くなるのです。
何故か変な文字が写っていたり、特定の箇所だけ空白になっているなどの現象が起きている時は、その部分だけ環境依存文字に該当している場合が多いです。
こういう事態も起こりうるので、無難に行くなら素直に「喜」という漢字で代用するしかないです。
あくまで異体字でありますし、そもそも「㐂」という漢字自体が超特殊なので、こればかりはやむを得ないですね。
おまけ:名前の漢字で使える?
さて七が3つも並んだ漢字ということで、縁起がいいので人名に使ってみたいなと考える人もいるかもしれません。
しかしその答えは、「現時点では出来ない」となります。
実は先程も説明したように、この「㐂」という漢字はJIS第3水準に該当する超特殊な漢字で、常用漢字でもなければ人名用漢字でもありません。
よく人名用漢字には、やや難しめな漢字が使われているケースも見受けられますが、残念ながら「㐂」という漢字はどちらにも該当しません。
その証拠に、法務省が定めた人名用漢字一覧表の画数6の中に、「㐂」が含まれていません。
つまり子供に「㐂」という漢字をつけても、役所で受理されないことになります。
こればかりは制度変更されるのを待つしかないですね。
まとめ
今回は七が3つ並んだ漢字「㐂」の読みと「喜」との関係、さらに入力の仕方を詳しく解説してきました。それでは最後にまとめです。
- 「㐂ぶ」の読みは「よろこぶ」、音読みは「キ」で「喜」と同じ
- 「㐂」は「喜」の異体字、七十七歳を祝う「喜寿」がその由来
- ワードやエクセルでは漢字コード「3402」で出力できる
- 環境依存文字であるため文字化けしやすい、「喜」の漢字で代用しても良い
- 人名用漢字としては使えない
今回は以上です。「㐂」という漢字を読める人はそうはいないので、間違いなく自慢出来ますよ。