パソコンやスマホで「くに」と打ち込むと、真っ先に登場する漢字は「」ですね。

しかし変換候補の中に似たような文字がいくつかあります。

」と「」、いずれも四角で囲まれていますが、中身がまるで違います。

鷲弟子鷲弟子

この前会った人の中で、苗字が「國分」という人がいたよ。「国」と書き間違えそうになった

いろいろと気になる3種類の「くに」、今回は国と國と圀の違いを徹底解説していきますよ!

フクロウ教授フクロウ教授

3つの文字の成り立ちを調べたら、中国の皇帝まで出てきたよ

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国と國と圀の違いを簡単に!

同じ読みで見た目が違う3種類の「くに」の漢字ですが、違いを一言で簡単にまとめるなら以下のようになります。

  • 」は「くに」を表す常用漢字
  • 」は「国」の旧字体
  • 」は「國」の則天文字


  • それぞれの漢字が出来た順番は、國→圀→国となります。

    ではそれぞれの漢字はどのような経緯で成り立ったのか、詳しく見ていきましょう!

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    国と國と圀の成り立ちについて

    まず3つの漢字の成り立ちを解説する前に、そもそも「くに」が何を意味する言葉なのか、Wikipediaの文章を引用して改めて説明しましょう。

    一般的に、住民・領土・主権及び外交能力(他国からの承認)を備えた地球上の地域のことを指す

    引用元:Wikipedia

    これを意味する漢字として最初に登場したのが、「國」となります。

    「國」の成り立ちを詳しく!

    現在の国と違って、くにがまえの中身が「」となっていますが、なぜ「或」が「くに」を意味するのか気になりますね。

    そもそも「或」という文字は、村を意味する象形文字「口」と、矛を意味する象形文字「戈」から成っています。


    つまり「或」は村を武器で守ることを意味する字で、この部分だけで元来「くに」を表していたのです。

    それに外郭(城壁)を表す部首の「口(くにがまえ)」で囲むことで、今までの「くに」よりもさらに大きな集合体を強調するべき「國」という漢字ができました。

    「或」だけだと村や町と同じ規模でそこまで大きな響きに感じませんが、「國」とすることで王が治める領域という意味合いを強め、外敵勢力を牽制する狙いがあったかもしれません。


    歴史的にはかなり古い漢字ではありますが、冒頭でも紹介したように人名にも用いられていたりします。

    というより常用漢字ではないので、現在用いられるとしたら人名か地名くらいしかない、といっても過言ではないです。

    • 國分(こくぶん):名字など
    • 秋國(あきぐに):名字など
    • 神代國衙(じんだいこくが):兵庫県南あわじ市の地名

    などがあります。


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    「圀」の成り立ちを詳しく!

    次に成立した漢字が「圀」です。

    現在ではほとんど用いられていない漢字ではありますが、この字は則天文字といって、中国武王朝の創始者でもある女帝武則天が発案した漢字とされています。

    武則天の「則天」の部分からとった名前ですが、そもそも「國」という漢字は武則天には評判が悪かったようです。


    理由は口の中の「或」という文字が、「惑(う)」に似ているから。

    地域を限定的に指し示し人の心を惑わしかねない、として忌み嫌い別の文字として考えられたのが「圀」です。


    口の中をよく見ると、「八方」の二文字になっていますね。

    「くに」というのは八方に広がる領土だから、というのがその由来です。確かに納得いきますね。


    しかしこの「圀」という漢字は現在かなりマイナーな字になっています。

    則天文字の中で後世に残った稀有な例ではありますが、現地の中国人ですら知らない人が多いほどです。

    日本でも使用例はほぼなく、「徳川光圀」など歴史上の人物の名前に用いられるくらいです。

    鳩弟子鳩弟子

    「國」に比べたら書き易いと思うけどね、残念

    「国」の成り立ちを詳しく!

    最後に成立したのが「国」です。小学生でも習う常用漢字でお馴染みですが、そもそもなぜ旧字体の「國」ではなくなったのでしょうか?

    「国」が誕生した理由はいくつかあるのですが、一番大きいのは何と言っても書きにくいからでしょう。


    戦後の漢字教育の変革が絡んでくるのですが、画数で比較すると一目瞭然で、「國」が11画で「国」の8画より多いです。

    また「或」という漢字の部分は覚えづらいですが、「玉」という漢字は「王」に点を加えただけでシンプルです。

    何事もシンプルイズベストだから、「国」が採用されたと考えるのが妥当でしょう。

    「王」ではなくなぜ「玉」?

    「くに」は中国では皇帝が統べるものということで、「口+王」で作った略字もかつてありました。

    というより本来の意味を考えれば、中身は「王」となっている方が自然ですよね。


    しかし「国」をよく見ると、中身は「王」ではなく「玉」となっています。

    この字体は漢代隷書から見られる字体ですが、そもそも日本には天皇こそいますが「王」はいません。

    王のいない日本で「王」という漢字を使うのはおかしいだろうということで、「丶」を加えて、今の「国」という字が一般的になりました。


    もちろんこれだけが理由ではありません。

    昔の日本人は「くに」を書くときは筆で「國」と書いていましたが、崩した書体は下のように若干「国」に似てます。

    鷲弟子鷲弟子

    確かに「或」という漢字を崩して書くと、点の部分が「国」の点と対応しているように見えるね。

    まとめ

    今回は国と國と圀の違いについて、詳しく解説してきました。では今回の内容のまとめです。

    • 「国」は「くに」を意味する常用漢字、「國」という字を崩した書体から生まれた説もある
    • 「國」は「国」の旧字体、「くに」を意味する「或」を基に生まれた字
    • 「圀」は則天文字の一つ、武則天によって考案された字で「くには八方に広がるもの」という意味合いから生まれた

    フクロウ教授5

    常用漢字じゃないけど、人名にも使われることは多いから最低でも読みは覚えよう!


    今回は以上です、ご覧いただきありがとうございます。


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