独立行政法人と言えば、ニュースなどでもよく聞きますよね。

税金の無駄削減や、行政のスリム化と叫ばれてこの言葉を聞く機会が増えてきました。





だけどよく考えてみたら、独立行政法人って民間企業とはどこがどう違うのでしょうか?

そもそも独立行政法人で働く人達は、本当に公務員なのでしょうか?


僕自身も過去に就職活動をしていた時期に、周りから

「独立行政法人も、公務員みたいに福利厚生がしっかりしているからオススメだよ♪」

と言われました。

国からの税金で賄われているとも聞きますし、何となくそうだろうとは思いますね。


でも詳しく調べてみたら、独立行政法人の種類によって微妙に違っていたのです!

ということで今回は独立行政法人と公務員の違いを、明確に解説していきます。


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独立行政法人と公務員の違い!

独立行政法人とは、読んで字の如く行政の仕事を行う組織です。

ただし“独立”と書かれていることから、国の各省庁から独立した別組織という扱いになっています。


対する公務員とは、国の省庁や自治体の市役所、国際機関などで働く人のことです。

こう考えますと、独立行政法人は「国の各省庁から独立」とあるので、ここで働く職員らは公務員ではないと思われますね。


だけどこれは厳密には違っていて、正確には

  • 行政執行法人に勤める人は公務員
  • それ以外の独立行政法人に勤める人は非公務員

という分け方がされています。

ここで同じ独立行政法人でも、行政執行法人という言葉が出てきましたね。

一体この行政執行法人とは何なのでしょうか?そしてどんな種類があるんでしょうか?

次から詳しく見ていきますね!

そもそも独立行政法人って何?

独立行政法人については、以下の記事でまとめています。
独立行政法人とは?意味や仕事内容をわかりやすく解説!


上の記事でも書いていますが、独立行政法人の行う仕事のほとんどは本来は公共性・公益性が高い仕事です。

そのため各省庁が直接行った方がいいのですが、中には民間に任せた方が効率的な事業も存在します。

例えば、以下のような事業が独立行政法人に該当します。

  • 国民生活センター:消費者庁が所管
  • 国立青少年教育振興機構:文部科学省が所管
  • 日本スポーツ振興センター:文部科学省が所管
  • 日本学生支援機構:文部科学省が所管
  • 年金積立金管理運用:厚生労働省が所管
  • 国立がん研究センター:厚生労働省が所管
  • 石油天然ガス・金属鉱物資源機構:経済産業省が所管
  • 住宅金融支援機構:国土交通省が所管
  • 国立環境研究所:環境省が所管

上に挙げたのはほんの一例です。教育や医療、福祉に関係する施設や事業もありますね。

これらの事業は儲けや利益などが出辛く採算がとり辛いので、民間企業がやりたがりません。


基本的に数年に一度財政状況がチェックされ、悪いと判断された事業に関しては国から一定の交付金を支給している形になります。

その交付金は主に税金で賄われます、結局独立した後も国からの支援があるというお墨付きです。


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行政執行法人とは?

独立行政法人の仕事内容は、公益性が高いのですが、それでも中には「その業務の停滞が国民生活と社会全体に与える影響が著しく大きいレベル」の事業もあるのです。

そのレベルに相当する独立行政法人を、特定独立行政法人として指定していました。

わかりやすく言うと「極めて公益性が高いから、公務員にした方がいいよね。」ということです。

ただこの指定は2015年3月の法改正までで、現在では行政執行法人という名称で区分されています。

2019年9月現在、行政執行法人は以下の7法人があります。

法人名 所管省庁 仕事内容
国立公文書館 内閣府 公文書を一般公開する
統計センター 総務省 情報の統計・集計を行う
造幣局 財務省 主に硬貨の製造、鉱物の分析、貴金属の精製などを行う
国立印刷局 財務省 紙幣や旅券、切手、収入印紙などの印刷をする
製品評価技術基盤機構 経産省 工業製品などについて評価や品質に関する情報の収集や提供する
駐留軍等労働者労務管理機構 防衛省 在日米軍基地などで働く人達の給与や福利厚生に関する業務、労働者の確保を図る
農林水産消費安全技術センター 農水省 食の安全と消費者の信頼確保を行う

※2015年4月から国立病院機構が外れました。


これらの法人で働く人達は、全て国家公務員として扱われます。

食品の安全に関する事業や、防衛に関する事業、さらに紙幣や硬貨などはどれも業務が停滞すると、国民生活に大きな影響を及ぼします。


一方で公文書を一般公開する事業や情報の統計、工業製品の評価といった仕事は、停滞することで本当に社会全体に大打撃を与えるのでしょうか?

これについても正直何が基準となって、決められたのか謎ですね(;^^

行政執行法人以外は非公務員

前項で説明した7法人以外は、全て非特定独立行政法人となって非公務員扱いとなります。

因みに非特定独立行政法人は、現在以下の2種類に分けられます。

  • 国立研究開発法人:主に科学技術に関する試験や研究、開発事業を行う
  • 中期目標管理法人:3~5年の中期的な機関で、公共上の事業を行う

数でいえば圧倒的に上の2種類が多いですね。

公務員ではないのでこれらの法人に勤めている人も、民間企業の会社員と同様に雇用保険が適用されたり、副業やストライキも可能です。

また多くの法人では、非正規の社員もたくさん在籍しています。


ただしいくら公務員ではないとはいえ、もともと国が直轄していた機関で、国からの交付金も受けられます。

そういう意味では民間企業の社員よりも厚待遇でしょうし、土日祝日などは休みとなる機関も多いです。

公務員ではないけれどほぼ公務員と同じような仕事なので、彼らはみなし公務員と言われてたりします。

まとめ

今回は独立行政法人と公務員の違いについて解説しました。

改めて今回の内容をまとめます。

  • 独立行政法人は国から独立した法人、公務員は国や地方自治体、国際機関で働く人
  • 独立行政法人の中でも行政執行法人に勤める人は国家公務員
  • 行政執行法人以外の独立行政法人に勤める人は非公務員



今後就活する際に、独立行政法人の募集要項があっても、ほぼ公務員ではないので注意しましょう!

独立行政法人でも公務員になるには、行政執行法人に該当する7法人だけですが、国家公務員と言う扱いなのでかなり狭き門です。

もしかしたら各省庁の国家公務員の一般職を目指した方が、まだ易しいかもしれないですね。


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