大学受験において避けては通れないのが志望校の選択です。
大学入試の日程の関係上、国公立大学と私立大学と2つの大学を両方併願する受験生も多いでしょう。
ただ私立大学の対義語として登場することの多い国公立大学ですが、厳密に言いますと国立大学と公立大学に分かれます。
国公立大学と私立大学の違いはなんとなくわかるけど、国立大学と公立大学はどう違うのか?
何となく似たようなものじゃないかと、今まで自分としても詳しくは把握していませんでした。
ということで今回改めて明確な違いについて詳しく調べてみたので、ぜひご覧ください!
国立大学と公立大学の違い
そもそも国立大学と公立大学は一言で「国公立大学」とまとめて称されるくらいですから、かなり特徴的に似ています。
一言で違いを説明するとしたら、
- 国立大学は国の政府が設置・運営する大学
- 公立大学は地方公共団体、公立大学法人が設置・運営する大学
となります。
因みに地方公共団体といっても、実質的には都道県か市が運営していることがほとんどです。
同じ地方公共団体でも、町と村については財政規模や人口規模が小さいので、町立大学や村立大学などは運営できないのが現状です。
公立大学も独立行政法人として公立大学法人があります。
独立行政法人について詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!
独立行政法人とは?意味や仕事内容をわかりやすく解説!
結局「国が運営するか地方が運営するか」だけの違いなんでしょ?
と思われるかもしれません。
しかしこれだけだと少し単純すぎますね。
それ以外にもどういった違いがあるのか、さらに詳しく表にしてまとめてみたのでご覧ください。
国立大学の特徴 | 公立大学の特徴 | |
---|---|---|
大学の数(2019年5月時点) | 86校 | 93校 |
授業料 | 約54万 | 約54万 |
入学金 | 約28万 | 約39万(控除の可能性有) |
試験日程 | 前期と後期 | 中期日程がある |
歴史 | 明治期に建てられた大学が多い | 比較的新しい大学が多い |
短期大学の有無 | 無し | 有り |
具体的にはどんな大学がある?
現在日本では国立大学が86校、公立大学が93校あります。(2019年5月時点)
そこで主な国立大学と公立大学を、それぞれ20校ずつ表にしてまとめてみました。
国立大学 | 公立大学 |
---|---|
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主に20校ずつ紹介してきました。
※この中で大阪市立大学と大阪府立大学は2022年を目途に統合される予定です。
こうして列挙してみると、国公立大学は名前に都道府県名や市の名前が入っていることが多いです。
国立大学が47都道府県に最低一つあり、大学名に所在地名を入れていた大学が大半なのですが、公立大学は地方公共団体が運営していることもあって、やはり所在地名が入る大学が多いです。
名前を見比べると似ていますが、公立大学は“県立”や“市立”、“公立”と入っている大学が多いです。
学費は公立の方が高い?
学費については国立と公立でほとんど差がなく、1年で50~53万円です。
ただし差が大きく出てくるのが初年度、すなわち入学金です。
文部科学省が発表した2015年のデータでは入学金の全国平均が、
- 国立大学が282,000円
- 公立大学が397,721円
と公立大学の方が10万円以上も高かったのです!
国立大学については国の税金も運営費用に充てられるので、その分安くなる傾向があるのです。
ということは「公立の方が高くて国立の方が安いじゃん。じゃあ国立一択だね!」と思いたくなりますが、実は公立の方が安くなる可能性も高いのです。
公立大学は先ほども説明しましたが、地方公共団体が運営している大学です。
つまり運営費用は都道府県税か市税など、地方税のみしか充てられません。
ただ逆に言えば入学以前からその地域にずっと住んでいて、ある程度の税金を納めていた学生については控除される可能性もあるのです。
例えば地元が福岡県の北九州市だった場合、
- 九州大学に進学すると初年度は54万+28万で82万
- 公立の北九州市立大学に進学すれば入学金が控除され23万円になり、合計で約77万円
となり、公立大学に進学した方が初年度の学費は5~6万円ほど安くなります。
もちろん安くなるのはあくまで入学料だけで、それ以降は国立大学とほぼ変わりません。
また地域に根差した公共教育機関としての役割が特に強いのが、公立大学の特徴です。
卒業後も地元で活躍したい意欲があれば、公立大学で研究してきた学生の方が就職で有利になったりします。
学費の安さだけで言えば、地元の公立大学に行くという選択肢も考えていいでしょう。
ただし本当に高度な研究がやりたい人や、そもそも国立志向が強い一部の大手企業などへ就職したいという考えるのある人にとっては、やや厳しい面があります。
もちろん学歴重視の風潮は一昔前と比べて弱くなっていると言われていますが、結局4年間でしっかり勉強と研究を積むことが大事ということです。
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公立大学のみにある中期日程とは?
試験日程において国立大学と公立大学はやや違っている点があります。
現在主にセンター試験が終わった次の2月と3月に、それぞれ国公立大学の2次試験の前期と後期が予定されていますが、一部の公立大学の場合なんと中期日程があるのです。
例えば2018年度の日程では、釧路公立大学、秋田公立美術大学、長野大学、名古屋市立大学の薬学部、大阪府立大学の工学部が、3月8日に中期日程として試験を行いました。
もちろん中期日程を行う大学では、その代わりに前期と後期の両方とも行われないことがほとんどです。
因みに前期が2月25・26日の2日間、後期は3月12日の1日だけという日程でほぼ全国の国公立大学は統一されています。
逆に言えばこの中期日程を利用すれば、前期・中期・後期と3日程で受験することも可能です。
中期がある公立大学を受けることで、国立大学との併願も可能です。
もちろん中期日程を受験しても、前期日程で合格した場合は自動的に合格対象者からは外れます。
私立大学との統合も進む?
これも公立大学のみに起きていることですが、近年では一部の私立大学との統合が進んでいます。
その発端となったのは2018年問題です。
簡単に言いますと近年の少子化の影響で、経営難に陥った私立大学が増大しました。
かつて「大学全入時代」とも呼ばれていましたが、この2018年問題でそれまで経営難だった私立大学がさらに打撃を受け、定員割れを起こしている大学が200校以上もありました。
私立大学は日本の全大学生のうち8割を占めていますが、ピンからキリまで本当に格差がひどいのです。
こうした背景もあって近年、経営権を地方公共団体か公立大学法人に移譲させて、事実上の公立大学化が進んでいます。
地方としても現在は地方格差が叫ばれており、大学の存続も地域活性化の一環として重要視されています。
つまり公立大学と私立大学は両方とも厳しい面にあるということで、共に生き残りをかけて必至ということになります。
まとめ
今回は国立大学と公立大学の違いについて紹介してきました。
それでは今回の内容を改めてまとめておきます。
- 国立大学は国が運営する大学、公立大学は地方公共団体か公立大学法人が運営する大学
- 国立大学法人と公立大学法人も独立行政法人である
- 国立大学の試験日程は前期と後期だが、公立大学は中期日程がある大学もある
- 学費は国立大学も公立大学もほぼ同じだが、公立大学の場合は入学金が自治体在住者向けには安くなる
- 一部の私立大学で経営難などを理由に公立大学化が進んでいる
世間一般では国公立大学とひとまとめに言われることが多いですが、改めてみると違いが多くあることがご理解いただけたと思います。
最近では私立大学の公立大学化や統合も進んでいます。
日本の大学は多すぎるとも批判されていて、これ以降は公立大学化が進むのではないかと予想されます。
もしかしたら国公立大学の数が、私立大学を上回る日も近いかもしれないですね。