日本は多くの受験生が毎年冬の時期に志望校への入試にチャレンジします。
ただその中で大学受験に失敗した浪人生もいれば、在学している現役性も多くいます。
そしてその現役生の中でも、予備校に通わないで受験に挑み合格する生徒も少なからずいます。
そうした現役生で予備校に通わない学生は、大抵私立学校の特進コース出身の生徒だったりするんですね。
実はかくいう僕もその生徒の一人でした。
今でこそ多くの私立学校で「特進科」というのが設けられていますが、名前を見るといかにも頭の良さそうな秀才が集まるコースに思えますね。
よくわかんないけど、特別に受験対策へ力を注いでいるようなコースなのかな?
一体どんな学校生活を送っているんだろう。普通の高校生との違いも気になるよね。
ということで特進コースの言葉の意味と特徴を、実際に通っていた体験談も踏まえてじっくり解説していきます!
「特進」コースの意味と特徴とは?
私立学校などでよく目にする「特進コース」ですが、その意味を一言で説明するとこうなります。
特徴について簡単に説明しますと、一般的にその高校の中で最も成績が優秀なレベルの生徒が集まっています。
もちろん各学年ごとにありますが、それより下のレベルとして別途「進学コース」が設置されている学校もあります。
あるいは学校によっては特進コースではなく、『スーパー進学コース』という名称で設置されています。
進学コースが一般的なレベルの大学入試対策へ力を注ぐコースでなのに対し、特進コースがそれよりさらに上、すなわち難関レベルの私立大学や国立大学への進学を目指します。
またスポーツ推薦についてはないことが多いです。
難関レベルとは一言でいっても学校ごとに差がありますが、概ね以下のような基準で考えてOKです。
- 難関私立大学:早稲田大、慶応大、上智大、関関同立、GMARCHなど
- 難関国立大学:旧七帝大(東大、京大、阪大、北大、東北大、名古屋大、九大)、神戸大、一橋大、筑波大、東工大
偏差値で例えると、「だいたい60以上で7割の確率で合格できるラインの大学」と言ってもいいでしょう。
高校受験の際には、過去の卒業生が上記の大学に何名合格したかの実績が、資料やパンフレットなどに掲載されています。
地元の国立大学への合格者数が多い?
ただし地域柄、どうしても遠方の大学への進学が厳しい家庭が多いのも仕方ないです。
となると地元か近い範囲の中で、最もレベルの高い大学への合格を目指す生徒が多くなります。
例として、九州にある私立高校の特進コースの合格実績はこんな感じです。
- 早稲田大学3名
- 東京大学1名
- 京都大学2名
- 東北大学5名
- 大阪大学1名
- 九州大学9名
- 神戸大学3名
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九州にある学校ということなので、やはり九州の中で最高峰とされる九州大学への合格者数が抜きん出ています。
このように各地域にある高校の特進コースは、地元の中で最高レベルとされる国立大学への合格を目標に掲げていることが多いです。
大阪の高校なら大阪大学、愛知の高校なら名古屋大学といった感じだね。
東大・京大と早慶上智は少ない?
もちろんどの高校の特進コースも、やはり目指すべき最高レベルとして、東大か京大を掲げています。
ただ往々にして東大か京大というのは、母数次第にはなりますが1~2人になることが多く、0人になる年もあります。
あと特進コースのもう一つの特徴は、あくまで国立理系か国立文系への対策を行っていることが多いので、早慶上智の合格者数も少ないです。
偏差値のレベルという問題ではなく、問題の傾向や種類が国立とはまた違うので、早慶上智の合格というのは別の難しさがあるんですね。
この辺については、駿台や河合塾といった大手予備校には及ばないのが現状です。
多くの受験生にとって人気が高い河合塾と駿台の二大予備校ですが、大きな違いは何なのか。合格実績や授業料、質問体制などを比較して、自分がどっちの予備校に入った方がいいのか、気になる方はぜひご覧ください!
もちろん単に授業料が高すぎるというのも大きな理由だね。
仮に東大合格者数が一年で5人とか出てきたら、もう大事件と言っていいでしょう!
少数精鋭のクラスである
僕が通っていた特進コースもまさにそうでしたが、基本的に特進コースというのは少数クラスとなっています。
一学年で15クラス以上ありましたが、その中で特進クラスはたった2クラスしかなく、生徒数も100人未満でした。
そしてその中でもトップの成績を収めた生徒だけが、地元の最高レベルの国立大学へ合格できます。
割合にすると、最初入学した生徒数が100名だったとして、その内のたった10名ほどしかいません。
だから「特進コースに受験して合格した!」と言っても、必ずしも地元の国立大学へ行けるわけではありません。
特進コースはあくまで、予備校とほぼ同じレベルの大学受験対策のカリキュラムを組んでいるにすぎず、最終的には個々人の努力次第ですね。
どんな学校生活なの?
難関大学への合格に力を注いでいる特進コースですが、改めてどんな学校生活なんでしょうか?
ここからは僕自身の体験談となりますが、じっくりと解説していきますね。
まずは普通の高校とほぼ変わらない点から紹介していきます。
- 学校行事(体育祭や文化祭、修学旅行など)は普通にある
- 家庭科や体育、総合、書道など受験に関係ない科目も普通にある
- 部活動も普通に入れる
御覧のように体育祭と文化祭は隔年ではありましたが、一年に一回ありました。もちろん修学旅行もちゃんとありましたよ。
あと大学受験に関係する科目以外でも、学習指導要領で定められた必修科目を受けることが必要であるため、体育や家庭科といった科目もありました。
もちろんこれらの科目でも普通にテストがあります、テスト対策がかなり大変になりますね。
定期テストと実力テストは両方とも生徒に大事なテストですが、決定的な違いは何なのか。行われる時期と目的、難易度と範囲の差、そして受験のためにはどっちを優先すべきなのか?また実力テストでいい点数を取るには何が大事になってくるか?具体的に解説していきます!
そして部活動にもちゃんと入ることができます。
ただ僕が在学していた頃も同級生に何人かいましたが、やはり進学に重視しているので両立はほぼ難しいといえます。
特進科ならではのハードな生活とは?
それでは特進コースならではのハードな学校生活を、サラッと箇条書きでご紹介します。
- 中間テストと期末テストも普通にあるが難易度は高い
- 大手予備校の実施する模擬試験をたまに受ける
- 「朝課外」といって7時台から授業を受ける(九州限定?)
- 放課後も夜6時くらいまで授業がある
- 夏休みはお盆休みを含め2週間ほどしかなく、それ以外は普通に課外授業を受ける
- たまに実施される実力テストは、国立2次試験を想定した難易度である
ザックリと挙げましたがどうでしょうか?
こうしてみると我ながら高校3年間は本当に頑張ったなぁと思います(;^^
ある意味普通のサラリーマン以上に厳しいですね。
特にハードだなと感じたのは、「朝課外」の存在でした。
実は後になって気づいたんですが、この朝課外というのは九州の高校限定みたいです!
朝の7時半くらいから普通の1限目に先立って、「0限目」として授業が組み込まれていたんですが、電車通学だったんで朝はほぼ毎日5時30分とかに起きていました。
電車通学の生徒には本当に辛いと思います、特に真冬の寒さはヤバかったです!
あとは夏休みが減るのもきつかったですね。
周りの生徒が普通に遊んでいる中で自分達は勉強しなければいけないというのが、精神的にこたえました。
高校によっては、一年生の後半からこうした生活になります。
上で紹介した生活はあくまで僕自身の体験談に基づくもので、学校ごとでまた異なるのはご了承ください。
これに加え部活とかに入ると、さらに帰宅する時間が減ったり勉強時間が減るなどといったことになりますので、そもそも入ることを許可しない学校やコースもあるみたいです。
だけど東大や京大に合格する生徒は、実は中学や小学校時代から勉強しているんですよね(汗)
特進コースが増えた背景とは?
そもそも特進コースというのは、全ての私立高校に設けられているわけでありません。
現に東大や京大、早慶上智などトップクラスの難関大学の合格者数が最も多いのが、
- ラ・サール高校
- 開成高校
- 麻布高校
といった私立高校で、受験生にとっては馴染み深い高校名ですね。
毎年100名以上の東大や京大への合格者を、現役で輩出することで有名なこれらの高校ですが、いずれも私立学校で中高一貫校となっています。
そして何より凄いのは、特進科が設置されていないということ!
上記の学校では普通科のみしかないのですが、それもこれも中学校から一貫して、東大受験対策に沿ったカリキュラムを組んでいるからです。
一般の高校がたった3年しかないのに対し、これらの学校では中学校と合わせて、6年も東大や京大への受験対策が組めるのは最大の強みです。
本気で東大や京大に入学させたい親は、子供にこれらの高校へ入学させようと奮闘します。
英才教育というやつですが、ゆとり教育が始まって以降は特に顕著になってきたようです。
でも全ての子供がこれらの高校に入学できるわけでありません。
入学するには試験に合格しないといけないわけですが、これらの高校に入れなかった生徒の受け皿として、各私立高校が特進コースの設置を増やした背景があります。
特進コースの特徴として、そのハードなスケジュールを先ほど紹介しましたが、これについてはちゃんと理由があります。
上記に挙げたような私立高校に通う生徒は普通の高校生に比べて、かなり忙しい学校生活を送っています。
ただしスパンが6年(小学校も含めると10年以上)もある彼らに対して、私立高校の特進コースだとたった3年しかありません。
たった3年でこれらの優秀な高校に通う現役生と渡り合うためには、密度の濃いカリキュラムにならざるを得ませんしコマ数も増えます。
こうした理由から、特進コースは予備校並みのハードなスケジュールになるということです。
逆に言うと特進コースに通えば、予備校には別に通わなくてもいいってことになるね。
もちろんそのためには3年間素直に努力し続けないとダメだけどね!
進学コースとの比較は?
特進コースと似たような名称として、「進学コース」が設置されている高校も多いです。
僕が通っていた高校でもありましたが、進学コースの特徴としては、
- 難関レベルの国大ではなく、地元の国公立大学を目標とする
- 私立大学の目標は、特にGMARCH、関関同立をメインとなる
- スポーツ推薦がある
となります。
要するに特進コースより一つ下のレベルの大学を目指す、ということになります。
特進に比べるとそこまでハードなスケジュールではありません。
本格的に受験対策を考慮したスケジュールになるのは、それこそ高校2年生の後半からで、それまではほぼ普通の高校生活を送れます。
そして何より大きいのは、スポーツ推薦があるということ!
仮に部活で優秀な成績を収めたり、どうしても部活に励みたい生徒はやはり進学コースがオススメといえます。
正直特進コースはそのハードなスケジュールから、部活と勉強の両立がかなり困難です。
もちろんスポーツ推薦があるからと言って、完全に勉強しなくていいというわけではなく、入試自体はあるので注意しましょう。
あと部活と両立したいからと言って、難関レベルの私大や国大も目指したいとなると、それはまた話が変わってきます(汗)
ただ私立大学受験はセンター重視だったり、そもそも2次試験で課される科目数が少ないといったメリットもあるので、国公立の理系よりは対策しやすいと言えますね。
まとめ
以上特進コースの意味と特徴、ハードな学校生活の実情などを紹介してきました。
今回の記事で改めて特進コースの難しさが、おわかりいただけましたでしょうか?
もちろん三年の受験直前になって慌てふためくより、一年生の内からスタートダッシュを切って入念に対策したほうが、合格できる確率は高くなります。
そういう意味では特進コースは、本気で大学受験に臨みたい生徒にとっては最適なコースかもしれません。
だけどこの生活と勉強量に耐えられなくなって、脱落する生徒も少なくないのが特進コースの特徴です。
これから特進コースに入学しようと考えている中学生は、その厳しさを肝に銘じておきましょう!