日本を代表する文化、それがサブカルチャーですね。
アニメや漫画、ゲームなど日本独自で発展したジャンルは、今や海外でも大人気となっています。
さてそうしたサブカルチャーに夢中になっている人のことを、俗に“オタク”と呼びますね。
しかしこれと似た意味として、“ファン”という言葉もありますね。
アニメ好きのことを“アニメオタク”と呼んだりする一方、“アニメファン”と呼ぶ人も少なからずいます。
両方ともなんとなく「夢中になっている人」という意味では一緒かもしれませんが、その明確な線引きはどこにあるのでしょうか?
もしかして「自分はファンなのか、それともオタクなのか?」と気になっている方も多いと思います。
さらに「ファンだと思ってたら、知人や家族からオタクっぽいと言われた。」なんていう方もいるのではないでしょうか。
ということで今回は似たような言葉である、オタクとファンの意味の違いを徹底解説していきます!
オタクとファンの違いとは?
この2つの言葉は、どことなく「何かの物事や趣味に夢中になっている人」という意味では共通しています。
恐らく大半の人は、そこまでハッキリとした違いを意識せず使っているのではないでしょうか?
そこで「コトバンク」というサイトで、2つの言葉の意味を詳しく調べてみることにしました!
- 「オタク」の意味
- 「ファン」の意味
ある特定の分野やものごとに過度に傾倒すること,あるいはその人。同好の仲間同士が軽い敬意をこめて「御宅」と呼び合ったことに由来するといわれる。コラムニストの中森明夫が 1983年に『漫画ブリッコ』誌に連載した『「おたく」の研究』で紹介された。「アニメおたく」「ゲームおたく」などと使われる。社会的にその価値が理解されがたいサブカルチャーや趣味に嗜好をもち,その細部にこだわり,自分の世界に閉じこもって没頭する傾向が強い。
引用元:コトバンク
〘名〙 (fan) 熱心な愛好者。実際に自分がするのではなく、それらを見たり聞いたりすることが好きな人。また、ある特定の人物を熱烈に支持する人。
引用元:コトバンク
それぞれこのように書かれていましたが、どうでしょう?
何となくみなさんが抱いていたイメージと被ってはいませんでしたか?
上記の言葉の意味も踏まえてまとめるなら、以下の3点でオタクとファンは線引きできると言えるでしょう。
- 夢中になっているレベルが高いか否か
- 独自のコミュニティや文化を形成しているか否か
- 趣味の対象が漫画やアニメなどのサブカルチャーに偏っているか否か
ではそれぞれの線引きについて、より詳しく見ていきますね。
夢中になっているレベルが高いか否か
オタクもファンも「何かに夢中になっている」点では同じです。
ただ単に夢中になっているだけではファン止まりで、それにのめり込み過ぎて知識を深掘りするとオタクになってしまう、と言えるでしょう。
誰しも趣味にのめり込み過ぎてしまった、という経験はあるのではないでしょうか?
僕自身も過去にいくつもゲームをしたり、好きなアニメに夢中になったことがあります。
そういう時にあまりにも夢中になっていて、周りの友達でも全然わからないくらいその作品の専門知識が蓄積されて、謎の尊敬を味わったことがあります(笑)
こうなると完全にオタクの領域になってしまいますね。
アニメや漫画でも、特定の作品が好きな人は多いですが、その作品に出てくる登場人物の生い立ちやプロフィール、ステータスなど事細かに知っていたら、間違いなくオタクと思っていいでしょう。
好きになったり夢中になることは多くの人が経験があると思いますが、その度合いの深さでオタクかファンかの線引きをされます。
よく見ればオタクの方は「過度に」という言葉で強調されています。あまりにも深く夢中になっていて、周囲への関心も低くなっているということを意味します。
極端に言えば夢中になりすぎたあまり、生活費もその趣味に平気で注げる、それがオタクの最大の特徴です。
オタクとマニアの違いって?実はいろんな意見があって面白い!
ではファンはどうでしょうか?
ファンというのはどちらかといえば、上の記事でも紹介しているマニアに近いです。
言いかえれば、「熱狂的なファン=マニア」という見方もできます。
この記事を読んでいるあなたも、何らかのアニメや音楽グループ、さらに野球チームなどのファンではないでしょうか?
というか「自分は何のファンでもない!」と豪語できる人の方が少ないでしょう。
ファンはファンでも「熱狂的なファン」と呼ばれる人は、どんなジャンルでもいるでしょう。
ジャニーズやアイドルグループでも、特定の人物やグループが熱狂的に好きになるファンはいますが、こうした人達は傍から見ると、ややオタク寄りと感じられると思います。
ですから「ジャニヲタ(ジャニーズオタク)」とか、「ドルヲタ(アイドルオタク)」なんていう言葉も増えてきているわけです。
以上をまとめますと、
- ファンはまだ愛好者レベル
- オタクは過度にハマっているレベル
という線引きとなります。
独自のコミュニティや文化を形成しているか否か
次に挙げる線引きとしては、独自に形成されたコミュニティや文化があるかどうかです。
もちろんファンの間でも「ファンクラブ」というのは存在しますが、別にそういうのに参加しなくてもファンと認められますし、そもそも参加しないファンも多いです。
よほど熱狂的なファンでもない限り、ファンクラブに必ず参加するということはありません。
しかしオタクにとってはコミュニティやグループは、ほぼ必ずと言っていいほど参加します。
今ではネットも普及しているので、SNSで独自のコミュニティを形成して尚更参加しやすくなりました。
その分オタクになれる敷居が下がったと言えなくもないですが…
オタクにとってそれに参加するのは日課レベルになっています。
そして「参加した人同士で深く交流することで、独自の文化を作り上げることができる」と評論家の岡田斗司夫氏は語っています。
秋葉原で見かける奇抜なファッションをしたオタクや、オタクっぽい喋り方というのも、こうした独自のコミュニティがあったからこそできたということです。
傍から見ると異様な光景に見えなくもないですが、彼らは本当にその作品が好きな人、深くのめり込んでいる人同士で集まって交流するので、そもそも一般人に広く理解してもらおうという意識は低いのです。
オタクにはオタク独自の文化やマナー、知識の量があって、逆にそれがオタクの敷居を高く見せている原因かもしれませんね。
その点ファンと呼ばれる人達は、そうした敷居の高さを感じさせません。
ファンはどちらかと言えば、一般の人にも広く受け入れてもらおうという配慮もあります。
仮に何かの「ファンクラブ」に入ろうとした時に、「あなたはそこまで詳しい方じゃないからお断り!」なんていうルールなんかありませんよね。
「ファンクラブ」にはそれほど詳しくないファンも多くいるでしょう。
そういう人は俗に“にわか”と呼ばれていますが、そうした人達でも気軽に楽しめるのが特徴です。
趣味の対象が漫画やアニメなどのサブカルチャーに偏っているか否か
夢中になっている対象が漫画やアニメと言ったサブカルチャーに偏っていると、やはりオタクっぽいと言われますね。
逆に特定の野球チームやある映画、ある俳優が好きな人のことをオタクとはあまり言わないですね。
こうした大衆向けの趣味や、一般人でも理解できる趣味に夢中な人は、オタクではなくファンと呼ぶ場合が多いです。
個人的にこれが一番強い要素だと考えています。
「自分はそんなつもりじゃないのに」と思っても、こればかりは世間一般的にそういうイメージが強いので仕方ないです。
ではどうしてこうしたイメージの差異が生まれたのでしょうか?
そもそも「オタク」という言葉を普及させたきっかけの一つが、1983年に「漫画ブリッコ」のコラムで、コラムニストの中森明夫氏が発した発言にあります。
コミックマーケットに集まる集団に対して、友達同士で「おたくらさぁ」と呼び合う光景に苦言を呈し、彼らのことを「オタク」と命名しました。
これによって以後アニメやSFファンが、敢えて「オタク」を自認するようになったのです。
アニメや漫画以外にも、特に一般の人から受け入れ難い趣味を持つ人を指す言葉として使われるようになりました。
また他にも考えられる背景が、ロボットアニメやゲームの普及です。
オタクという言葉が登場する以前からも、何かの趣味に夢中になっている人達はたくさんいました。
有名なのがバービー人形などの玩具をひたすら集めていたコレクターや、映画スターや歌手を熱狂的に応援するファンなどですね。
こうした人達は戦後の高度経済成長紀のメディアの発展とともに、広く認知されるようになりました。
この流れに変化をもたらしたのが、1970年代以降のアニメブームです。
当時のアニメ作品として有名なのが『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』、さらに『マジンガーZ』などのロボットやSF色が強い作品が多くヒットしました。
特に強い影響を及ぼしたのが『機動戦士ガンダム』によるガンプラブームと思われます。
ガンプラとは「ガンダムのプラモデル」の略で、文字通りガンダムのロボットのプラモデルをたくさん買ってたくさん作って飾るという人が多くいたわけです。
一般人からしたら鉄道模型はまだいいとしても、「なぜガンダムを?」と疑問に思いたくなるでしょう、
かくいう僕の兄も昔はガンダムのプラモデルを集めていました。
このガンプラブームが社会現象にもなったことで、アニメ市場の動向も活発化し、徐々に旧来のアニメファンとは対照的なアニメファンが生まれるようになりました。
その後1980年代になると今度はテレビやビデオデッキの普及と、テレビゲームとしてファミコンが登場したことで、オタクと呼ばれる人達が増加します。
特にテレビゲームの普及もかなり強い要因と言えます、これも夢中になると本当に周りが見えなくなることがありますからね(;^^
すなわち過度に夢中になっている人が、こうしたサブカルチャーで多く目立ったことで差別化させるために、ファンではなくオタクを使うようになった、というのが背景にあるのです。
オタクとファンの境界が曖昧になりつつある?
ただし昨今は、比較的ライトな層でも簡単に「オタク」と言われるようになりました。
特に1990年代以降になると『新世紀エヴァンゲリオン』の大ヒットや、インターネットの普及、そしてグローバル化の影響でオタクのメディアへの露出度と認知度が高くなっていきます。
最近では「リア充オタク」なんて言う言葉も出てきています、芸能人なんかでもあるアニメや漫画のファンやオタクであることを公言している人は多いです。
一昔前はややネガティブなイメージもあったオタクも、徐々にですが広く受け入れられるようになりました。
ただ広く受け入れられるようになって、ファンとオタクの境界がほぼ曖昧になってきているのです。
例えば「私はアニメオタクだ!」と公言していても、それがどのアニメなのか、作品名も特定されないのではかなり怪しいです。
言葉の定義を厳密に考えるなら、「アニメオタク=全てのアニメを詳しく知りつくしている」という意味ですから、それこそコンピュータしかわかりません(笑)
「ドラゴンボールオタクだ」とか「ガンダムオタクだ」と言うのが正解です。
もちろんあまり詳しくもないのに、軽々しくオタクと公言すると、本物のオタクから「にわか乙!」と言われるので気をつけましょう(笑)
まとめ
今回はオタクとファンの意味の違いを深く掘り下げてきました。それでは改めて今回の内容をまとめます。
- オタク
- 過度に夢中で詳しく知りつくし、生活費を趣味に平気で注ぎ込めるレベル
- オタク同士のコミュニティは独自の文化が形成されていて、やや閉鎖的
- 趣味の対象が漫画やアニメなどのサブカルチャーに偏っている
- ファン
- 詳しい度合いはそこまで深くなく、たしなむ程度でもファンと名乗れる
- ファンクラブは多くの人でも気軽に参加でき、比較的オープン
- 趣味となる対象がスポーツや音楽、歴史など幅広い
このようになりますが、いかがでしょうか?
特に特定の漫画やアニメが詳しいか否かで、オタクとファンが線引きできる、これが一番大きな要素だと考えます。
オタクにしろファンにしろ、やっぱりエンターテインメントを盛り上げてくれる貴重な存在です。
因みに僕はと言いますと、今までの人生で過度に夢中になった趣味はいくつかありましたが、結局ファン止まりでしたね。
一度秋葉原に行ったことはあるのですが、やっぱり本物のオタクは格が違うなぁと実感しました(;^^