6月は毎年梅雨の時期で祝日がなくこれといった大きなイベントもないですが、実は多くの民間企業では一年の中で非常に大事な時期となります。この6月に多くの民間企業では株主総会を開催するのが恒例となっています。

テレビや新聞などを見ると、毎年6月は確かに株主総会関連のニュースが多い気がします。

株を保有している投資家にとってはこの6月の時期は毎年そわそわしますよね、筆者は株をやったことないのでわからないですが(;^^)

しかしなぜ多くの企業が6月に株主総会を開催するのでしょうか?疑問に思っている方も多いのでは?

今回はその辺も踏まえつつ近年の株主総会の開催の傾向の変化も解説していきます、ぜひ参考にしてください!
 

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株主総会とは?

まずは株主総会について基本的な情報を紹介しましょう!

株主総会というのは、株式会社の株主が構成員となってその会社の基本方針や重要事項を決定する大事な機関の一つです。

日本や欧米などはいわずとしれた資本主義の社会でありますが、その資本主義の経済の要となっているのが株式会社です。そしてその株式会社を支えているのは多くの株主と呼ばれる人達です。

株主とはその名の通り株式会社の株を保有している人で、個人のみならず法人も株主に該当します。

その会社の出資者ということで、言い換えればオーナーという考えも出来るのです。それゆえその会社の経営に関わる重要な意思決定は、株主が保有するというのが株式会社の大原則となっています。

 
つまり株主が出資しない、またはその会社の株を買ってくれないとその株式会社は経営できないわけです。その会社が成長する見込みがない、赤字となると株主にとっても損なので、株主はその会社の株を売却します。

こうして株が多く売られるとその株には価値がないということになるので徐々に値段が下がっていきます、これが株価の値下がりということです。

よくニュースで日経平均株価が大きく値下がりしましたと言いますが、投資家が一斉に株を売るのでこうした現象が起きるのです。


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株主総会が集中するのは決算の時期と関係?

では本題の株主総会がなぜ6月の時期に集中するかについてですが、一言でいうなら

3月期決算の会社が多いから

です。

 
株主総会に関しては、決算承認とそれに伴う剰余金の分配決議、さらに重要な役員の選任決議を行う定時株主総会と、合併など会社の経営に重大な決定事項が発生した場合に開かれる臨時株主総会の2種類があります。

6月の時期に開催されるのは当然前者の定時株主総会の方ですが、実は日本の会社法によると3月に決算した会社は3カ月以内に株主総会を行うという決まりがあるそうです。

具体的には決算を行った日を基準日として、それから3カ月後の6月の最終営業日の全営業日の特定の日に行う会社が多いですが、日本では3月期決算の会社が多いために6月に集中するということになります。(学校でも3月が年度末となって、4月から進級となりますがそれと同じです。)


3カ月以内であれば問題ないので、実際は4月や5月に行っても問題ありません。

しかし1年間の事業活動の成果、決算や財務についての情報、株主配当額について検討するためには、会社側で決算報告書や貸借対照表を作成して、それを入念にチェックしなければいけません。

つまり総会を開催するための事前の準備に時間がかかるのです。

その時間というのは会社によってまちまちでしょう、大きな会社であれば猶更です。

また4月は入社式の準備で忙しかったり、新人の研修もありますし、人事の異動の面で忙しくなります。

そして5月の上旬はゴールデンウィークを挟みますので、実質1カ月半はほとんど準備ができません。

結果としてゴールデンウィーク明けに準備をするパターンが多くなるので、総会は6月以降の開催にずれ込んでしまう、という流れになります。

株主の議決権行使の期間が関係!

もう一つの理由として挙げられるのが、株主の議決権が行使できる期間です。

実は議決権が行使できる期間には制限があるのです。


一般的に会社が一定の日を基準日として定めた日に、名簿に記載されている株主を「基準日株主」としているのですが、その基準日となるのが3月31日と定められ、「その日から3カ月以内にのみ行使できる」と会社法では定められています。

この基準日から離れすぎてしまうと、社会的に公平とは言えませんね。

株というのは基本的に誰にでも渡すことが可能ですから、その会社の株主の構成は日々変わる可能性もあります。


9月や10月、さらに年末にまで総会の時期がずれ込むと、基準日の時に記録されていた株主の半分もいなくなっている可能性が高いです。

新年度から登録された株主達は、昔からその会社のことを深く知っているわけではありません。

新しく入ってきた株主達とそれまでいた株主達との間で、意見の食い違いが大きく発生してしまうので、それを避けるためにも3カ月という制限が設けられているのです。

総会屋対策もある?

これ以外にも総会屋と呼ばれる組織を排除して、総会を円滑に進めるためという理由もあります。

総会屋とは、株主総会において株主としての地位を悪用して、会社から不当な利益を得る人達のことを指す言葉です。


ただし一言で総会屋と言っても、総会を円滑に進めて他の株主の意見を封じるような人(与党総会屋)もいれば、自分達の意見が通らなかったり、利益配分に納得がいかなければ総会を妨害しようとする悪質な人(野党総会屋)など様々です。

もちろん会社にとって都合が悪いのは後者の方で、特に東証一部上場の企業となると株主数が数万人規模に及ぶ会社も出てくるので、少なからずこういった株主は出てきます。

故に開催日を集中させることで、総会屋の影響を少しでも和らげる効果があったそうですが、近年では総会屋の活動が以前と比べて弱くなったことや、個人株主に配慮しようと平日ではなく土日に開催する企業も増えて来たそうです。

日本型と欧米型の違いとは?

株主総会や経営手法を見てもわかると思いますが、日本の多くの企業ではとりわけ従業員のための会社という意識が非常に強いのが特徴です。この意識が強いために、終身雇用や年功序列的な雇用慣行を維持している企業は多いと言えますが、欧米などとはまるで考えが異なります。

欧米では会社は株主のためのものという意識が非常に強くて、最終的に求められるのは利益です。利益が出ないと株価が上がらない、つまり株主のためにならないので、その会社は評価してもらえません。


そのために非効率的な経営手法は取り入れられません、成果が低い従業員も簡単にリストラされるのが特徴です。

日本でもバブル経済崩壊以降の不況で、こういった欧米型の経営手法を取り入れた会社が増えてきました。

ただしそれでも従来の経営手法を未だに慣行している企業は多く、特にサービス業が増えてきた最近の産業構造では、一概に全ての企業で欧米型が理想的なスタイルとは言えないのも事実です。
 

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株主総会の集中開催は減ってきている?

株主総会が6月末に集中するのは3月期決算の会社が多いためですが、近年ではこの集中開催も徐々に減ってきているようです。

1995年には上場企業の95%近くが6月末の集中日に開催していましたが、徐々に減り始めて2016年には32%ほどにまで減少したようです。その背景には株主に対しての配慮があります。

現在日本にいる個人投資家は約1千万人近くいるとされていますが、その個人投資家がいざ株主総会に出席するときに、いろいろな会社の株式を購入しているとそれだけで複数の会社の株主総会に出席する必要があります。


しかしもし自分が保有している株式の会社が全て同じ日程で総会を開いたらかなり不便です。株主からしたらいろいろな総会を見て回って、いろいろな会社の社長の意見を聞いて、それでその会社の株式を保有し続けるべきか売るべきかを判断します。

ただし企業側から見たらこういった株主は、自社にとって不都合な株主ともいえるのでそういった株主をなるべく出席させないように、集中的に開催してきたという批判もありました。

またかつては日本の投資家は物言わぬ株主とも言われていて、企業に対して経営の改善を強く要求すると言った人は少ないと言われていました。


しかし2005年に物言う株主として一躍有名となった村上ファンドの登場など、徐々に日本でも株主に対しての待遇を高めてきました。(ただし物言う株主のほとんどは法人格の機関投資家と言えます。)

こうした経緯もあって現在安倍政権は「日本再興戦略」の一つとして、企業が株主の立場を高めて、対等に緊張関係を持って経営をしていくことで日本の経済の回復に向かわせようと努力しています。

※具体的にどういった会社がどういった日程で株主総会を行うのか、その詳細な日程は以下のページで調べられます。気になる方はぜひ参考にしてください!

株主総会スケジュール
 

まとめ

今回は株主総会が6月に多い理由についての紹介でした。

改めてまとめますと、株主総会が6月に多くなるのは3月期決算の会社が多いためですが、その他にも

  • 株主の議決権が行使できる期間が短いこと
  • 総会屋対策の意味合いがあること

が関係しています。

ただ近年では個人投資家が増えたことから、6月以外の月に開催する企業も増えてきました。

株主と会社の駆け引きみたいな側面もありますが、日本の企業は今後株主の意向をどれだけ重視できるのでしょうか?

株主が株を買ってくれるから会社も経営ができるということも事実ですが、利用してくれる顧客の満足度も高めないといけないので、会社経営というのは本当に大変なものです。
 

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