今や国民の約8割がスマートフォンを所有しています。
もはやスマホを持っていない人の方が珍しいですが、それと同時に普及したのがスマートフォンゲーム(通称“ソシャゲ”)です。
ゲーム市場を支えるのは据置型から携帯型へと本格的に移行しつつありますが、市場規模は既に1兆円近くあるそうです。
そんなスマホゲーム市場を支えるのがゲーム内にあるガチャによる収益です。スマホゲームのほとんどはプレイ自体は無料なのに、なぜこれほどの経済効果があるのかと言うと、結局ガチャがあるためです。
なぜこれほどガチャによる収益が多いのでしょうか?
またこのガチャ商法はかなり闇が深いと言われていますが、それはどういうことなのか?
ガチャという商法が登場した経緯も併せて解説していきます。
ガチャ商法はどんな経緯で誕生した?
今や日本のスマホゲームのメインの収益を誇るガチャですが、そのガチャはどういった経緯で誕生したのか簡単に解説します。
携帯用ゲームが登場する前にあたる90年代や2000年代初期までのゲームは課金と言うシステムがなく、ほとんど据置型でソフトを買う必要がありました。
つまり買い切り型でプレイ自体が有料でしたが、ゲーム内で次々とアイテムを購入させるような商法は存在しませんでした。
しかしそこに登場したのが携帯電話(ガラケー)です。
ガラケーではゲームのプレイ自体を無料にすることで、多くのユーザーを惹きつけることに成功しました。
携帯電話の普及とともに、片手間に遊べる、ちょっとした暇つぶし程度に遊ぶという魅力に惹かれて多くの携帯電話所有者が携帯用ゲームを興じるようになりました。
しかし無料でできるというのは逆にいえばゲーム自体のボリュームはそこまで多くないので、遊びつくすと飽きてしまい、他のゲームに移行したりします。
いくら無料で提供しているとはいえ、他の会社が運営しているゲームに興味が移るとその会社の収益そのものに影響しかねません。
- どうにかしてユーザーを自社のゲームのファンにできないだろうか?
- ユーザーが離れないようにするにはどうしたらいいんだろうか?
これほど多くのユーザーがゲームにはまっているのなら、当然ビジネスとして成立できるはずだ、と企業側は考えるようになりました。
そこでゲーム内で課金させるシステムが誕生しました。その課金システムの中でも特に射幸心を煽るガチャがもっとも収益を伸ばしているのです。
今ではガラケーではなく、スマホが主流になっていますが、プラットフォームが変わっただけでほとんどのスマホゲームはこのシステムを踏襲しています。
ガチャって何? 1回いくらかかる?
一般的にソーシャルゲームにおけるガチャとは『ランダム型アイテム提供方式』と呼ばれるアイテム課金方式のことを指します。(JOGAのガイドラインより)
現実世界のおもちゃ屋・ゲーム屋に置いてある玩具の「ガチャ」と同様、箱の中にあるたくさんあるアイテムの中からランダムで当たりが出るシステムです。
ゲーム内では、ガチャを引くための専用のアイテム(くじを引く権利)を有料で販売しています。(例:パズドラだと魔法石、モンストだとオーブ)
通常1回のガチャで5個消費して、値段的にはだいたい500円といったところです。
現実との違いは、ゲームの中では残量の概念がないということにあります。ゲームセンターに置いてあるガチャポンがまさにそうですね。
現実だと、外れが出ても箱の中にある総量が減るので、回し続ければ当たりが出る確率は増えてきますが、ゲームではそういったことは起きません。
1回1回の当たりの確率は全て同じになります。
例えば100分の1で当たりが出るというガチャなら、最低100回で当たりが出るのが現実のガチャですが、ゲームのガチャだと100回でも出ないという現象が起こり得るのです。
これがガチャ商法の闇だと言えます。特にガチャと言うのはユーザーの射幸心(当たりを引きたい、優越感を得たい欲求)を煽りやすいとして、消費者庁が度々苦言を呈しています。
そのガチャ商法の闇の深さを改めて問題視させたのが『グランブルーファンタジー』というゲームです。
通称“グラブル”と呼ばれているゲームで、CMでは俳優の菅田将暉さんや、女優の早見あかりさんなどが出演している人気RPGですが、このゲームで2015年12月に起きた騒動を紹介します。
「グラブル」運営にユーザー激怒…人気声優「ステマ疑惑」にも飛び火
ニコニコ動画の生放送でとあるユーザーがレアキャラに当たる“アンチラ”というキャラが2000回以上もガチャを回したのに全く出ないという事態が起きたというのです。
回した回数は何と2276回! 総課金額は約70万円!
ここまで来るともはや常軌を逸した課金行為ですが、しかし何より恐ろしいのはここまで排出確率を小さくした運営会社にあるでしょう。
たった1回のガチャイベントでも何十万と課金するプレイヤーが1人だけとは限りません。
少なく見積もっても100人近くはいるでしょう、数万円規模の課金なら1000人近く、数千円規模なら1万人近くいると仮定したら、それだけで1億円以上の収益が見込めるのです。
いかにガチャによる収益が大きいかわかります。
スマホゲーム市場を支えているのは廃課金者たち?
ガチャを回すのはユーザーのモラルにも問題があります。
故にここ最近のスマホゲームでは、あまりにも大量に課金してしまうと、ユーザーの生活に支障が出かねないので、1日の課金上限額と言うのが定められています。
もっともほとんどのユーザーはある程度自制心、懐事情を理解しているので無理してまで回し続ける行為はしません。
そう考えればガチャと言うのはあくまでおまけだという認識で楽しめるはずですが、ある程度お金があったり、自制心が足りない、他のユーザーと差を広げたい、という謎の意地が働いて目当てのキャラが出るまで回し続けるという強者もいます。
業界ではこういったユーザーを俗に廃課金者と呼んだりしますが、実はこういった廃課金者がいるおかげでスマホゲーム業界は成り立っているともいえるのです。
ある調査では、
全ユーザーの僅か0.19%によるもの
という恐ろしいデータがあります。この0.19%のユーザーこそまさに廃課金者なのです。
逆に考えれば大半のユーザーが無課金でプレイできるのは、ある意味彼らのおかげだとも言われているので、一部では廃課金者に感謝するべきだという声まであります。
日本で人気のスマホゲームには少なからずこうした廃課金者が存在します。
だからこそ長年にわたって好調なセールスを維持できてるともいえますが、十分に楽しみたいのなら課金必須のゲームと言えるでしょう、
課金しすぎると本当に生活が狂うことがあります。ギャンブル依存症と同じくらい危険なので、くれぐれも課金はほどほどに!