「宇宙旅行してみたい!」子供の頃にこんな夢を抱いた人も多いと思います、もちろん筆者もその一人です。
しかし宇宙はとてつもなく広く、地球から最も近い天体の月ですら35万km以上も離れています。
前回執筆した太陽系に関する記事でも触れましたが、太陽系の直径は3光年以上とされていて、現在の最先端の科学力をもってしても人類が太陽系の外に行ける宇宙船を開発するのは事実上不可能とされています。
40年前に打ち上げられたボイジャー1号は地球から最も遠い位置にある人工物ですが、そのボイジャー1号ですら未だに太陽系を脱出していないのです。
太陽系の端から端までの距離はどのくらい? 太陽圏との違いとは?
太陽系に最も近い恒星系に行くだけでも気の遠くなるような年月がかかります。しかしその問題点を解決するための手段としてワープ航法というものがあります。
SF映画を見ると宇宙船がワープ航法を使って遠くの銀河系や星まで移動できちゃうシーンを目にすることはよくあります。アニメや映画の中だけのお話しでしたが、果たして現実的に、理論的に可能なのでしょうか?
今回はSF映画に出てくるような宇宙船のワープ航法について、いろいろと解説していきます。宇宙旅行のロマンを捨てきれない方はしかとご覧あれ!
ワープ航法ってどんな航法?
まずは宇宙船のワープ航法について簡単に解説します。
ワープ航法とは主に空想科学系の作品に登場する超光速航法の一つで、別名「宇宙空間歪曲航法」とも言われています。超光速という名前がある通り、光を超える速度で移動するという航法です。
日本の作品だと1970年代頃に放送されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト』で登場して、アメリカではテレビドラマの『スタートレック』で登場したのが非常に有名ですね。
ワープ航法の物理的な理論
ワープ航法によって宇宙船が光より速い速度で航法することが可能となるとされていますが、理論的にどうなのでしょうか?
まず知っておかなければいけないのが、かの有名な物理学者アインシュタインの相対性理論です。相対性理論によると物質は速度が上がれば上がるほど質量が増大し、光速に達すると質量は無限大となります。
このため物質は速度を上げ続けて光速に達することはできないとされています、当然超えるということも理論上は不可能のはずです。
しかしSF映画では惑星間で移動するシーンも多く、現実的な物理学を徹底して考慮すると都合が悪いので、その作品独自の理論や架空理論に基づいて超光速航法ができるという設定になっています。(ご都合主義という見方もできますけどね^_^)
中には相対性理論を厳密に適用して、宇宙船の速度が光速を越えないSF作品も多くあります。特に一部のハードSFと呼ばれる作品群では、科学技術や既知の天文学や物理学、数学などの正確でかつ厳密な描写と見識をテーマの主眼に置いていたりもします。
いろいろなワープ航法を紹介
ワープ航法は様々なSF作品に登場しますが、その原理や理論は作品ごとによって分かれます。
今回は代表的な2つのSF作品『宇宙戦艦ヤマト』と『スタートレック』に登場するワープ航法についてそれぞれ紹介します。
空間歪曲型
日本で大ヒットしたアニメ『宇宙戦艦ヤマト』で登場したワープは単純に言えば、宇宙空間内にある点AからBへ移動する際に、その間の空間を折り曲げて2点を近づけるというやや強引な理論になっています。
この理論は空間歪曲型ワープと言って、宇宙空間が初めから4次元的に曲がっていることを利用した近道になりますが、この理論的根拠になっているのがアインシュタインの唱えた一般相対性理論や量子力学のトンネル効果です。劇中ではこのワープ航法を使うことで14万8000光年離れた惑星イスカンダルに到着しています。
通常推進型
アメリカの人気SFドラマ『スタートレック』に登場したワープ航法は、光速の数百倍の速度で宇宙空間を順当に移動するという純粋な超高速に乗っ取った通常推進型ワープとなります。
『スタートレック』の宇宙船に搭載されているエンジンはワープドライブと言って、劇中では2063年に開発されたという設定になっています。
通常の空間では物体は光速を超えることは出来ませんが、『スタートレック』では物質の質量が小さくなる亜空間という特別な場を設定しています。
亜空間の中では相対性理論は通用しなくなるので、この亜空間のフィールドで宇宙船を包み込ませることで宇宙船の超光速が可能になるというのが『スタートレック』のワープ航法の原理となります。
NASAがワープドライブを研究中?
現在最も先進的な技術を用いたとしても、最寄りの恒星まで移動するには数百年以上の年月がかかります。
遠い宇宙から宇宙人がUFOにやってくるのは、現代科学上ほぼあり得ないとされていて、宇宙人が存在することを否定する強い根拠となっています。
宇宙人が存在しない理由とは?とある科学者の方程式で大考察!
その壁を超えるには超光速移動を実現するしかありません。過去には原子爆弾を連続で爆発させて宇宙船を高速で推進させる核パルス推進というアイデアもありましたが、あまりにも危険すぎるので仮に技術的に可能だとしても倫理的な意味で不可能です。
しかし科学者の挑戦というか野心は尽きることがありません、何とNASAの研究者は、本当に超光速を実現させるようなエンジンを開発するために研究を行っているようです。
You TubeにNASAが構想しているという、ワープドライブについての動画があったので紹介します。原理は『スタートレック』に登場するモノを意識しているそうです。
理論上矛盾することはないとして現在でも研究を続けているそうですが、果たして完成できる日は来るのでしょうか?
机上の空論とまで言われた理論が徐々に現実味を帯びてきているのは、ある意味凄いことです。
ワープ航法が当たり前になった未来社会なんか想像できないというのは、江戸時代の人々がスマホや飛行機やインターネットが当たり前になっている現代社会を想像できないのと同じようなことです。
逆に考えれば、数百年前までは実現不可能と言われた技術でも現代では実現できているという見方もできるので、ワープドライブもあながち不可能と一言で片づけるのもいかがなものかと思います。
因みに『スタートレック』のワープドライブは劇中では2063年に完成しているといいますが、さすがに後40年で完成させるというのは無理がありますね(笑)