冬の季節で起きやすい現象と言えば静電気ですね。
ドアノブに触れようとした途端手がビリっとした痛みが走った!
多くの人にこういう経験があると思いますが、そもそもなぜ静電気が発生するのでしょうか?
ドアノブ以外にも下敷きで髪をこする時や、セーターを脱ごうとした時にもバチバチと静電気が発生しちゃいますね。
子供の頃はおもしろおかしく楽しんでいた静電気も、大人になれば日常生活で指先を痛くする厄介な代物と言えます(;-_-)
今回はそんな静電気の発生の仕組みと対策・除去方法についてわかりやすく紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください!
静電気が発生する仕組みとは?
多くの人が悩んでいる静電気ですが、その発生の仕組みについて簡単に解説しますと
物質同士のプラスの電荷とマイナスの電荷のバランスが崩れ、両者が引き付け合った結果放電することで起きます。(“電荷”とは簡単に言うと物体が持っている電気の量のことです。)
これだけ言われてもピンと来ない人は多いかもしれません。
電荷のバランスが崩れると引き付け合う、とは一体どういうことなのでしょうか?
よりわかりやすく理解してもらうため、身近な例で解説します。まずは下の画像をご覧ください。
上は手で車のドアノブに触れようとした時の様子を表した絵です。
ご覧の通り最初は人間の手とドアノブ、両方にプラスとマイナスの電荷が溜まっています。
電荷が溜まるのは人間の体も同様です。
そして世の中にある全ての物体というのは、普段はプラスとマイナスの電荷がバランス良く同じ個数を保っていて中性の状態なのです。
ところが何らかの拍子にこのバランスが崩れることもあります。
例えば物質同士をくっつけたり、はがしたり、擦ったりした時です。
日常生活でこうした行為を繰り返していると、体の中に溜まっていたマイナスの電荷がいろいろな物質に向かって移動し、プラスの電荷が多く偏っていきます。
何故こうなるかと言いますと、電荷にはプラスとマイナスの二種類がありますが、マイナスの電荷は自由電子となっていて動き回りやすい性質があるためです。
こうしてプラスの電荷が多くなった人間の体は「プラスに帯電している」状態になります。
上の画像で示した手の平がまさにこの状態になっていますね。
手の平に溜まっていたプラスの電荷が、ドアノブなどの金属と触れあおうとすると、金属の内部のマイナスの電荷がそれに対極するプラスの電荷に引き寄せられます。
つまりプラスとマイナスの電荷がくっつこうとするわけです。この時に電流が流れて火花が出ます。
厳密に言えば、これは「静電気によって放電が起きた」という解釈が正しいです。
指先がバチッと感じるのは、この放電による衝撃ということになります。
因みにこの時の電圧はなんと3000V!
家庭用コンセントで使われる電圧が100Vなので、静電気はそれの約30倍も大きいのです!
ただし電圧こそ高いのですが、流れる電流の量が極めて小さいので、痛いと感じるだけでほとんど無害です。
プラスかマイナスに帯電しやすい物とは?
先ほど世の中にある全ての物体は、プラスとマイナスの電荷の両方があると説明しましたが、逆に言えばそれは人間の体と同様どっちかの極に帯電しやすいことも意味しています。
身近な生活の物質で、プラスかマイナスに帯電しやすい物を紹介しておきます。
- プラスに帯電しやすい物
- マイナスに帯電しやすい物
毛皮、鉛、木綿、ガラス、ウール、レーヨン、絹、空気、木材
塩化ビニル、ポリエチレン、アクリル、鉄、ゴム、ポリプロピレン、シリコン、銅
上に紹介した中でセーターはプラスに帯電しやすい物ですが、脱いだりした時にバチバチと音がなったりしますね。
これも静電気の一種ですが、セーターは毛皮や絹などプラスに帯電しやすい物で出来ているため、人間の体にあるマイナスの電荷がセーターに引き寄せられているということになります。
静電気と動電気の違いとは?
静電気とは、その名の通り静止した電荷によって引き起こされる現象のことを指します。
実は静電気を最初に発見したのは意外と古くて、遡ると紀元前600年頃に古代ギリシアの哲学者タレスが発見したと言われています。
静電気と言う言葉があるなら、対義語の動電気もあるのでは?と思いがちですがもちろんあります。
ただしあまり一般的ではなく、日常生活でも、通常の学問の部分でも専ら静電気がメジャーです。
動電気と言うのは、文字通り動いている電気、すなわち電流のことを指します。
我々が日常生活で使用する電気は、発電所で発電された電気が家庭に流れてきてそれをコンセントにプラグを差し込むことで使用することができますが、これがまさに動電気です。
対して静電気とは、その場に静止している電気の固まり、言ってみれば池のようなものです。
雷を例にして考えましょう。
雷と言うのは、一気に地面に向けて放出された電気の流れですが、実はこの電気と言うのは、最初は空にある雲に溜まっていた大量の電荷なのです。
なぜ電荷が大量に溜まるのかと言うと、主に以下のような理由で説明することができます。
上昇気流によって上空に上がった水滴は、徐々に低温になって氷の塊(霰)となりますが、この霰は上昇しながら互いに激しくぶつかって摩擦したり砕けたりすることで静電気が蓄積されます。
そして霰は上昇気流で成長し大きくなりますが、当然大きくなれば重くなるので下に落ちていきます。
この時、雲の中では上の層は軽い氷がいっぱい溜まり、下の層は重い氷がいっぱい溜まっているという状況です。
そして軽い氷の層では正の電荷が、重たい氷の層では負の電荷が蓄積していきます。
こうして上層と下層の電位差が拡大することで、溜まった電荷が一気に放出されます。これが雷の発生原理です。
雷と言うのは空気中に放電された電流なのですが、一般に空気は抵抗の値が大きい絶縁体のため、普通であれば電気が流れるという現象は起きません。
しかし上記のように雲の中で上層と下層の電位差が空気抵抗を超える数値まで拡大することで、大気中でも放電が起きてしまいます。
その放電によって生じた雷の電流は数十万アンペア、電圧は約1億ボルトとも換算されています。
もし雷エネルギーを無駄なく使用できる技術が実現出来たら、電力不足で悩む心配はなくなりますね。
日常生活で起こり得る静電気の危険性は?
説明した通り静電気によって、引き起こされる雷と言うのは恐ろしい自然現象で、毎年落雷による被害は世界各地で起きています。
ただし静電気と言うのは何も雷だけでなく、身近な生活でも見かけることは多いです。
先ほどの例でも紹介したドアノブに触れようとした時に手がビリッとする現象や、セーターを脱いだ時や下敷きで髪を擦った時に髪が逆立つ現象などはまさに静電気です。
こうした身近な静電気は、流れる電流の量は小さいので危険と言うほどではないんですが、時としてとんでもない被害をもたらすこともあります。
例えば静電気が起きやすい場所に可燃性の液体やガス、火薬などがあって、ひとたび放電が起きたらそれだけで引火してしまい爆発や火災が起きることがあるのです。
ガソリンスタンドでは、車から乗り降りした際に着衣に溜まった静電気が原因で、揮発した可燃性蒸気に引火して火災につながる事例も確認されているようです。
特にセルフ式のガソリンスタンドだと要注意なので、店の禁止事項はしっかりと確認しておきましょう。
静電気対策はどうする?
静電気をなんとかしたい!
という方はたくさんいらっしゃると思います。
そもそも静電気とは冬の乾燥した時期に起きやすいです。
これは空気が湿っている、すなわち湿度が高い夏場だと静電気が逃げやすくなるのですが、対して冬では室内で暖房を使用して相対的に湿度が下がるために静電気が溜まりやすい条件が整っているのです。
こうならないためにもやはり部屋の湿度管理は重要だと言えます。風邪や乾燥肌対策だけではなく、静電気対策にも部屋の湿度を上げておくに越したことはないのです。
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ただそれでも完全に防げるとは言えないので、静電気除去シールを貼り付けるのも定番です。
ただし静電気除去シールがなくても、簡単にドアを開ける方法があります。
これはやや裏技的な手法になりますが、ドアを開けようとする時に手のひらを大きく広げて、ドアノブに勢いよくガシッ!と掴むようにすると静電気が起こりにくいと言われています。
この方法は1990年代に放送された日本テレビの番組『伊藤家の食卓』で紹介された技です。
僕自身も最初この方法を見て、特に冬の時期はドアノブを手の平で叩くような感じで触っていますね(;^^)
またドアノブに触れる前に、紙や石などに触っておけば体に溜まった静電気が移動するので有効です。
個々人の体質も関係していた?
静電気を帯びやすくなるのは、個々人の体質にも依ります。
分かりやすく言うと静電気が起きやすい人は、実は静電気を溜めやすい、自然放電が出来ない体質となっているのです。
具体的には体が酸性化してしまうことが最大の原因です。
体が酸性化してしまうと、血液の流れが悪くなります。
血液がサラサラ流れているとマイナスイオンを作り出すのですが、その流れが悪くなると必然的にマイナスイオンの量が減ってしまい、プラスイオンが多く偏ってしまいます。
静電気を起こしにくくするには、体を酸性化の逆、すなわち弱アルカリ性にすればOKです。
弱アルカリ性を保つには普段の食生活で、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム(塩分)を含む食材を多く摂取するように心掛けましょう。
具体的には「アーモンド、ゴマ、大根、マグロ、アジ、イワシ」など山の食材や海鮮食品が豊富にあります。
これらの食材は基本的に健康にもいいので、静電気に悩む人は普段の食生活に積極的に導入してみましょう!
まとめ
今回は静電気が発生する仕組み、及び対策などについて解説してきました。
まとめますと、静電気というのはプラスとマイナスの電荷が引き寄せ合って起こる放電現象のことです。
そして空気が乾燥しやすい冬の時期に起きやすいので、静電気を起こさないためには部屋の湿度を上げる事、そしてドアノブの近くに静電気除去シールを貼り付けるなどの対策が効果的です。
また普段からの食生活に気を付けて、弱アルカリ性の体質を保つことも心掛けましょう。
身の回りに可燃性のある液体などがあったら、引火して爆発したりする事故もあるくらいなので、たかが静電気だからと言って侮ってはいけません。
冬はただでさえ寒くストレスが溜まりやすいです、静電気の仕組みと対策をしっかり心掛けて無駄なストレスをなくすようにしましょう。