今や生活で身近な存在ともなったパソコンですが、筆者の子供の頃はノートパソコンなどはなくどでかい箱型のパソコンでした。
こんな感じです、今やもう見かけることはないですが90年代はこれが主流でした(;^^)
コンピューター技術の発展は早いですから、もしかしたら今主流のノートパソコンも後20年くらいたったら全く見かけなくなるかもしれません。
そのパソコンで最も重要なパーツとなるのがCPU(Central Processing Unit)と言われる部品です。
日本語に直すと中央演算処理装置という意味ですが、このCPUの性能で重要となる指標が周波数です。
パソコンを買おうとしたらCPUの製品名(Intel、AMDなど)のそばに○○GHzという表記がされていますが、単純に考えると数値が高いほどパソコンの性能が高いと思っておいてください。
しかしパソコンが誕生した30年前はこの周波数の数値がたった100KHzくらいしかありませんでした。
今のパソコンのCPUの平均的な数字が3.0~4.0GHzなので、この数字を見ただけで「うわ低スペック!」って一瞬で思うでしょう。
この30年間で周波数の数値がいかに飛躍的に増大しているかがわかります。
ところが近年だとこの周波数の数値の伸びが鈍化しているようなんです。
今でもよく見かける3.0GHzのCPUが搭載されたパソコンが初めて登場したのが2008年頃ですが、実はこの10年間でこの数値はほとんど伸びおらず、現在は最高スペックのパソコンのCPUの数字を見てもせいぜい4.0GHzくらいです。
CPUの進化が限界に近づいているとも囁かれていますが、一体なぜこのような事態になっているのか?
その理由をITに詳しい管理人ができるだけわかりやすく解説します、ぜひご覧ください!
CPUの性能が頭打ちになっているって?
現在Windowsのパソコンで最も高性能な台に搭載されているCPUといえば、「intel入ってる♪」というCMのフレーズで有名なintel製のintel CORE i7ですね。
このintel CORE i7が初めて世に登場したのが2008年です。今から10年も前になりますが、今でも主流のCPUとなっていて多くのWindowsユーザーにはお世話になっていると思います。
因みに自分が持っているパソコンのCPUがどこのメーカーか、どのくらいの性能なのかを調べるには「エクスプローラー」の「PC」の所を右クリックし「プロパティ」をクリックすればOKです!
ところが冒頭でも紹介したように、2008年に初登場した頃と今とで比較すると、CPUの性能の要ともいえる周波数がほとんど伸びていないのです!
これはここ50年間における、CPUの周波数の伸び具合を表したグラフです。
見ての通りコンピューターが誕生した初期の1970年代頃の周波数はせいぜい100KHzでしたが、約40年後の2008年には3万倍の3.20GHzにまで伸びました!
単純に考えると10年後にはTHz(テラヘルツ=ギガヘルツの1000倍)が主流になってもおかしくないようですが、2008年から2017年にかけてみるとやや鈍化して1GHzくらいしか伸びていません。
明らかにCPUの性能が頭打ちになってきているように見えますね。
その理由について簡単に紹介しますと、主に以下の2つが関係していました!
- 半導体を微細化し過ぎてリーク電流が増えた
- 消費電力が大きくなりすぎてCPUの発熱が問題になった
この2つの理由をCPUの基礎知識も交えつつより具体的に解説していきます!
リーク電流って何?
CPUとはパーソナルコンピューターにおいてなくてはならない部品です。
中央演算処理装置というのが日本語の正式名称ですが、わかりやすく言えば人間の脳に当たる部分です。
コンピューターの中枢を担うデバイスですが、具体的にどういったことをやっているのかと言いますと、コンピューター内の各機器と繋がってメモリー上のデータを読み書きし演算を行っているのです。
ではより短時間でより多くのデータの読み書きを行うにはどうすればいいでしょうか?
ここで重要になるのが冒頭でも紹介した周波数の数値です。
実はCPUの周波数は厳密に言えばクロック周波数と呼ばれています、簡単に言えば1秒間で扱えるデータ量だと思ってください。
現在平均的なクロック周波数の数値はだいたい3.0~4.0GHzの水準です。
GHzとは正しくはギガヘルツと呼びますが、ここでギガという単位が使われているので、10億倍となります。
つまり3.0GHzとは、1秒間に30億回のデータの処理が可能になるということです!
クロック周波数とは何か?パソコン初心者向けにわかりやすく解説!
ただこのクロック周波数の数値を大きくしても、その分のデータ量を扱えるだけの器(スペース)が必要になってきます。
そのためにはCPUの構造をより微細化しなければいけません。
CPU内では数十億個近くの半導体素子(チップ)が集積された構造になっているのですが、当然小型化すればするほど1個1個の素子の大きさは小さくなりますよね。
ところがこの半導体素子の微細化が思わぬ事態を招くことになりました。
それがリーク電流問題です。
リーク電流のリークとは英語でleak、日本語で「漏れる」という意味です。「企業の機密情報がリークした!」なんていう使い方をよくされますね。
なぜ電流が漏れるようになったのか?
リーク電流とは文字通り電流が漏れることを意味するのですが、実は半導体の基本的な材料はシリコンという絶縁体のため本来なら電流が漏れることはありません。
しかし半導体素子を微細化しすぎた事で思わぬ落とし穴が待ち受けていました。
半導体の基盤となるのは絶縁体ですが、1個1個の素子自体は電気が流れる伝導体です。この伝導体を微細化してより多く詰め込もうとすると当然素子同士の距離が縮まります。
つまり伝導体同士の距離が縮まることで、本来流れないはずの外の部分に電気が漏れ出すことになったのです!
※もっと厳密に言えば量子力学のトンネル効果によって解説される現象ですが、難しすぎるのでここで割愛させていただきますね。
CPUの進化が特に凄かったのが1990年代後半から2000年代前半にかけてで、この時期はCPUを開発していた各企業によって熾烈な競争が繰り広げられていました。
約10年でクロック周波数は10倍に伸びてそれと同時に半導体素子も超微細化が進んでより高性能化になりましたが、なんと消費される電力の半分以上が「電流の漏れ」によって失われていることがわかりました。
こうなりますとCPUが誤作動したり、単純に消費電力を増やさないとまともに機能しなくなります。
近年のCPU開発ではこのリーク電流をいかに減らして低電力化を実現するかが焦点になっているわけです。
消費電力と発熱が大きくなった!
CPUのクロック周波数を上げすぎた結果、リーク電流が増えると説明しましたが、それに伴って消費電力と発熱量も大きくなりました。
CPUも結局電気で動いているので、クロック数を上げて処理速度を上げると必然的に消費電力が上がり、温度も上がっていきます。電気エネルギーは基本的に熱に変わりますからね。
CPUは精密機械なので発熱し続けたら壊れる可能性が高くなります。
だからといって周波数を下げてしまうとパソコンのコストパフォーマンも下げしまうので本末転倒です。
ここに来てクロック数を上げ続けることは、リーク電流問題と共に物理的な要因で抑えざるを得なくなったということです。
周波数向上の代わりに提案されたプランは?
以上の理由から近年ではCPUの性能を上げるために単純に周波数を上げることはほぼ無意味になってきています。
しかしそれでも一昔前のパソコンに比べれば明らかにスムーズに動いていて、動画編集作業や処理が重くなるような3Dゲームも快適にプレイできるパソコンが増えてきました。
10年前のパソコンと最近のパソコンでの最大の違いは周波数の数値ではなく、CPU内部の構造にあります。
周波数を上げる代わりに提案されたのがCPUの処理の分担化、つまりコア数を増やす作戦(詳しく言うならマルチコア)でした。
コア数とはわかりやすく言えば荷物を運ぶトラックの数だと思ってください。
下の画像のように単純に1時間で同じ量の荷物を1台のトラックで運ぶのと、2台のトラックで運ぶのとでは2倍、3台では3倍も効率が違ってきますよね。
コア数を増やすことでCPU内で1度に同時並行で処理できるので、これまでのCPUに比べて何倍も時間効率が上がります。
因みに最新のIntel Core i7のコア数は4、2世代前のi3は2なので単純に2倍の性能差があります。
現在のCPUはコア数を増やす方向で作られているので、わざわざ周波数を増やす必要はなくなりました。
キャッシュメモリを増やすことで高効率化!
もう1つ大事な要因となるのがキャッシュメモリです。
大容量のデータの処理を可能にするにはCPUがそれだけ大量のデータをメモリから読み込む必要が出てきますが、1回の命令ごとに大量のデータを読み込むと非常に時間がかかります。
現在のコンピューターの負荷は一昔前に比べてもかなり大きくなりましたが、それだけメモリのデータ量も増えたということです。
これを解決するためにCPU上には予めデータを一時的に保存しておくキャッシュメモリが設置されています。
何度も使うデータを予めキャッシュメモリに保存しておくことでわざわざメモリーから読み出す必要がなくなり、それだけ処理が無駄なく行えて高速化できます。
ソシャゲでもよく使われるキャッシュとはここからきている言葉です。
キャッシュを削除することでこれまでのプレイで蓄積されたゲーム内の一次データをなくして、容量を削減すれば動作が軽くなったりするのでソシャゲ好きな人はぜひ知っておきましょう!
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つまりキャッシュメモリを増やせば増やすほどCPUの処理性能が上がるということです。Core i7にはL3キャッシュというキャッシュメモリがあってやはりそれまでのシリーズに比べて大容量化しています。
以上をまとめますと、CPUの性能はクロック周波数だけでなく
- コア数を増やす
- キャッシュメモリの容量を増やす
ことでも上がるということです!
まとめ
改めてCPUの進化が限界に近づいた理由とその解決策についてまとめさせていただきますと、
- CPU内の半導体素子同士が微細化したことでリーク電流が増えたから
- 周波数を上げすぎると消費電力と発熱量が大きくなりすぎたから
- 近年ではコア数とキャッシュメモリの容量を増やすことで性能向上を図っている
となります、参考になりましたら幸いです。
CPUのクロック周波数を伸ばすことは物理的な意味で難しく、大きな技術革新でも起きない限りしばらくはコア数を多くしたCPUの製作と販売が主流になるでしょう。
2017年5月に発表されたintelの次世代CPUモデルである『Intel Core i9』はコア数が18、さらに2018年6月に発表された第二世代のCore Xシリーズではコア数28のモデルが投入される予定です、どんどん増えていきますね(;^^)
PCで処理が重くなりがちな3Dゲームをやりたいヘビーユーザーにとっては有難いCPUになるでしょう、ただし値段は約10万円ととんでもなく高いみたいですがwww
現在のCPUの性能は単純に周波数の数値が高いというだけでは判断できないということです。
大事なのはCPUのコア数にあります、今後高性能のパソコンを買う際にはCPUのコア数も判断材料に入れておきましょう!
わかり易く、理解できました。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
お役に立てて何よりです!
これからも当ブログをよろしくお願いします。
シリコンは半導体ではなく絶縁体なんですね。私の業界ではドープ無しでも真性半導体扱いですけど。
コメントありがとうございます。
シリコンについてですが、基本的にはバンドキャップ(電子が存在することのできない領域)が
大きいため絶縁体です。
しかし純度の高いシリコンに僅かな不純物(リンやホウ素と言った元素)を混ぜることで
電子の流れる領域が出来るので半導体となります。
要するにシリコンは絶縁体でもあり半導体でもあるということです。
電気を通さないから絶縁体という意味でもありますが、
バンドキャップがそれほど大きくないため、半導体という見方もできます。
というより絶縁体と半導体との間に歴とした境界はありません。
真性半導体とは不純物を一切混ぜない半導体という意味なので、
シリコン=真性半導体とみなしても問題ありません。
正直自分もそこまで詳しいわけではないので、
うまい説明でないかもしれませんが、
このように理解してもらえればと思います。