古来より薬用ハーブとして用いられた香り際立つ野菜といえば「パクチー」です。
正しくは「コリアンダー」とも言いますが、日本にも1990年代以降、いわゆるエスニック料理の店が増えるにつれ、需要が増加しレストランに提供される機会が増えました。
ではその「パクチー」を漢字でどう書くかわかりますか?
うーむ、そんなに食べる機会ないから漢字表記とかさっぱりわからないな
これこそ当て字で考えて「葉区地」とかかな?
シンプルなカタカナ表記ですが、やはり漢字で書けと言われたら迷いますね。
そもそも頻繁に食べる人は多くないかもしれないですが、それでも漢字表記はやはりあります。
「パクチー」の漢字表記とその由来を詳しく見ていきましょう!
虫の名前を使った意外な和名もあったよ
「パクチー」を漢字で書くとどうなる?
「パクチー」の漢字表記はちゃんとあります、それも2種類あったようです。
全部2文字なんだ
意外とシンプルな表記で驚いたでしょう。
でも1つ目の「胡荽」は凄く難しい漢字を使っています、一体何が由来なんでしょうか?
また「香菜」と「芫荽」についての由来も詳しく見ていきましょう!
「胡荽」の意味・由来とは?
「パクチー」の漢字表記の一つが「胡荽」となる理由ですが、実はこれは「パクチー」の和名から来ています。
そもそも「パクチー」という言葉は実はタイ語がその由来なんです、意味は「生食する葉」。
では正式名称はと言いますと、英語の「コリアンダー(coriander)」となります。
正式な意味は、「セリ科コエンドロ属の一年草」となります。
ただし「コリアンダー」が伝わったのが鎖国していた江戸時代とされ、当時のポルトガル語である「coentro」が元となった言葉である「コエンドロ」が和名となりました。
つまり「胡荽」という表記はこの「コエンドロ」を漢字にした漢名です。
江戸時代に記された『養生訓』という教訓書にその記載があり、「胡荽」と書いて「コスイ」と読みますが「コリアンダー」のことです。
香辛料や調味料として使う場合は「コリアンダー」、葉として使用する場合は「パクチー」と分けるんだ
由来は中国古代の王朝から?
さらに由来を詳しく調べたところ、「胡荽」の「胡」とはどうも古代中国にあった国の名前を指しています。
この国から持ち帰った前漢の政治家張騫が「胡すい」と称したのがその由来とされています。
また日本においても江戸時代より遥か昔、平安時代の宮廷料理にすでに使われていたそうで、930年の『和名抄』において「古仁之(こにし)」と表記されています。
「香菜」の由来は?
最後に紹介するのは「香菜」の表記です。
「香菜」とは中国語表記から来ており、読みは「シァンツァイ」、中華料理に香辛料としてよく用いられます。
言わずもがな「強い香りを発する野菜」だから、「香菜」と書きます。
※これによく似た漢名をする香辛料で「パセリ」があり、そちらは「香芹」と書きます。詳しくはコチラから
お刺身料理などの付け合せ飾りとして出される「パセリ」ですが、漢字で書くと意外な表記になるんです!実はある国名の漢字表記も使われます。合わせてパセリの英語の語源とセロリの漢字表記も紹介していきます!
「芫荽」の由来は?
次は「芫荽」の表記です。
結論から言うと「芫荽」も中国語表記から来ています。
読みは「ユァンスイ」、中国語で「コリアンダー」に該当する植物名にあたります。
「カメムシソウ」という別名もある?
実は日本語にはもう一つ面白い和名があります。
その名も「カメムシソウ」、その強烈な臭いが「カメムシ」のようなので、文字通り「カメムシソウ」と付けられました。
ただしだからといって、「パクチー」を「亀虫草」とは書きません。
これだと「亀虫に似た草」だったり、そもそも仮にも高級料理の香辛料にも使われる野菜ですから、「亀虫」などという表現はちょっと誤解を招く恐れがあります。
仮に使うとしても「カメムシ草」のように、カタカナと漢字を混ぜて呼びますが、そもそもこの名前自体で呼ぶことはほぼありませんので頭の片隅に入れる程度にしてください。
「パクチー」を英語で言うと?
「パクチー」を英語で表現するとそのまま「coriander」となります。
この単語の語源ですが、遡ると古代ギリシア語の「コリアノン」に由来しているとされています。
「koriannon」と表記し一節には「カメムシ」を意味すると言われていますが、これはあくまで俗説です。
まとめ
今回は「パクチー」の漢字表記の紹介でした。では今回の内容をおさらいしましょう。
- 「パクチー」を漢字で書くと「胡荽」と「香菜」と「芫荽」
- 「香菜」は中国語表記、発音は「シァンツァイ」
- 「芫荽」は中国語表記、発音は「ユァンスイ」
- 平安時代の書物にも「パクチー」の和名の記載がある
- 「パプリカ」には「カメムシ草」という和名もある
- 「パプリカ」を英語で言うと「coriander」、古代ギリシア語の「koriannon」から
中華料理店で「パクチー」が出ることもありますので、漢名は覚えておくに越したことはないでしょう。
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