突然ですが皆さん、大学で受ける「こうぎ」を漢字で書けますか?
このように質問されると、恐らく大半の学生は
- あれ?「こうぎ」って「講義」と書くんだっけ?
- 確か「講議」だったような気もするけど?
と悩むと思います。
実際僕自身も最近になるまで、どっちが正しいのかわかりませんでした(;^^
改めてみると、どっちも正しいような気もしなくはないです。
しかし大学生の方でしたら、両者をごっちゃにしてはいけませんよ!
例えば授業の終わりに感想文や簡易的なレポートの作成を求められて、いざ手書きで文章を書こうとした時に思わず書き間違えてしまうことだってあります。
果たして、講義と講議に違いはあるのでしょうか?
そしてどっちが正しい漢字表記なのか?今回は混同しやすい理由も含めて、詳しく解説していきます!
この前も試しに「こうぎ」を書かせたら、やっぱり数名の学生が書き間違えてたね。いかに手書きで文章を書く習慣が減ったかがわかるよ。
講義と講議の違い!正しいのはどっち?
さていきなり結論からになりますが、講義と講議の2つの漢字に違いは何もありません!
要するに、
正しい表記は「講義」で、「講議」と書くのは間違い!
となります。
これについては、辞書を見てもらえれば一番早いでしょう。
1 学問の方法や成果、また、研究対象などについて、その内容・性質などを説き聞かせること。また、その説明。「学生に国文学を講義する」
2 大学の授業。「講義に出席する」「集中講義」
引用元:goo辞書
このように書かれていました。どこにも「講議」だなんて書かれていないですね。
因みに同じ『goo辞書』で「講議」と打ち込んでも、「一致する情報は見つかりませんでした。」と出てきました、まぁ当然です(;^^
でも最近のパソコンやスマホは凄く賢くて、メモ帳やブラウザの検索エンジンに平仮名で「こうぎ」と打ち込み「変換」ボタンを押すと何と自動で「講義」と表示してくれます。
いざ質問されてもこれで大丈夫ですね!
つまり「講義」の「義」は、部首も何もつけなくていいってことだね!
どうして「講議」は間違いなの?
さて「講義」が正しい漢字だと説明しましたが、それだともう片方の「講議」がなぜ間違いなのか気になりますよね。
だけど漢字の「義」と「議」の意味の違いを、ハッキリ理解すれば「講議」では意味が通らないとわかります。
簡単に言いますと、
- 「義」は「わけ、意味、道理」という意味
- 「議」は「話し合いや意見、考え」という意味
になります。
「講義」だと「学問の意味を講ずる」という意味になりますが、「講議」では「話し合いや相談、提案について講ずる」という意味になります。
大学の「こうぎ」は正に前者の意味ですね、後者では明らかに変な言葉だとわかります。
では次からはそれぞれの「講義」と「講議」の熟語について詳しく見ていきましょう!
「講義」の意味を深掘り!
「講義」の意味についてもう一度おさらいしますと、「大学などで教授や講師が教える授業」ということです。
ここで「講義」を、「講」と「義」の2つに分けましょう。
まず「講」というのは「講ずる」の「講」です。
意味は
- 問題を解決するために、適当な方法をとってみる。
- 学説の内容や意味を説く
などですが、どちらも確かに学問や研究にぴったりですね。
次に「義」の意味については、
- 道理や意味の内容
- 儒教における「人として守るべき正しい道」
とあります。
特に②の儒教の意味が重く響きますね。
「義を重んじる」とか「これが正義だ!」なんていう言葉は、いずれも「人として守るべき正しい道」から来ています。
しかし講義の「義」については、どちらかと言えば①の意味合いが強いです。
以上をまとめると「講義」という言葉は、「学問や研究の道理や意味を説く」という意味になります。
大学の講義を振り返ると、高校までの授業と授業時間も長く内容も難しいです。
その分一つの学問や分野に対して集中的に学ぶことができます。普通に「授業」という漢字よりも、「講義」を使った方がピッタリだということになります。
「講議」の意味はどうなる?
では間違えやすい方の「講議」の「議」についてはどうでしょうか?
漢字の「議」にごんべんがくっついて「議」なのですが、「議題」、「会議」、「議会」、「議長」、「審議」、「議論」などの言葉があります。
そこで改めて「議」の意味について、調べてみたらこう書かれていました。
1 話し合い。相談。「委員会の議を経る」
2 意見。考え。提案。
3 古代、特別の身分ある者に対して、律が規定した特典。皇室の親族や特に才徳にすぐれた者、三位以上の者などの刑法上の罪を減じた。
引用元:goo辞書
同じ読みですが、「義」とは全然違っていましたね。
「会議」や「議会」、「議題」などの「議」は①の意味に当てはまります。
仮に「講議」なんていう表記にしちゃうと、「その学問についての話し合いや相談、提案することの意味を説く」となって、凄く変な感じになります(汗)
「議」の意味をしっかり理解して、今後は間違えないようにしましょう!
※因みに「授業」という言葉も「講義」と混同されやすいですね。これについては以下の記事で詳しくまとめています!
大学では「授業」のことを「講義」と呼ぶのですが、両者の違いは何なのでしょうか?教育現場や法律などにおける定義の違いと、単純な言葉の意味合いの違いの観点も含めて詳しく見ていきましょう!
なぜ講議と間違われやすいの?
そもそもなぜ「講義」を「講議」と、混同しがちなのでしょうか?
これについていろいろと考えた結果、やはりあの言葉が凄く大きいのかなと思います。
その言葉とは「抗議」です。
これは読みは「こうぎ」と全く同じなのですが、「ぎ」の部分を見ると「議」になってますね!
因みに抗議の意味は、「相手の意見に対して反対の意見を主張すること」となります。
市民団体などの「抗議集会」とか、「猛抗議」などが当てはまりますね。
同音異義語で「抗議」なんていう言葉があるから、確かに間違えやすいかなと思います(汗)
同じ「ぎ」でもごんべんが有るか無いかの差だけですが、両者を混同しないためにも、こう覚えておきましょう!
- 大学の講義は、反対する人なしなので「ごんべんなし」
- 反対の抗議は、反対する人ありなので「ごんべんあり」
もちろん大学の講義中でも反対意見を述べる人はたまにいます。
だけど大半の学生は受け身で授業を受けるはずなので、このような違いで覚えられるでしょう。
それだと「講義」じゃなくて「討論」みたいになるね。
まとめ
今回は「講義」と「講議」の違いについての解説でした。それではまとめといきます。
- 講義と書くのが正解で、講議は間違い!
- 講義の意味は「学問や研究の道理や意味を説く」、「議」ではおかしい。
- 「反対意見を述べる」という意味の抗議は「議」である!
ディスカッション(議論)をするスタイルの授業なら「講議」という表記でも正解かもしれませんが、日本の大学の多くの授業が、講師や教授がほぼ一方的に講じるだけの形態ですよね。
ただし今後の日本の将来のことを考えると、学生が一方的に授業を受けるだけの「講義」よりも、「講議」に変わってもいいのではないかと個人的には思います。
いっそのこと、大学で『「講義」と「講議」はどっちが正しいか?』というテーマで講義をやったらいいんじゃないかな!