大学生になると、大学教授の講義を受けることができます。
中にはTVで活躍している教授の講義に出席することもできたりして、それだけで興味や関心が湧いてきますよね。
僕が大学生の時もテレビで活躍していた、とある工学部の教授の授業を受けたことが大変印象に残っています。
だけど同じ大学教授でも、もう一つ名誉教授と呼ばれる人もいますね。
教授と言うのは共通しているけれど、「名誉」という名称がついただけで凄そうなイメージが湧きますよね(;^^
果たして教授と名誉教授ってどこがどう違うのでしょうか?
また名誉教授になるための条件とは何なのか?
今回は教授と名誉教授の違いを詳しく見ていきます、ぜひご覧ください!
教授と名誉教授の違いを一言で!
教授と名誉教授の違いを簡単に一言で説明するとしたら、このようになります。
- 教授:大学で指導的な立場としての専門職、英語ではprofessor
- 名誉教授:大学を退職した後でもらう称号、英語でemeritus professor
ご覧いただければわかると思いますが、教授は立派な職業となりますが、実は名誉教授は称号なのです。
ですから名誉教授と言う職はありません、あくまで名誉と付くだけですね。
また名誉教授は大学を退職した後でもらうといいますが、具体的な条件などはないものでしょうか?
ということでそれぞれの特徴やなれる条件などを、詳しく見ていきましょう!
大学教授とは?
通常教授と言うのは、大学教授のことを指す場合が多いですが、短期大学や高等専門学校にも教授がいます。
さらに教育機関以外だと、JAXAなどの研究機関にも教授職が設けられています。
一般的に教授職は、学校教育法第92条によって、大学に設置することが義務付けられています。
大学には、学長、教授、准教授、助教、助手及び事務職員を置かなければならない。
引用元:Wikipedia-教授
大学教授は専門職で、自身が専攻する専門分野を通して学問の発展、および学生らの指導を行うことが使命となっています。
その大学教授になるための条件ですが、これは大学設置基準第14条において定められており、以下のいずれかの条件を満たした人が教授になれるとされています。
- 博士号を所有し、研究において一定の業績があること
- 研究上の功績が、博士号取得者と同等であると認められること
- 学位規則第5条の2に規定する専門職の学位を有し、実務上の業績を有すること
- 他の大学などで既に教授や准教授、又は講師としての経歴があること
- 芸術や体育において、特殊な技能に秀でていること
- 専攻分野において、特に優れた知識や経験を有すること
もちろんどの点を評価するかは大学によって大きく違います、コネがあるという噂もありますが…
ただ大学教授も普通の公務員とほぼ同じように終身雇用、定年で退職するということは変わりません。
各大学で定年の年齢は異なっていますが、一般的に退職した後は教授の枠が空くので、教授の次に偉い准教授が昇格するという流れが一般的です。
昇格する際には教授会において、論文数や学会で発表した回数、特別な賞を受賞した経験があれば正当に審査・評価され、めでたく教授になります。
ただし多くの大学では、年功序列の傾向が強いです。
極端な話官公庁からの天下りで教授になる人もいます、大学は独立行政法人ですからね(;-_-
⇒独立行政法人とは?意味や仕事内容をわかりやすく解説!
年齢でいえば准教授が40歳前後、教授に昇格するのが50代前半といった感じです。
特に大きな業績があっても教授になれない場合もあれば、あまり目立った業績がなくても教授に昇格するだなんて例もあるのです。
一見実力主義っぽい構造だと想像しがちですが、やはり重視されるのはキャリアと経験なんですね。
さすがに若すぎる人を准教授や教授にするほど、大学も甘くはないということです。
2002年にノーベル章を受章した元会社員の田中耕一さんは、その功績が認められ京都大学の客員教授に選ばれました。
国立大学から私立大学に移る教授は多い?
実は国立大学に所属していた大学教授が、私立大学に転職するというケースも多くあります。
理由は私立の方が定年の年齢が高めに設定されているからです。
国立大学の多くが60歳前半と定めているみたいですが、私立大学の多くが70歳までと定められています。
名誉教授になっても称号が贈られるだけなので、給料が発生することはありません。
定年後も働けるからという理由で、私立の教授に転職するわけです。
私立大学側も優秀な国立大学の教授を多く採用したいという事情もあるので、双方の利益が一致します。
名誉教授とは?
名誉教授は大学を退職した後で、その大学から授与される称号を指します。
これについても学校教育法第68条にその規定が記述されています。
大学は、当該大学に学長、副学長、学部長、教授、准教授又は講師として勤務した者であって、教育上又は研究上特に功績のあった者に対し、当該大学の定めるところにより、名誉教授の称号を授与することができる
引用元:Wikipedia-名誉教授
名誉教授に選ばれるか選ばれないか、これについても教授に昇格した時と同様、特に功績のあった教授はほぼ間違いなく名誉教授の称号が贈られます。
ノーベル賞を受賞すれば、確実に名誉教授になれると言っていいでしょう。
この際、在籍した年数について問われることはありませんが、所属年数の原則を独自に定めている大学もあります。
名誉教授は称号!
名誉教授はあくまで称号に過ぎないので、それに付随して賃金が発生することはありません。
もちろん教壇に経って講義をすることもありません。
退職金や各種年金、さらにTVへの出演、本の出版による印税収入、さらに他大学に非常勤としての教授を兼任して給料をもらう人が多いみたいです。
ただし名誉教授としての称号を与えても、本人が辞退すれば名誉教授にはなれません。
最終的にはその人が了承するかしないかです。
ですから多大な功績を残した人でも、退職後は単に「元教授」となっているだけのパターンもあります。
他にも名誉教授になれなかったのは、
- 大学内部で権力闘争があった
- 単に嫌われ者だった
ということが原因という見方もあるようです。
こういった事情は外部には漏れないので、どこまでが真相かはわかりませんが、やはり意見の食い違いなどがあるのは仕方ないんですね。
特別栄誉教授とは?
ここまでは教授と名誉教授の違いについてでした。
しかしテレビなどに登場する著名な教授の役職名を見ると、たまに『特別栄誉教授』なんていう教授も出てきます!
名誉でも栄誉でもなく、特別栄誉です、これはかなり立派な肩書に見えますね。
例えば
- ニュートリノを発見した小柴昌俊教授
- ニュートリノを観測した戸塚洋二教授
- オートファジーの仕組みを解明した大隅良典教授
などがいますが、いずれもノーベル賞を受賞した実績があります。
名誉教授との違いは、各大学ごとではなく、特定の大学独自の規定によって授与される称号のことです。
2019年9月現在、特別栄誉教授の称号を定めているのは、
- 東京大学
- 電気通信大学
- 東京農工大学
- 大阪府立大学
- 大阪市立大学
- 広島大学
- 北里大学
の7大学です、上で紹介した3教授は東京大学の特別栄誉教授です。
意外にもノーベル賞受賞者では東京大学以上の実績を誇る京都大学にはありません。
教授になったからには最終的にノーベル賞を取って、特別栄誉教授まで目指すくらいの意気込みをぜひ持ってください!
まとめ
今回は教授と名誉教授の違いと合わせて、特別栄誉教授についても紹介しました。それでは今回の内容をまとめます。
- 教授は大学で研究や学生の指導を担う専門職で、名誉教授は教授を引退した後で贈られる称号
- 教授に任命されるのは厳しいが、年功序列の傾向が強い
- 名誉教授はあくまで称号なので、賃金が発生することはない
- 名誉教授は辞退することも可能、引退後は単に「元教授」となる
- 特別栄誉教授とは東京大学など特定の大学にのみ置かれる名誉称号
同じ大学教授でも、どれだけ優れた業績を残したかで、名誉か特別栄誉の称号が授与されるわけです。
もちろん名誉教授は大学ごとで審査が異なっているので、一概には言えませんが、少なくとも多くの研究者にとっては憧れの的ですね。
近年ではグローバル化の流れもあるので、もしかしたら外国籍の名誉教授が今後増えるかもしれません。