大学生になると、これまでの学校生活とはシステムやスタイルなどが大きく変わって、戸惑う場面が増えますね。
中でも講義の時間が90分に増えたのが驚きでしたね、僕も大学生の頃は眠くてしょうがなかったです。
だけどここで少し気になるのが、大学の「講義」とは高校まで行われた「授業」とどう違うのでしょうか?
両方とも先生や講師が教壇に立って、黒板やプロジェクターを使って生徒や学生に教える、という意味では一緒ですよね。
高校までの「授業」の時間は45~50分というのが一般的ですが、大学になると90分と増えるので単に時間が違うだけでしょうか?
そういう違いではなく、言葉の厳密な意味の違いとしてもやはり気になる所です。
ということで今回は「授業」と「講義」の違いを徹底解説していこうと思います!
授業と講義の違いを一言で!
いきなり結論からになりますが、授業と講義の意味の違いを一言で説明してみます。
- 授業とは、学問や技術、知識などを教えて授けること
- 講義とは、書物や学説などに含まれる意味や内容を説くこと
どっちも何となく意味的には似ているような感じですよね。
ということで、結局大学での講義は「大学の授業」と表現してもいいことになります。
だけどこれだけではどうもしっくり来ません。
それなら別に講義という難しそうな単語を使わなくてもいいですからね。
因みに講義については、「講議」の違いも含めて以下の記事でも詳しく紹介しています。
⇒講義と講議の違い!正しいのは?大学生なら知っておこう!
大学の授業=講義ではない?
ここでさらに気になった僕は、Wikipediaで「授業」について調べました。
すると以下のように書かれていました。
授業(じゅぎょう、英: lesson, class)は、学校教育などにおいて教科・科目などの教育として行われるもののことである。大学の課程(短期大学の課程、大学院の課程を含む)などにおける授業は、講義、演習、実験、実習、実技に区分される。
引用元:授業 – Wikipedia
この一文を見てみると、特に大学の課程においては授業が「講義、演習、実験、実習、実技」の5つに分類されているわけです。
同じ授業でもいろいろな種類があるのですが、それぞれの言葉の意味を詳しく紹介していきますと、
- 講義:教師がノートやテキストを読み上げて黒板に板書して学生に教える形式
- 演習:教育の場で練習問題や問題集を解く形式、少人数で議論などを行うゼミとほぼ同義
- 実験:文字通り実験を行うこと、工学系の科目で多い
- 実習:講義で学んだ知識や技術を実際の現場で行うこと、薬学系や栄養士系の科目で多い
- 実技:技術や演技などを実際に行うこと、美術系や医療系、体育系の科目で多い
となります。
- 講義:「電磁気学」、「ドイツ語」、「プラズマエレクトロニクス」
- 演習:「基礎数学演習」
- 実験:「工学部基礎実験」
このような感じになっていました。
工学部だったので、実習や実技に当たる科目がなかったですね。
どうして大学は「講義」と言うの?
一口に「大学の授業」といった場合、どういった形式の授業なのかがわかりません。
基本的に「授業」というのは、小学校や中学校、高校までと同じで、教師が教壇に立ち一方的に教科書とほぼ同じ内容を読み上げるスタイルをイメージします。
これは言ってみれば「講義」とほぼ同じ意味ですね。
ですが学校の現場では体育や家庭科、書道、音楽、美術などいろいろな科目があります。
これらの科目では、
- スポーツや試合などを実際に行う
- 料理を作る
- 毛筆で字を書く
- 歌を歌ったり、楽器で演奏する
- 作品を完成させる
などを行うのですが、これは全く「講義」とは違いますね。
つまり「学校の授業」というのは、大学で言う「講義、演習、実験、実習、実技」の5つが一まとめになっているのです。
また「講義」とほぼ同じ意味の授業でも、プリントの問題を解いたり、宿題の答え合わせをしたり、生徒が黒板に立って問題を解いたりするなど、ただ一方的に聞くだけの形式にはなりません。
これは「講義」ではなく「演習」の形式になります。
英語の授業や数学の授業では、先生が独自に用意した問題集や過去問の演習問題を解く場合も多いですよね。
これに対して大学の場合は、基本的に同じ授業でも問題を解く形式の「演習」は、「講義」と分けられます。
もちろん明確に分けられるかと言われればそうではなく、比率によって分けられるパターンが多いですね。
講師が教壇に立って一方的に喋る時間が多ければ「講義」、問題を解く時間が多ければ「演習」となるわけです。
もちろん大学にも講義や演習以外の実験、学部によっては実習や実技を行う場合もあるので、単に「授業」と言っても差し支えありません。
ただし一部の芸術学校を除いて、「大学の授業=講師が教壇に立って学生に向かって喋る」というイメージが強いです。
こういった理由から大学では「講義」を用いていることになります。
漢字の意味からさらに詳しく読み解く!
ここまでは教育現場における「授業」と「講義」の違いを紹介してきました。
ただ言葉の意味として改めて考えてみると、どちらも基本的に「教える」という点では同じなのです。
ここで少し視点を変えて漢字ごとに見ていきましょう!
「授業」の2文字目の漢字は「授ける」となっています。
つまり「教えを授ける」となるのですが、さらに「授ける」の意味について調べると辞書ではこのように書かれていました。
1 目上の者が目下の者に特別に与える。「学位を―・ける」「勲章を―・ける」
2 師が弟子に教える。伝授する。「秘伝を―・ける」「知恵を―・ける」
引用元:goo辞書
「目上の者が目下の者に特別に与える」と書かれていますね。
つまり「授業」の厳密な意味を解釈すると、「目上の人が目下の人に教えを授ける」となります。
確かに学校の授業は、年配の先生が年下の生徒たちに一方的に教えを授けるので、意味的にはピッタリとなります。
これに対して「講義」の意味は、「学問や研究の道理や意味を説く」なのですが、基本的に上下関係がありません。
もちろん大学の「講義」でも教壇に立つのは、基本的に年配の教授や准教授の人が多いですが、極端に若い講師が教壇に立つケースも考えられます。
大学院となるとTA(ティーチングアシスタント)といって、若い大学院生が教壇に立つこともありますし、社会人で年配の人が講義を受けていることもあるんですよね。
⇒社会人の博士号取得大全!費用から現実的な取り方まで把握しよう
学生が理解しやすいか否かは別?
「授業」と「講義」の2つは、学生が最終的に理解しやすいか否かという点でも違ってきます。
学校における「授業」は基本的にどの先生も学生たちが理解できるまで、丁寧に教えてくれるよう努めてくれます。
また成績が悪かったりどうしてもテストの点数が伸びない先生は、個別に指導したり、場合によっては追試や再試などを施してくれます。
一方で大学の場合は、教授は講義で学術的でやや専門的な話をすることも多いです。
そのため学校の「授業」と違って理解しづらく、難解になることが多くて、学生はそれを自主的に理解するに留まります。
つまり最終的に学生らがテストで良い点数を取るかは、学生の努力次第なのです。
さらに教壇に立っているのが教授の場合は自分の専攻分野を教える場合が多いので、独自の研究結果や調査結果、論文なども紹介したりします。
僕が過去に受けた講義では、メディアに出演するほど著名な某工学部の教授がアインシュタインの光電効果の論文を使用したりするなど、その講義スタイルは独特でしたね。
だけど学生が最終的に理解できるかどうかは話が別です。
理解が出来ない学生にまで理解できるほど懇切丁寧に教えることはあまりなく、講師がほぼ一方的に喋るのが大学の「講義」となります。
そのせいか寝ている学生が本当に多かったですね(;^^
まとめ
今回は「授業」と「講義」の違いを詳しくまとめました!
それでは改めて今回の内容をおさらいしておきましょう。
- 大学の「講義」とは、あくまでも「授業」の中の一部
- 「講義」は教師が教壇に立って教えを説く形式
- 「授業」は正確には講義、演習、実験、実習、実技など含まれる
- 「授業」は年配の人が年下の人に教えを授けるという意味合いが強い
- 学校の「授業」では生徒が理解できるまで先生が丁寧に教えてくれるが、大学の「講義」では学生の努力次第
大学の講義は「90分」と長くもなりますし、内容も難しくなるので、学校の「授業」と同じ感覚で受けているといつまで経っても成績は上がりません。
大学の講義では、自主的な心構えと努力が何より重要になってくるのです、経験者より(;^^