太陽系には8つの惑星がありますね。
我々人類が住む地球も含めると、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8つが内側から並んで、太陽の周りを公転しています。
だけど一昔前まで、この8つの惑星の他に9番目の惑星として、冥王星もありました!
この冥王星ですが、2006年にそれまでの惑星の定義を改めた時に、惑星ではなくなったのです。
現在冥王星は惑星ではなく準惑星として扱われています。
「準惑星って一体何だ?惑星とどう違うの?」
こうした疑問を抱く人も多いでしょう。
そこで今回は冥王星が惑星でなくなった理由についても触れつつ、準惑星と惑星の定義の違いを詳しく解説していきます!
惑星と準惑星の違いとは?
惑星と準惑星の2つの天体は、いずれも太陽の周りを公転する天体という意味では共通です。
2つの違いを簡単に解説するとしたら、
- 惑星:自己の重力で球形を保っており、軌道上に他の天体を一掃している天体
- 準惑星:自己の重力で球形を保っているが、軌道上に他の天体が一掃されていない天体
となります。
他にもいろいろ違いがあります。表にしてまとめましたのでご覧ください。
惑星 | 準惑星 | |
---|---|---|
形状 | 球形 | ほぼ球形 |
英語名 | planet | dwarf planet |
数 | 8(太陽系のみ) | 5(太陽系のみ) |
惑星と準惑星は、形状がほぼ球体であるのが大きな特徴ですね。
見た目が大きな球体であったら、それはほぼ惑星か準惑星です。
でもそれだと惑星と準惑星は、見た目だけでは判別しづらいと言えます。
すると惑星の中心部から重力が均等な形に働いて、球形を保とうとするわけです。
惑星も準惑星もほどよい質量を誇るので、球形を保っているのです。
もう一つ大事な違いとなるのが、「その軌道上から他の天体を一掃しているかしないか」です。
他の天体を一掃すると言われても、正直ピンとこないでしょう。
どういうことなのか、次の章で準惑星の定義について解説していきます!
⇒惑星と小惑星の違いって?それぞれの定義も詳しく知ろう!
準惑星の定義を詳しく!
準惑星は、2006年の国際天文学連合によって新たに誕生した惑星の分類です。
現在の準惑星は冥王星、エリス、ケレス、マケマケ、ハウメアの5つだけです。
改めて準惑星とは何かについて解説していきますが、その前に惑星の定義の3つ目をおさらいしておきます。
1番目が「太陽の周りを公転していること」、2番目が「球形を保つほど十分な質量があること」で、3番目の定義とは、
「その天体の軌道周辺で他の天体を一掃している」
という特徴があることです。
これが現在採用されている「第8惑星案」とも言われている条件となるのですが、準惑星の場合この3つ目の条件が逆になっているということです。
簡単に言えば、「その天体の軌道の近くに、他の天体も存在している」ことになります。
例えば地球で考えますと、地球の両隣には金星と火星が公転していますね。
しかし地球の軌道上の近くに、この2つの星が接近することはありません。
仮に最も接近したとしても、金星とは4200km、火星とは6500kmも離れているのです。
準惑星の場合、この接近した時の距離がとても小さいということになります。
2006年に惑星から除外された冥王星も、これが大きな理由となりました。
発見当初こそ、その周囲に同じ大きさの天体がなかったことで、第9惑星とされました。
しかし冥王星はその軌道が、
- 極端な楕円になっていること
- 他の惑星と比べて、大きく傾いて公転していること
などの理由もあって、「果たして惑星とみなして良いのか?」と疑問視する声もありました。
そして1990年以降、冥王星の近くの軌道上にアルビオンという天体が発見されるのを契機として、それ以降同様の天体が次々と見つかりました。
冥王星は海王星の外側を公転するのですが、それと同じ領域に冥王星と質量も大きさもほぼ同じ天体が次々と見つかったことで、「冥王星=惑星ではない」という声が強まってきました。
さらに2003年には、冥王星とほぼ同じ大きさの準惑星エリスが発見されました。
やはりこのエリスも冥王星と同様で、極端な楕円軌道になっていることと、大きく傾いて公転していました。
これがかなり大きな引き金となり、冥王星を惑星から除外することが決まったのです。
また同様にそれまで小惑星帯にあった最大の小惑星ケレスも、準惑星として見直されることになりました。
これらの準惑星となった星に共通して言えるのが、
- その軌道の近くに他の天体が存在していること
- 円ではなく楕円軌道になっていること
- 他の惑星と比べて、大きく傾いて公転していること
の3点です。
これらが契機となって、惑星と準惑星をそれぞれ改めて定義した、という流れになります。
冥王星型天体とは?
同じような惑星の分類で、冥王星型天体という言葉もあります。
これは簡単に言えば、「太陽を周回する天体の中で、海王星よりも外側を公転し、かつ準惑星である天体」という意味です。
つまり準惑星は、冥王星型天体とそうでない天体の2種類があるということになります。
現在の準惑星は冥王星・エリス・ケレス・マケマケ・ハウメアの5つですが、その内
- 冥王星・エリス・マケマケ・ハウメアの4つは、海王星よりも外側なので冥王星型天体
- ケレスは、火星と木星との間の小惑星帯にあるので、普通の準惑星
ということになります。ケレスだけ小惑星帯なので仲間外れですね、普通に小惑星でもよさそうですが…
因みに現在では上の4つの天体が冥王星型天体となっていますが、今後は以下の天体も冥王星型天体となる予定です。
- ヴァルナ:直径900~1000km、形状は楕円体に近い
- イクシオン:直径約800km、ギリシア神話の人物が由来
- クワオアー:直径約1200km、2004年に水の結晶の存在が確認
- セドナ:直径約1000km、軌道半径が長く太陽系の端まで到達
- オルクス:直径約1000km、1951年にも観測されていた
まとめ
今回は惑星と準惑星の違いを詳しく見ていきました。
単純に大きさとサイズだけではなく、軌道上に他の天体が有るか無いかという点と、楕円軌道になっている点、さらに大きく傾いて公転している点で惑星と大きく異なっていました。
準惑星という分類は2006年に登場しましたが、これにて宇宙の天体の分類方法は一区切りついている状態です。
ただしこれも今後変わる可能性が無きにしも非ずです。
何と言っても宇宙空間は広大ですから、第9惑星として噂されている惑星Xなどが発見されたら、それまでの定義を覆される可能性もあります。
改めて天文学というのは奥が深いですね!