普段から文章を書く機会が多い筆者にとっては、ちょっとだけ似た意味の言葉が出てくると、咄嗟にその違いが気になります。

ということで今回は、「状況」と「状態」の2つの言葉の違いについて解説します。

両方とも学校の授業では習うと思いますが、恐らく「明確な違いを説明しろ。」と言われても答えに困る人は多いでしょう。





両方とも何となく「その場の有様」を意味する言葉で、凄く似ていますよね。

「今何が起きているか説明してくれ。」と上司から言われて、

  • 「この状況は~でして」
  • 「今の状態としては~でして」

の2パターンの答え方があると思います。どっちが正しいでしょうか?

微妙なニュアンスを使い分けをしっかり把握するために、例文も用いてわかりやすく掘り下げていきましょう!


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「状況」と「状態」の違いを一言で!

2つの言葉の意味の違いについて、早速結論から述べていきます!

  • 状況」とは、移り変わる物事の様子や有様で、動きと関連させて捉える
  • 状態」とは、人や物事のある時点での様子や有様、静止的に捉える



両方とも「様子、有様」を指す言葉では共通していますが、違いは流動的に捉えるか静止的に捉えるかだったのです。

もっと分かりやすく言えば、「状況」は動画で撮影し、「状態」はカメラで撮影するといった感じですね。

そもそもどうしてこういった違いになるのか、少し詳しく見ていきますね。

「況」と「態」の漢字を見てみよう!

2文字をそれぞれ分解してみますと、「」と「」に分かれます。

この2つの漢字は、それぞれ以下のような意味になります。

  • 「況」は、周りの様子や有様
  • 「態」は、物の形や姿そのもの

それぞれの漢字が使われてる二字熟語としては、

  • 況:不況、戦況、近況、実況、概況
  • 態:生態、形態、態度

などがあります。


見比べてみるとわかりますが、「況」が使われている漢字は、どれもこれも静止的な様子を表していません。

「不況」は一定期間続く場合がありますし、「戦況」だって刻一刻と変わります。

さらに「近況」報告なども、ある一定の期間の活動について報告します。


これに対して、「態」が使われている漢字は、ほぼ全てその時点での有様を指す意味となります。

動物の「生態」や「形態」などは、時間の経過で捉えるわけではなく、あくまで観測した時点で捉えますよね。

「態度」なんかも、「あの人の態度はデカいよね。」という言い方をしますが、この言葉を発した時点での様子を表します。


そして漢字の「状」は、姿、様子、成り行きという意味ですが、2つの漢字と意味的にはほぼ同じです。

以上を踏まえると

  • 状況=状+況=時間の経過を考慮した物事の様子
  • 状態=状+態=時間の経過を考慮しない物事の様子

となるわけです!


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例文を見て正誤を判断しよう!

ではここで一つ例題を出しましょう!下のいくつかの文章を見て、正しい意味と判断できるのはどれですか?

  1. 「状況」は常に目まぐるしく変化する
  2. 現時点で彼の健康「状況」は悪い
  3. かつて我が国の財政「状態」は最悪だった
  4. 試合は両チームとも点が入らない膠着「状態」に陥った
  5. 監督は試合の「状態」をよく見てピッチャーの交代を判断する
  6. キャッチャーは常にピッチャーの「状態」を見極めないといけない

①~⑥まで例文を出しましたが、どうでしょう?

これまでの説明を読んでもらえれば、正解は①と④と⑥、間違いは②と③と⑤とわかりますね。それでは順番に解説しますね。


①については「常に目まぐるしく」の部分が時間の経過を表しているので、「状況」だと判断できます。


②については「現時点で」とあるので時間の経過を考慮していませんから、「状態」とわかります。

ただし人間の健康については、「現時点で」という注釈がなくても、その時限定と判断できます。


③については財政「状態」とありますが、財政というのは時間の経過で常に変化するものですから、「状況」が適しています。


④については膠着「状態」とありますが、これは行き詰って何も進展がないことを指します。

こうなると何も変化しないので、「時間が経っても様子が変わらない」ことを強調するために、敢えて「状態」を使います。


⑤については試合の「状態」とありますが、スポーツの試合なんていうのも時間の経過で変わりますから「状況」です。


⑥についてはピッチャーの「状態」とありますが、これも②とほぼ同じ理屈で解釈して大丈夫です、よって「状態」となります。


因みに「状況」については、何かの事象が起きた時に、周りや周辺などを含めた広い範囲での様子となります。

例えば⑤の試合「状況」の例では、ピッチャーの状態やランナーの有無、点差、球数、対戦バッターの調子、さらに天候などいろんな要素を含んでいることになります。

単に「試合の状況」というだけで、これだけの内容があるんですね。本当に監督というのは大変な仕事です(汗)

おまけ:英語ではどうなる?

さてこれまでは日本語における「状況」と「状態」の違いについてでした。

しかしこの2つの言葉、実は英語の授業となると明確に区別されるんです。

皆さんも習ったことがあると思いますが、2つの言葉にそれぞれ合致する単語が「situation」と「state」となります。

  • situation:状況
  • state:状態

2つともアルファベットの「s」から始まるのでややこしいですが、それぞれ

  • situation⇒発音が「シチュエーション」⇒小さい「ヨ」がある⇒「状況」はカタカナで「ジョウキョウ」⇒同じくカタカナの「ヨ」がある
  • state⇒ate⇒アルファベットの「a」がある⇒「状態」のローマ字表記は「jotai」⇒同じくアルファベットの「a」がある

という覚え方で把握しましょう!

※他にも「condition」という英単語がありますが、これは「状況」と「状態」の2つの意味を合わせ持っています。

まとめ

今回は「状況」と「状態」の2つの言葉の意味の違いを、深く掘り下げていきました。それでは最後にまとめといきましょう!

  • 「状況」は、移り変わる物事の様子を表す言葉で、英語では「situation」
  • 「状態」は、人や物事のある時点での静止的な様子、英語では「state」
  • 「condition」という英単語は、「状況」と「状態」の2つの意味がある

似ているから混同しがちだった2つの言葉でしたが、今回の記事を読んで、その違いを明確に理解していってください!

たった1文字違っても、明らかにおかしいニュアンスで用いるようなことはできるだけ避けましょう。


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