日本は島国なのでいろいろな島々がありますよね。
そして普通の島ではなくいくつかの島々から構成されている「諸島」もあります。
小笠原諸島、南西諸島、そして中国との間で領有権が騒がれている尖閣諸島などがそうですね。
ところが似たような言葉で「群島」というのもありますね。
代表的なのが北方領土の歯舞群島です。
同じ複数の島々から成り立っているのですが、ここで諸島と群島って何がどう違うのかが、凄く気になったわけです。
そしてもう一つ気になる点といえば、「列島」という言葉です。列島といえば日本を構成する大きな島々を日本列島と呼ぶので馴染み深いですね。
また日本列島以外にも、小笠原諸島内の父島列島、さらに南西諸島内の宮古列島もあります。
諸島・群島・列島、同じ複数の島々を構成する意味では同じですが、明確な違いについて詳しく紹介していきます!
諸島・群島・列島の定義の違いとは?
諸島と群島と列島、この3つの言葉の定義の違いについてまず簡単に説明します。
- 諸島とはある一定の区域内に散在している多くの島々
- 群島とはある一定の区域内に群がった多くの島々
- 列島とは列状に連なっている島々
このようになりますが、いかがでしょう。
わかりやすく図で表現するなら以下のようになります。
上の画像のように列状に並んでいる場合や、ほぼ一直線になっているような島々は列島で、不規則に並んでいたり、円を描くように集まっていたり、密集している場合は群島となります。
いずれも日本国語大辞典を参照にしていますが、やや境界が曖昧な部分もあるんですよね。
特に怪しいのが、諸島と群島の違いです。
諸島は散在している多くの島々、群島は群がった多くの島々となっていますが、正直どっちも似ていますよね。
この両者は実質ほぼ同じ意味と捉えられますが、その前に日本及び世界にある主な3つの島々の具体例を紹介していきましょう。
- 【諸島とつく主な島々】
- 小笠原諸島(東京都)
- 伊豆諸島(東京都)
- 尖閣諸島(沖縄県)
- 大隅諸島(沖縄県)
- 沖縄諸島(沖縄県)
- 天草諸島(長崎県)
- フィリピン諸島
- ハワイ諸島
- マーシャル諸島
- フォークランド諸島
- モルディブ諸島
- 【群島とつく主な島々】
- 奄美群島(鹿児島県)
- 歯舞群島(北海道)
- 走島群島(広島県)
- 備後群島(広島県)
- 芸備群島(広島県)
- 魚島群島(愛媛県)
- 男女群島(長崎県)
- 【列島とつく主な島々】
- 日本列島
- 千島群島
- 父島列島
- 母島列島
- 五島列島
- アリューシャン列島
御覧のようになります。
ここで注目してほしいのが群島の項目です。なんと日本の地名しか載っていないですね。
Wikipediaの島の一覧というページを見ても、「日本以外の群島」の項目では空白となっています。
どうやら群島という概念は日本にしかないようです。
もしくは単に群島に相当する単語が英語にはないだけでしょうか?
ここで気になったので、それに該当する英語について調べてみました。
諸島・群島・列島を英語で言うと?
3つの言葉を英語で表現するとどういった言葉になるか、Weblio辞書のサイトで検索して調べてみました。
すると
- 諸島→islands
- 群島と列島→archipelago
諸島については、「島」を意味する英単語「island」の複数形になっています。
これはこれで何となく理解できますね。
だけど少し解せないのが群島と列島の2語で、「archipelago(アーキペラゴ)」だなんていう難しそうな言葉が出てきます。
この英単語は元々エーゲ海の固有名詞が由来となっているのですが、意味は「多島海」となります。
多島海とは、簡単に言えば「一定の範囲内に多くの島々がある海域」を意味します。
島の集まりではなく「海域」を指すことがポイントで、この地形に当てはまれば全て「archipelago」となります。
由来となっているエーゲ海とは、西と北をバルカン半島、東をアナトリア半島に囲まれた海で、同海域には大小2500以上の島々があります。
まさに多島海となっているわけですね。
因みにarchipelagoはあくまで海域を指す言葉なので、エーゲ海に浮かぶ島々は「エーゲ海諸島(Aegean islands)」と言い表します。
英語では明確に区別されない?
ただここまで解説して恐縮ですが、実は英語では諸島と群島と列島の区別がほぼされていないと言えます。
日本では「奄美群島」、「小笠原諸島」、「アリューシャン列島」と3つ表現しても、英語ではそれぞれ
- 奄美群島:Amami Islands
- 小笠原諸島:Ogasawara Islands
- アリューシャン列島:Aleutian Islands
となるわけです。
列島をarchipelagoと表現することはほぼなく、例外としては日本列島を「Japanese archipelago」と言うくらいです。
ただし「島が列状に連なっている」ことを強調する場合は、英語で「a chain of islands」と使うこともあります。
昔は諸島だった地名が群島に変わった?
諸島と群島、この2つの言葉がごっちゃになってしまう人も多いですが、その理由を探ると2つの地名も関係していました。
その2つとは奄美群島と歯舞群島です。
実はこの2つは昔は、それぞれ「奄美諸島」と「歯舞諸島」と表現されていました。
学校の地理の授業でも「諸島」で教わったという人も多いでしょう。
実際に国土地理院によると、以前までは2つの地名は「諸島」で統一表記されていました。
ただ海上保安庁や一部の人々は「群島」と表現していました。
そこで現地の人々などから「混乱が生じるから統一してほしい!」という要望が出てきて、現在は両方とも地名が「群島」と統一されるようになったわけです。
諸島に諸島が含まれるパターンも?
大きな諸島の内訳を見てみると、その中に諸島がいくつか含まれている地名も存在しています。
代表的なのが南西諸島ですね。
南西諸島とは日本の南西部にある、沖縄本島や奄美大島などからなる島々の集まりなのですが、その内訳を見てみると
- 薩南諸島(鹿児島県)
- 大隅諸島
- 吐噶喇列島
- 奄美群島
- 琉球諸島(沖縄県)
- 沖縄諸島
- 先島諸島
沖縄島、慶良間列島など
宮古列島、八重山列島、尖閣諸島
となっています。
諸島の下に2つの大きな諸島があって、そのさらに下に複数の諸島があるんですね。
そしてさらに下を見ると、今度は複数の列島が出てきました。
小さな島の集まり自体が一つの単位となっているわけでして、これらを全て集めて一括りにした場合は「諸島」と表現します。
天気予報などで南西諸島とか、先島諸島とかキャスターが言っている場面を耳にすることがあると思いますが、この上下関係をしっかり理解しましょう。
ここで一つ問題を出しますが、以下の2つの文章でどっちが正解になるでしょうか?
- 「台風は南西諸島には近づいたけど、大隅諸島には近づかなかった」
- 「台風は大東諸島には近づいたけど、南西諸島には近づかなかった」
上下関係をしっかり理解すれば、①が正解で②が間違っていると導けますね。
おまけ:周りに島らしい島がない孤島
これまで紹介したのは諸島や群島、列島など一定の範囲に複数の島が寄り集まっている地形を紹介しました。
しかし世界は広いもので、このパターンに属さない島も存在するのです。
こうした島は近隣に周りに島らしい島がないので、文字通り孤立島となるわけですが、具体的にどういった島があるのか紹介していきましょう!
イースター島
孤立島として代表的な島がイースター島です、モアイ像があることで有名ですね。
太平洋上にある火山島ですが、最も近い有人島までの距離は約2000kmもあります。
まさに絶海の孤島なわけです。こんな絶海な孤島で、巨大なモアイ像が何百体もあるから本当に不思議ですよね(;^^
トリスタンダクーニャ
イギリスの海外領土、南大西洋に浮かぶ火山諸島の一つです。
同じく半径数百kmほどの範囲内には有人島が全くなく、「どうやって行けばいいんだ?」と絶望させられるほどの孤島です。
この島はNHKで放送された紀行番組『世界一番紀行』で、「世界で一番“遠い”島」として取り上げられ、俳優の粟野史浩が訪問しました。
⇒大陸と島の違いとは?調べてみると意外な答えが判明!
まとめ
今回は諸島と群島と列島の3つの違いについて掘り下げていきました!
- 諸島とはある一定の区域内に散在している多くの島々、列島や群島もまとめていう場合が多い
- 群島とはある一定の区域内に群がった多くの島々
- 列島とは列状に連なっている島々
- 諸島は英語で「islands」、群島と列島は「archipelago」
- 南西諸島のように諸島の中に複数の諸島がある場合もある
島国ならではの事情ではありますが日本人である以上、上の3つの言葉の違いは明確に区別できるようになった方がいいでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。