体にいい植物油といえば「オリーブオイル」ですね。

文字通り「オリーブ」を使った植物油で、ポリフェノールを含むなど健康にもいいと聞きます。

神話や聖書にも度々登場する大事な果物なのですが、その「オリーブ」を漢字で書けますか?

鳩弟子鳩弟子

油分を含んでいるから「油果実」かな?

鷲弟子鷲弟子

いや、当て字で「折葡」でしょ?

あまり身近な果物でないだけに、やはり漢字表記も想像しづらいですね。

ということで「オリーブ」の漢字を詳しく見ていきましょう!

フクロウ教授フクロウ教授

意外な鉱物の名称まで出てくるよ

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「オリーブ」を漢字で書くとどうなる?

「オリーブ」とはオリーブ・オイルの原料となるモクセイ科の常緑高木の果実で、90%以上も地中海地方で生産されています。

その「オリーブ」の漢字ですが、実はちゃんと漢字表記あるんです!

橄欖

阿利布

阿利襪

阿列布



鶴弟子鶴弟子

4つもあったの?だけど下3つは似ているな

一番上の漢字が「かんらん」、その下の3つの漢字は「オリーブ」と読みます。

それぞれどうしてこんな表記になるのか、意味と由来を詳しく解説していきます!

「橄欖」の意味と由来

「橄欖」は「かんらん」と読みます。

この名前の由来ですが、実は「橄欖」とはオリーブが実るモクセイ科の常緑高木とは異なる、カンラン科の常緑高木の「カンラン」の漢字です。

「オリーブ」は上の画像のように、緑色の果実です。そしてこの同じ緑色をした鉱物オリビンが由来とされています。

実はその昔、この鉱物オリビンを日本語に訳する際に、違う樹木である「橄欖」の文字を誤って当てて「橄欖石」と名づけてしまい、植物のほうも同様にその表記が広まったという説があります。

カンラン科の樹木は江戸時代に日本に渡来し、種子島などで栽培され、果実も食用などに利用されていましたが、それらの利用法がたまたま「オリーブ」に似ていたから、誤って「オリーブ」に「橄欖」という漢字を当ててしまったわけです。

明治初期に和訳された新約聖書『マタイによる福音書』の中に「橄欖山の垂訓」と記載されています。


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「阿利布」・「阿列布」・「阿利襪」の由来は?

さて「オリーブ」の漢字表記は「橄欖」以外にも、「阿利布」と「阿列布」と「阿利襪」の3つあります。

実は結論から言うと、これら3つとも当て字なのです。まず「阿利布」から解説しますと、

  • 「阿」:音読みで「ア」
  • 「利」:音読みで「リ」
  • 「布」:音読みで「フ(ブ、プ)」

となるので、3つの漢字を合わせて「ア・リ・フ」。

「オリーブ」は英語で「olive」ですが、発音に若干クセが有り「アーリィブ」と発音します。

つまり漢字表記は英語の発音に近づけて考えられた当て字です。

鷲弟子鷲弟子

カタカナ読みなら、「折葡」とか「折理武」になっちゃうね

その次の「阿列布」もやはり当て字です。2文字目が「列」(音読みで「レツ」)になっているだけで、「ア・レツ・フ」となります。

やや無理矢理感がありますが、正直英語の「リ」の音と「レ」の音の聞き分けが難しいので、「利」と「列」両方で書く表記が生まれたのでしょう。


最後に紹介するのは「阿利襪」。

3文字目が「襪」とやや難しくなっていますが、音読みは「ベツ」、滅多に目にする機会はありませんが、実は「靴下、足袋」という意味もあるんです。

3文字合わせて「ア・リ・ベツ」、これもやや無理矢理感がある表記ですが、実はこの表記は明治政府も用いていました。

国家近代化政策の一環として、1878年に今の神戸市西区に約3000坪の敷地を用いて、「ゴムの木」や「オリーブ」などを植える施設を建てました。

その施設の名称が「神戸阿利襪園」、「神戸オリーブ園」として今でも神戸市西区にあります。


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「(olive)」の語源とは?

ここからは「オリーブ(olive)」の語源について、探っていきましょう!

「オリーブ」はその起源を辿ると、なんと古代ギリシア時代まで遡り、当時の言葉では「エライアー」、または「エライオン」と呼ばれていました。

この言葉をラテン語に借用した語形が「オリーワ」となり、これがイタリア語とスペイン語で「oliva」、フランス語で「olive」と伝わりました。

よって英語の「olive」はフランス語が由来となっています。

「オリーブ」の中国語表記は?

さてこれまでは日本語での「オリーブ」の漢字表記を考えてきました。

しかし漢字となると、やはり中国での表記も気になりますね。調べると、日本語と同じく4つの表記がありました。

橄榄

齐墩果

油橄榄

洋橄榄



鳩弟子鳩弟子

あれ?「橄榄」って日本語の「橄欖」と同じじゃ?

この4つあるわけですが、発音はそれぞれ「ガンラン」、「チィードゥングゥオ」「ヨウガンラン」、「ヤンガンラン」となります。

2つ目の「齐墩果」以外はなんと日本語の「橄欖」と被っていますね。

実は中国の漢名も一致していたのです、これが偶然かどうかは不明ですが、もしかしたら日本の和名は中国語表記から採用したのかも知れません。


因みに「欖」は繁体字表記です、簡体字で「榄」となります。同じく「齐」も簡体字表記で、繁体字だと「齊」と書きます。

まとめ

今回は「オリーブ」の漢字表記の紹介でした。では総まとめです。

  • 「オリーブ」を漢字で書くと「橄欖」・「阿利布」・「阿列布」・「阿利襪」の4つある
  • 「橄欖」は日本語で「かんらん」、カンラン科の樹木名から
  • 「阿利布」・「阿列布」・「阿利襪」はいずれも当て字
  • 神戸市にオリーブを栽培する「神戸阿利襪園」がある
  • 「オリーブ」の中国語表記は「橄榄」・「齐墩果」・「油橄榄」・「洋橄榄」の4つある



こんなに漢字表記があったなんて、誰が予想できたでしょうか?

そして中国語でもやはり「橄欖」と表記するのは意外でしたね、ただし発音は「ガンラン」なので気をつけましょう。

ほかにもカタカナ名の果物には漢字表記がたくさんあります、以下の記事をどうぞ!





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