日本語には数多くの同音異義語がありますね。日常生活でもそれはどっちの意味って突っ込みたくなる言葉はたくさんあります。

中でも今回紹介する「戦い」と「闘い」の2つの言葉は非常にわかり辛いですよね(;^^)

両方とも読みは同じで「たたかい」です。

学校の授業でどっちも習う常用漢字ではありますが、両者の意味の違いを詳しく学んだことはあるでしょうか?

意味的に何となく同じだけど、実は微妙にニュアンスが違っていました!

今回はこの2つの言葉の意味と使い分けを詳しく調べてみたので、興味のある方はぜひご覧ください!


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戦いと闘いの違いとは?



戦いと闘い



まず結論からになりますが、一言でこの2つの言葉の違いを説明すると、以下のような感じになります。

  • 戦いは、雌雄や優劣、勝敗を決めるために争うこと
  • 闘いは、主義主張を巡る争い、また困難に打ち勝つために努力すること



これが2つの言葉の決定的な違いとなります。

使い分けるポイントとしては前者が明確な争う相手がいることで、後者が必ずしも争う相手がおらず不特定多数だったり、場合によっては人以外だったり、自分自身も対象になることです。


なぜこのような違いになるのかについては、辞書の引用を見て理解した方が早いですね。goo辞書で「たたかい」と検索すると、次のように書いてありました。

  1. 戦争。戦闘。「ゲリラとの―」
  2. 競争。試合。勝負。「ライバルとの―」
  3. 抗争。闘争。「貧困との―」「労使の―」

引用元:goo辞書

冒頭で紹介した意味の違いに照らし合わせるなら、“戦争”や“競争”などはまさに勝敗を決するために争うことなので「戦い」が該当します。

③の“抗争”や“闘争”は意味的には「個々人の主義主張を貫き通すために争う」ことで、これは「闘い」が該当します。


よってに「戦い」の意味は①と②、「闘い」の意味は③に該当することになり、これは冒頭で紹介した意味の違いとほぼ合致しますね。

では具体的にどう使い分ければ良いのか?さらに細かい意味なども含めて、より詳しく解説していきます!

戦いの意味・使い方について

「戦い」という漢字の成り立ちについてですが、これは武器の象形とされる“單”と“戈”という2つの漢字が組み合わさって出来たとされます。

そのためこの言葉には武器を持って争うという意味合いが強く込められています。


また日本語の「叩く」が語源であるとされています。「たたく」→「たたかく」→「たたかう」と読みが変化していった形ですね。

こうした経緯から「武器を持って相手を叩く」→「武器を持って相手と争う」と変化していきました。


そして最終的には相手に“勝つ”ことが最も重要な点です。

「戦」という字が含まれている二字熟語をいくつかご紹介しますと

  • 戦争
  • 連戦
  • 交戦
  • 善戦
  • 戦果

などがあります。

いずれもゲームやスポーツ、競争、また国同士の争いという場面で使われることが多いですが、これらはいずれも争う相手がいます。

そしてその相手を倒し、勝ち負けや優劣を決することが目的です。

「戦う」の類語としては他にも「争う」や「競う」が該当します。「競争」という言葉はまさに「勝ち負け、優劣を競う」という意味です。

因みに英語では「battle、fight」などが同じ意味です。

戦いの例文を紹介

では「戦い」が実際にどういった感じで使われるのか?例文を紹介しましょう。

  • 日本シリーズで戦った選手同士が握手を交わした
  • 日本シリーズ、すなわち「野球の試合」で勝ち負けを決するので「戦い」となります。

  • 選挙期間中に戦った候補者同士で同じ政党を結成した
  • 選挙というのは基本誰か一人しか当選しないので、他の候補者よりも多くの表を獲得する、即ち勝ち負けを競います。

 

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闘いの意味・使い方について

「闘い」という漢字の成り立ちについてですが、これは2人の人間が手でつかみ合う様子から変化して出来た漢字とされます。

一見「戦い」と同じで「争う」と同じ意味に見えますが、この場合の「つかみ合っている」というのはあくまで「人が何かの苦難を取り払おうとしてもがいている、必死に努力している」という意味合いが強いとされています。


そして「戦い」との最も大きな違いが、最終的に相手に“勝つ”ことではなく、“負けない”ことが目的となっている点です。

「闘」という字が含まれている二字熟語をいくつかご紹介しますと

  • 闘争
  • 奮闘
  • 春闘

などがあります。


どの漢字もよく見ると「戦う」と違って必ずしも争う相手がいるとは限りません。

例えば「奮闘」は必死で勉強または努力している時にも使われている言葉ですし、「闘争」という言葉も、個人同士の争いだけでなく、「階級闘争」や「民族闘争」、「文化闘争」など、争う相手が非常に多岐にわたって人同士の争い以外にも使われたりします。

また「春闘」では賃上げのために労働者が企業間と交渉するのですが、あくまで自分の利益や要求を勝ち取ることが目的です。

このように「闘い」という言葉には、

  • 病気や困難を乗り切るため、打ち勝とうと努力すること
  • 思想や利害が対立している者同士が、自己の利益と要求を勝ち取るために争うこと

という意味合いが強くなっているのが特徴で、必ずしも相手を倒して勝利することが目的ではありません。

「闘う」の類語としては他にも「対抗する」や「取り組む」が該当します。

英語では「struggle with(against)~、strive」などが同じ意味です。

闘いの例文を紹介

では「闘い」がどういった感じで使われるのか?これも例文を紹介しましょう。

  • 期末試験のためテスト期間中は眠気との闘いだった
  • 眠気という困難を乗り切るために努力するため「闘い」となります。

  • 市民団体が法案廃止を訴えるための闘いだと主張した
  • 自分達の思想や考えの正当性を強く訴える=貫き通すことはまさに「闘い」となります。


例外もある?

これまでの説明から考えると「戦い」は自分以外の明確な相手がいることで、「闘い」には必ずしも敵対する相手はいないことになります。

ただこれについてもいくつか例外的な表現もあります。

特に小説などでは、作者が比喩的な表現として敢えて「闘い」と書くべきところを、「戦い」と書いたりしています。

病気や怪我などそもそも勝って倒す、という概念がなかなか通じないような対象でも敢えて「倒して勝つ!」というニュアンスを強めるために「戦う」の漢字を使ったりすることがあります。


また特にスポーツの世界では、過去に自分が出した新記録を破るために「自分との戦い」という表現を用いる選手も多くいます。

ここでいう“自分”とは過去の自分、即ち今の自分とは別の人間という見方をして敢えて「戦い」だと置き換えることもできます。

「戦い」という書き方でその人が「より勝ちたい!」という意味合いが強くにじみ出やすいですし、そもそも「闘い」という漢字がやや難しいのであまり多くの人が使い分けていない現状もあります。

でも正しい意味だけは把握してくださいね!

まとめ

今回は「戦い」と「闘い」の両方の言葉の意味の違いについて紹介してきました。

まとめますと「戦い」は相手を倒して勝つ意味が強く、「闘い」は困難に立ち向かうために努力する意味が強いということになります。

もちろん「戦って勝つ」ことも大事でしょうが、多くの人にとって必要なのは困難に立ち向かうために「闘う」意志の強さだと思います。
 

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