近年のスマホやタブレット、その他の最先端技術が込められた科学製品には素となる原料が非常に大事な要素となります。

その原料で使われる物質で、近年存在感と知名度を増してきたのがレアアースですね。





レアアースといえば中国が2010年に起きた尖閣諸島中国漁船衝突事件の際に、日本への禁輸措置に踏み切ったことで一躍有名になりました。

それまで日本はレアアースを海外に依存してきましたが、特に中国への依存度が大きく、官民を挙げてチャイナリスクへの対応を迫られることになりました。

レアアースは現在では最先端技術を支える重要な資源です。それは他の国も変わりません。


ところが似たような言葉でレアメタルという資源もあります。

レアアースは知っているけどレアメタルって何?似ているけどどこがどう違うの?

という疑問が僕としても頭から離れなかったので、今回はこの2つの違いを詳しく解説していきます!
 

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レアアースとレアメタルの違いとは?



レアメタルとレアアース



両方とも“レア”(希少な)という言葉がついている点が共通していますが、違っているのは“アース”と“メタル”ですね。

アースとは英語で「earth」、これは日本語で「地球」となりますが、この場合の意味でふさわしいのは「土」となります。

対してメタルとは英語で「metal」、これは日本語で「金属」でこのままの意味で大丈夫です。


従ってレアアースが「希少な土」、レアメタルが「希少な金属」となります。

ただこれだけだとちょっと簡単すぎて、雑な書き方ですね。

もう少し具体的に掘り下げて詳しく説明しますと、以下のような感じになります。

  • レアメタルとは、非鉄金属の中で様々な理由から流通量と使用量が極めて少ない金属のこと、31種類ある
  • レアアースとは、31種類あるレアメタルの中で希土類元素に分類される計17元素の総称

つまりレアアースとはレアメタルの一部なのです。レアメタルはレアアースを含めて31元素ありますが、レアアースの17元素も含めると47元素になります。

では現実問題としてレアメタルとレアアースはどう使い分けられているのか?

次の章から詳しくその内容を元素の周期表も用いて詳しく迫っていきます!
 

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レアメタルについて解説!

レアメタルとは日本語で「希少金属」、その名の通り流通量と使用量が非常に少ない金属のことですが、狭義においてはベースメタル(鉄や銅など)や貴金属(金や銀)以外で産業に利用されている非鉄金属のことを指します。

またレアメタルという呼称は日本独自で、海外では「minor metal」と呼ばれています。

レアメタルの一覧と用途

レアメタルにはどういった元素があるのか、レアアースを除いた全31元素を紹介します。

リチウム ベリリウム ホウ素 チタン 白金 バナジウム ガリウム コバルト
ニッケル ビスマス タンタル タリウム タングステン レニウム セシウム ハフニウム
ゲルマニウム ルテニウム モリブデン アンチモン パラジウム ニオブ ロジウム テルル
バリウム ストロンチウム セレン マンガン インジウム ハフニウム クロム

※上で紹介した30種類の元素はあくまで工業用として利用される非鉄金属全体を指します。単にレアメタル(希少金属)という意味では、例えばイリジウムやカドミウムも含みます。

この中でも特に使われることが多いのが白金、チタン、バナジウム、コバルト、リチウム、ニッケル、タングステン、マンガン、クロムあたりです。

主な用途としては、半導体や電池といった電子材料や磁性材料に使われる他、ベースメタルに添加して強度を増した合金の生成、光触媒などの機能性材料を生成するために使われます。

例としては、

  • ステンレス鋼…クロムとニッケルを含む合金
  • チタン合金…チタンとバナジウムを含む合金
  • コバルト合金…コバルトを含む合金
  • 塗料・着色剤…バナジウムなど
  • 一次電池…マンガンやニッケル、リチウムなど
  • 燃料電池…リチウム、白金など
  • 光触媒…チタン、タングステンなど
  • 電子顕微鏡…タングステンなど

などがあります。

一番身近な物では乾電池がありますね。最近ではスマホの携帯充電器としても使われることが増えました。

レアメタルがないと経済が回らないと言っても過言ではないでしょう。

レアメタルの主な産地

一般的にレアメタルは希少であるだけでなく、その産地の分布も偏っているのが特徴です。

レアメタルの生産国で最も有名で上位に君臨するのが、中国とロシア、アフリカ諸国と南北アメリカ諸国です。ヨーロッパとアジアの国々はほとんど入っていません。

例えばタングステンという物質は中国だけで90%以上の埋蔵量、バナジウムは南アフリカと中国とロシアで98%以上の埋蔵量、白金の生産量は南アフリカだけで75%も占めています。


日本はこういった国々からレアメタルを輸入するしかありません。

資源ナショナリズムの台頭で中国やロシアが自国資源を囲い始めているため、希少資源に乏しい日本ですが海外との付き合い方を

近年では日本の近海にもレアメタルが大量に眠っているという調査結果があるようです。詳細については以下の記事をどうぞ!
日本の近海に眠るレアメタルは多い? 都市鉱山への期待も?
 

レアアースについて解説!

レアアースとは日本語で「希土類元素」、レアメタルの中の1鉱種で、周期表の位置では、第3族のうちアクチノイドを除く第4周期から第6周期までの元素を包含しています。

※ただし第6周期のランタノイドだけ、55から71までの元素が含まれている特殊な形式になっています。

すなわちランタノイドとはランタンからルチウムまでの15の元素の総称に過ぎず、「ランタノイド」という元素はないので注意してください!

実はレアアースとは言っても、金や銀といった貴金属よりも近くに存在する割合は高いのですが、単独の元素だけ分離精製するのが技術的に極めて困難なのが特徴です。

そのため貴金属とほぼ同じ価格で取引されたりします。

埋蔵・産出量は偏っている?

やはり埋蔵量はレアメタルと同様偏っていて、特に中国依存度が高いのが特徴で2010年頃まで、世界の産出量の約9割近くを占めていました。

ただ近年ではカザフスタンやインド、オーストラリアといった国々でも生産量が増え始め、日本もこれらの国々からレアアースの輸入量を増やして2012年頃には対中レアアース依存度が半分以下にまでなりました。

ちなみにレアアースの埋蔵量は全世界で9900万トンで、年間の消費量が15万トンなので枯渇自体の心配はされていません。それでも600年ほどしかもちませんが…

レアアースの一覧と用途

レアメタルは31の元素がありましたが、レアアースだけで見ても17元素あります。

プラセオジム セリウム ランタン イットリウム スカンジウム エルピウム
ユウロピウム サマリウム プロメチウム ネオジム ガドリニウム ホルミウム
ジスプロシウム テルビウム ルテチウム イッテルビウム ツリウム

さらに周期表に関しては第3族のみにしかありません。アクチノイドだけ含まれない点と、ランタノイドの部分に15の元素が含まれていることに注意すれば大丈夫です。


またレアアースの主な用途としては、

  • ネオジム磁石…ネオジムとジスプロシウム
  • LED…ユウロピウム
  • プリンターの印字ヘッド…ジスプロシウム
  • 排気ガス浄化触媒…セリウム
  • メタルハライドランプ…スカンジウム
  • レーザー…イットリウム

などがあります。

一番有名なのがネオジム磁石ですが、これは超強力な永久磁石、高性能なモーターに使われます。

またプリンターの印字ヘッドとして使われるジスプロシウムなど、身近な物でもレアアースは使われています。レアメタルだけでは、現代社会のありとあらゆる工業製品は作れません。

まとめ

以上レアメタルとレアアースの2つの違いの解説でした。

簡単にまとめるとレアアースは希土類元素で、レアメタルは32種類ある非鉄金属元素のことです。

レアメタルの中にレアアースが含まれており、レアアースは57~71までの元素は「ランタノイド」に含まれる点に注意が必要です。


どちらも希少価値の高い金属ではありますが、ここ最近では海底において大量に眠っていることが調査でわかってきました。

掘削技術や深海探査の技術が高まれば、領海が広い国ならかなりの量のレアメタルやレアアースを算出できる見込みです。

そうなると日本はレアメタルとレアアースにおいて超資源大国になる可能性を秘めています、日本が世界一の供給国になる日も夢じゃいかもです!
 

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