最近レアメタルという言葉をニュースなどで耳にするケースが増えてきましたよね。

レアメタルとは文字通り希少金属という意味で、亜鉛やコバルト、ニッケルといった非鉄金属全体を指します。因みに海外ではマイナーメタルと呼ばれているそうです。

レアメタルが具体的にどういった役割を担っているのか、また主要な産出地や日本の近海での埋蔵量や産出状況なども含めて詳しく解説していきます!
 

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レアメタルとは?

レアメタルの日本での埋蔵量はどうなっているのか?

それについて解説する前に、まずレアメタルとはどんな物なのかについて軽く説明していきましょう。

レアメタルとは希少金属とも呼ばれ、産業界での流通量と使用量が極めて少ない金属のことを言います。狭義では鉄や銅といったベースメタル、金や銀などの貴金属以外で産業に利用される非鉄金属全体を指しています。

 
代表的なレアメタルを挙げると以下の金属になります。またそれぞれどういった目的で利用されているのかも簡単に説明しておきます。

  • リチウム:陶器や電池など
  • ベリリウム:X線装置や音響材料など
  • ホウ素:ガラスやセラミックスなど
  • チタン:合金用や絵具など
  • バナジウム:鉄鋼用や触媒など
  • マンガン:電池や合金用など
  • クロム:合金用やめっきなど
  • ニッケル:めっきや磁性材など
  • 白金:排気ガスの浄化触媒や磁性体など
  • インジウム:液晶やはんだなど
  • タングステン:電子顕微鏡や合金用など

これらのレアメタルは現代生活に欠かせない資源となっています。なぜかと言いますと、昨今のスマホやパソコンといった電化製品の中には多種多様な電子部品が入っていますが、その電子部品の構成材料として組み込まれているからです。

例えば半導体レーザーや発光ダイオード、化学電池、永久磁石、ハードディスクの磁気記録素子などといった電子材料や磁性材料はレアメタルの宝庫と言えます、最近ではこれら電子部品を含む家電製品や携帯電話などが廃棄された都市鉱山も注目されているようです。

また電子部品以外にも構造材でもアルミや鉄をベースとして強度を増した合金を構成しています。特にステンレス鋼は非常に錆びにくいので各家庭のキッチンの流し台などに用いられています。

 
このように現代社会に欠かせなくなった資源ではありますが、レアメタルという名称から希少であるというイメージが強いです。しかし地殻中に含まれる存在量はかなり多い方です。

ではなぜレアメタルが希少金属と言われるのか?その理由は主に以下の点にあります。

  • 採掘と精錬のコストが高いこと
  • 単体として取り出すことが困難であること
  • 鉱石を還元する製錬のコストが高いこと
  • 用途が限られているため特定の産業にしか用いられないこと
  • 特性的に他の金属に代替ができないこと
  • 価格が高騰すると国家による抑制策が打たれること

レアメタルは地殻中に含まれる量はかなり多い方ですが、鉱石中に含まれる量が少なすぎて製錬による濃縮や抽出に大きな手間がかかります。

 
枯渇するという心配は今のところないですが、近年の中国やインド、さらに中南米と言った多くの新興国の経済発展による需要の増加で価格の高騰が続いています。実際に2002年から2007年の間でニッケルの価格が8倍になっているほか、希土類元素のレア・アースの価格も数倍以上に上昇しています。
 

もしもの時に備えて国家備蓄を行っている?

レアメタルはその希少性から非常に産出量も少なく、また産出国がアフリカといった政情不安定な国が多いため、政治的な理由で供給が難しくなると言ったケースも指摘されています。

そのためアメリカ合衆国やスイスでは第二次世界大戦直前からレアメタルの国家備蓄を行ってきました。日本もその流れを受けた形で、大量の国内備蓄を石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって管理されています。

品目対象はニッケル・クロム・タングステン・モリブデン・コバルト・マンガン・バナジウムの7元素で、いずれも日本の産業上において極めて重要性が高いです。1998年にバナジウムが供給不安定のため一度だけ市場に放出されました。
 

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日本のレアメタル埋蔵量など

昔から島国で資源に乏しいと言われる日本ですが、当然レアメタルも例外ではありません。やはりほとんどのレアメタルは外国からの輸入に依存しているのが現状で、日本国内ではレアメタルの産出が行われていません。

ただし日本海側から北海道東部にかけて広がっているグリーンタフ(黒鉱ベルト)という領域は、緑色凝灰岩という大昔の海底火山によって生じた大量の火山岩が存在します。

この火山岩は見た目が黒いので黒鉱とも呼ばれていますが、亜鉛や鉛、ビスマスを含む鉱石が広く採掘されていました。しかし硫化鉱と諸金属からの分離に手間がかかってコスト敵に割が合わないとして長い間採掘は行われていませんでした。今後のレアメタルの価格の高騰などで開発がされるという可能性もありますが、果たしてどうなるやら。
 

日本近海に豊富に存在?

陸地はダメでも日本には広大な排他的経済水域があります、海の底に目を向ければまるで状況は変わります。

日本の排他的経済水域内には大量の海底資源が存在するとされていて中でも最近注目されているのはメタンハイドレートという天然ガスに並ぶエネルギー資源です。

さらに豊富なレアメタルも大量に埋蔵されていて、海底にある熱水鉱床には1.7億トンコバルト・リッチ・クラストと呼ばれる多金属団塊の層には2.2億トンと推計され、これら全部合わせると300兆円に相当する価値があるとされています。

もちろんこれは現在推定されている分に過ぎません、海底資源は深い海の底を探査しないと詳しい状況はわかりませんが、深海は高い水圧のため従来の科学力ではうまく探査できない状況が続いていました。もしかしたら今後さらに埋蔵量が増える可能性もあります。
 

都市鉱山にも注目!

レアメタルの需要が拡大するにつれて注目されてきたのが都市鉱山と呼ばれる資源の山です。都市鉱山とは、都市部でゴミとして廃棄された家電製品などの中に存在する有用なレアメタルを鉱山に例えたもので、特に産業界ではレアメタルの価格の暴騰によって廃棄された携帯電話やパソコンなどの電子部品からレアメタルの回収とリサイクルを行うことが推奨されています。

実は都市鉱山まで含めると日本は世界有数の資源大国となります。人口が1億を超えている経済大国なので購入する家電製品や電子製品の量も多いですが、同時に廃棄される量も多いのです。

2008年1月の調査によれば日本の都市鉱山に含まれる金の総量は6800トンもあってこれは全世界の埋蔵量の約20%に匹敵すると言います。金以外にも銀やインジウムといった貴重な金属の宝庫になっていて、こうした金属を全て回収すれば今後の産業界を支える貴重な柱になるでしょう。

 
海底資源と都市鉱山と、2つも資源の山がありますのでこれらを有効的に活用すれば日本は新たな経済成長を実現できます。特にレアメタルに関しては産出地の偏りが激しいため、石油と同様政情不安による影響を受けやすいのでますます対策を進めなければいけないと言えるでしょう。

またレアメタルの他にレアアースという資源もありますが、この両者の違いについて詳しく知りたい方は以下の記事をどうぞ!

レアメタルとレアアースの違いって?周期表の位置も把握しよう!
 

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