普段は何気なく使っている言葉でも、似たような言葉が出てきて、意味の違いを詳しく理解できず困ってしまう人はどのくらいいるでしょうか?
かくいう自分は日頃からブログで文章を書きまくっているので、多少ニュアンスが似たような言葉が出てくると、その違いが気になって仕方ありません。
今回紹介する「光る」と「輝く」の2つも、似ていますね。
例えば地球を照らす太陽は、太陽系が誕生した時からずっと光を放っています。
その太陽に対して、「太陽は光っている」とは言いますが、「太陽は輝いている」と言っても差し支えなさそうです。
さて両者の明確な違いは一体何なのでしょうか?
今回は「光る」と「輝く」、2つの言葉の違いを徹底的に掘り下げていきますよ。
実は人に使う時だってあるし、英語での表現の差異も気になる所だね。
「光る」と「輝く」の違いを一言で!
結論からになりますが、「光る」と「輝く」の違いを一言で説明してみます。
- 「光る」は、単に光を放つこと
- 「輝く」は、強い光を放つこと
どちらも「光を放つ」という点では一緒ですが、ポイントは光の量にありました。
「光る」の方が単に光をピカッと放つ時に用いることが多くて、「輝く」はどっちかと言うと強い光を放つ時に用いるのが多いです。
辞書の文面や漢字の由来にも着目しよう!
でもどうしてこうした使い分けになるのか少し気になりますね。
この差異をより詳しく知るには、やはり辞書の言葉で見た方がいいでしょう。
ということで例のごとくgoo辞書で調べてみました。
まずは「光る」から見ていきましょう。
1 光を放つ。また、光を反射して輝く。「蛍が―・る」「星が―・る」
2 美しく輝く。また、つやや光沢がある。「灯火に―・る黒髪」「ひじの―・ったジャケット」「磨いて―・っている靴」
3 才能・容貌・人物・技術などが一段とすぐれて目だつ。「今年の新人の中で一番―・っている」「ひときわ―・った存在」
4 (「目がひかる」の形で)油断なく見張る。厳しく監視される。「官憲の目が―・っている」
5 明るく色あざやかに輝く。「野山に新緑が―・る」
引用元:goo辞書
次に「輝く」のページを見てみます。
1 まばゆいほどきらめく。きらきら光る。光を放つ。「ネオンが―・く」
2 生き生きとして明るさがあふれる。「希望に―・く未来」
3 名誉や名声を得て華々しい状態にある。名が上がる。威光が現れる。「栄冠に―・く」
引用元:goo辞書
2つの言葉を辞書で見てみました。
見比べてみると、「光る」は「光を放つ」と書かれており、「輝く」は「まばゆいほどきらめく」とあります。
きらめくも「光を放つ」とほぼ同義なので、「まばゆいほど」と強調されている「輝く」の方が「光る」よりも、強い光を放っていることになります。
少し視点を変えて、「輝」という漢字を分解してみましょう。
「輝」は、「光」と「軍」の2つに分かれることがわかります。
「軍」という漢字は、「軍隊」などに使われていますが、意味的には「兵士の集団」となります。
つまり「輝」という漢字は「光が軍のように群がっている⇒光が巡り広がっている」という解釈になります。
恐らく夜空に輝く星々の明かりから来ている言葉なのでしょう。
光の“軍団”だから強い光なんだね。
具体例を用いて詳しく見ていこう!
例えば冒頭でも紹介した「太陽は光る」と「太陽は輝く」の2つの例文は、
- 「太陽は光る」は、「太陽は光を放っていて、地球からも観測される」
- 「太陽は輝く」は、「太陽は強い光を放っていて、そのエネルギーで地球が暖められており、生命にとって欠かせない存在だ」
という意味合いになります。
2つの文章を比べてみると、「光る」では単なる自然現象的な意味合いに留まりますが、「輝く」では強い光を放ちその光のエネルギーの凄さを強調していますね。
このニュアンスの違いを把握した上で、以下の物体や現象の場合はどっちを使えばいいでしょうか?
- 夏の大三角形を構成するベガ
- 天の川
- 十五夜の満月
- 懐中電灯
- 流れ星
- 稲妻
①~③は単なる自然現象というよりも、大昔から人々の間で観測されていた光です。
単なる星の光や流れ星、月の明かりは普通の自然現象なので「光る」でもいいでしょう。
だけど七夕の織姫の代わりとしても有名なこと座のベガや、夏の夜空を彩る天の川銀河、さらに一年の中で最も明るいとされる十五夜の満月は、超特別な存在です。
また光を放つ時間も短時間で終わることはありません。
そのため「光る(光っている)」だと、ちょっと物足りなさを感じてしまいますよね。
「ベガが輝いている」、「天の川が輝いている」、「今年の十五夜の満月は去年より輝いている」と表現した方がしっくりきますよね。
これに対して④~⑤は、懐中電灯と流れ星と稲妻で、人工的な明かりや自然現象などですね。
こうした場合は強烈な光を放っているわけでもないですし、長時間続くこともありません。流れ星や稲妻に至っては、ピカッと一瞬だけ光を放つわけですしね。
そのため「輝く」よりも「光る」を用いた方が適切と言えます。
人に対して使う時の意味の違いは?
これまで用いてきたのは、天体や人工的な明かり、自然現象など人以外での話でした。
ですが「光る」と「輝く」は人に対し使う場面もあります。例えば以下のような感じです。
- 彼は今年の新人の中でひと際光っている
- あの女優がアカデミー賞に輝いた
いずれもgoo辞書を参考にした例文です。
①の例文の「光っている」は、「一段と優れていて目立っている」と同義です。
すなわち「彼女は今年の新人の中で目立った存在だ」と言い換えられます。
②の例文の「輝いている」は、「名誉や名声、栄冠を得ること」、「名が上がる」とほぼ同義です。
つまり「アカデミー賞に輝いた」というのは、「アカデミー賞という名声を得て名が上がった」と同じ意味になります。
まとめると「光る」が「目立つ」で、「輝く」が「名声を得る、名が上がる」です。
比べてみると、人に対して良い意味で使う場合は「輝く」の方がよさそうですね。
いつか自分も「輝く」存在になりたい!
英語ではどう違う?
言葉の意味やニュアンスの違いについては、これにて理解できましたでしょうか。
では最後に英語での違いを見てみましょう!
英語で「光る」と「輝く」の2つの表現すると、
- 「光る」:shine、flash、light up、conspicuous、emit light
- 「輝く」:shine、glitter、outshine、brilliant
となります。
英語では実は「shine」一語だけで、「光る」と「輝く」の2つの意味が含まれます。
例えば「The sun is shining.」と書くと、「太陽が光っている」でもいいですし、「太陽が輝いている」とも訳せるわけです。
ただ前項までで解説した通り、「光る」と「輝く」には光の強度の違いがあります。
また主に天体などの光に使うか単なる自然現象として使うか、さらに人に使う場合でも微妙に意味合いが異なってきます。
ということで上で紹介した英単語で、さらに明確に意味を分けておくとこうなります。
- 自然現象としてピカッと光る場合は「flash」
- 人工物を光らせる場合は「light up」
- 天体などのより強い光を表現する場合は「outshine」
- 人が目立っているを表現する場合は「conspicuous」
- 輝かしい業績などを表現する場合は「brilliant」
英語で文章を書く時の参考として、ぜひご活用ください。
まとめ
今回は「光る」と「輝く」の意味の違いを掘り下げてきました。それではまとめといきましょう!
- 「光る」は、単に光を放つこと、主に自然現象に使うことが多い
- 人に対して「光る」を使う場合は、「目立つ」とほぼ同義となる
- 「光る」を英語で言うと、「flash」、「light up」など
- 「輝く」は、強い光を放つこと、主に天体に使うことが多い
- 人に対して「輝く」を使う場合は、「名が上がる」とほぼ同義となる
- 「輝く」を英語で言うと、「glitter」、「brilliant」など
単に「光る」よりも「輝く」という言葉の方が、より強い光となって響きもいいですよね。
子供に夢や目標を持つよう伝えるだけでなく、「輝く」人物像を目指す志を伝えることも大事です。
※読みが同じで意味が微妙に異なる言葉の違いは他にもありますよ。
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