数多くある漢字の中で、見た目と意味と読みが似ている漢字っていくつもあるんです!
今回紹介する「輝」と「暉」と「揮」もその類ですね。
よく見れば漢字の右側だけが同じで、部首だけが違います。
「輝」と「揮」は見たことあるけど、「暉」って何て読むの?
恐らく多くの人が3つとも同時に出されたら困惑するでしょう。
そこで「輝」と「暉」と「揮」の意味の違いと、使い分けをしっかりと解説していきます!
「力を『ハッキ』する」の「ハッキ」はどの漢字を使うんだっけ?
「輝」と「暉」と「揮」の違い!
「輝」と「暉」と「揮」の違いを、一言でまとめるとこうなります!
- 輝:漢字の「軍」に部首の「ひかりへん」がついたもの、意味は「光る。かがやく」
- 暉:漢字の「軍」に部首の「ひへん」がついたもの、意味は「光る。かがやく」
- 揮:漢字の「軍」に部首の「てへん」がついたもの、意味は「ふるう。まきちらす」
「軍」という漢字が全部共通していたんだ!
3つの漢字は、それぞれ右側が「軍」という漢字で、それぞれ違う部首がくっついています。
漢字の「軍」は「軍隊、兵士、戦」を表した会意文字です。
では3つの漢字の成り立ちと意味について、詳しく見ていきましょう!
「輝」の漢字の成り立ちと意味
部首 | ひかりへん |
画数 | 15 |
訓読み | かがやく、てる |
音読み | キ |
意味 | 強く光る、かがやく |
漢検レベル | 4級 |
「輝」はご存知、「光り輝く」で使われる漢字です。
この漢字は、「光へん」と「軍」の2つの漢字がくっついた漢字で、会意兼形声文字となります。「光」は「火」の象形文字と、「人」の象形文字の組み合わせです。
「光」と「軍」なのにどうして「かがやく」という意味になるのか、それは「軍」という字が「軍は広範囲に活動する」ことから「広い」の意味になっており、合わせて「広く光る」となるからです。
よって「輝く」はまさに「光が広く光る」という意味になります。因みに「輝く」と「光る」の意味の違い、使い分けを詳しく知りたい方は以下の記事を御覧ください!
「光る」と「輝く」、どちらも「光を放つ」という意味では共通していますが、その明確な違いと使い分けをご存じでしょうか?今回は2つの言葉について意味の違いを主に光の強度や人に使う場合、英語での表現も合わせて詳しくご紹介します!
「輝」という漢字を用いる熟語としては、「輝望(キボウ)」、「輝度(キド)」などがあります。
「暉」の漢字の成り立ちと意味
部首 | ひへん |
画数 | 13 |
訓読み | かがやく、ひかる |
音読み | キ |
意味 | 光る、かがやく |
漢検レベル | 1級 |
次に紹介するのは「暉」です。実はこちらも「輝」と同じ意味を持った漢字です。
この漢字は、「日へん」と「軍」の2つの漢字がくっついた漢字で、やはり会意兼形声文字となります。「日」は「太陽」の象形文字です。
右の「軍」はこの場合「戦争を巡らす」という意味合いから「巡る」という意味に転じ、合わせて「太陽が巡り光り続ける」となります。
よって「暉」も「輝」と同じく、「強く光る、かがやく」となるわけです。
意味も読みも同じなので、一見どっちを使ってもよさそうですが、一点だけ違うのが、「暉」は人名用漢字で、常用漢字ではありません。
つまり人名には用いていいですが、常用漢字として使えないので、単に「かがやく」と出題されたら「輝く」と書いたほうが良いということです。
漢検1級の難易度だから、正直あまり見かけないね
因みに「暉」を使う熟語としては、「暉暉(キキ)」、「清暉(セイキ)」などですが、人名用漢字なので「光暉(コウキ)」、「友暉(トモキ)」などとも使います。
「揮」の漢字の成り立ちと意味
部首 | てへん |
画数 | 12 |
訓読み | ふるう |
音読み | キ |
意味 | ふるう。振り回す。払いのける。 |
漢検レベル | 5級 |
最後に紹介するのは「揮」です。この漢字は今までと音読みこそ同じですが、意味が全然違います。
「手へん」と「軍」の2つの漢字がくっついた漢字で、やはり会意兼形声文字となります。
右の「軍」はこの場合「戦車で包囲する、巡らす」という意味合いから「手で巡らせる」という意味になり、そこから「ふるう、指図する」となります。
オーケストラの指揮者と同じような感じか
意味は全然違いますが、音読みはやはり「キ」になります。
「揮」を使う熟語としては、「発揮(ハッキ)」、「指揮(シキ)」、「揮発(キハツ)」などがあり、いずれも「光る、輝く」という意味合いは含まれません。
書き間違えないようにするには!?
さてここまでで3つの「キ」の漢字の意味と成り立ち、熟語の例を紹介してきました。
ではいざ漢字の書き取りとして出題されて、正しい「キ」の漢字が書けるでしょうか?以下の例で、それぞれどの漢字に該当するか考えてみてください。
- 光源の「キド」を調べる
- 星々が「キキ」として輝いている
- 彼は真の実力を「ハッキ」できずにいた
1から順番に答えを言いますと、「輝度」だから「輝」、「暉暉」だから「暉」、「発揮」だから「揮」となります。
意味はそれぞれ「光源の明るさの指標」、「強く照りつけるように光る」、「持ち前の特性を十分に働かせる」となります。
この中では「輝」と「暉」がともに意味が被っているので、使い分けが難しいですが、基本的に2つの漢字は実は言い換えても同じです。
ただし光源の明るさを表す指標の「輝度」については、「輝」の字が正解のようです。これを「暉度」とする表記は見当たりません。
また先述したように「輝」が常用漢字、「暉」が非常用漢字なので、基本的には「輝」で書いたほうが無難です。
もし答えが選択式になっていて、「輝」がなく「暉」しかなかった場合はそれを選択すれば大丈夫でしょう。
最後の「ハッキ」については、「持ち前の力を存分にふるう」となりますから、「発揮」となるわけです。
まとめ
今回は「輝」と「暉」と「揮」の意味の違い、そして熟語の例を紹介してきました。それではまとめといきましょう!
- 「輝」は常用漢字、「光が軍のように広がり光る」という意味から転じた
- 「輝」を用いる熟語は「輝望(キボウ)」、「輝度(キド)」
- 「暉」は人名用漢字、「太陽が巡り光る」という意味から転じた
- 「暉」を用いる熟語は「暉暉(キキ)」、「清暉(セイキ)」、また「光暉(コウキ)」、「友暉(トモキ)」などの人名で用いる
- 「揮」は漢字の「軍」に部首のてへんがついたもの、意味は「ふるう。まきちらす」
- 「揮」を用いる熟語は「発揮(ハッキ)」、「指揮(シキ)」、「揮発(キハツ)」
今回は以上です。ほかにも見た目が似ている漢字の違いをいくつか記事にしていますので、興味があれば御覧ください!
漢字の「未」と「末」、似た者同士の2文字ですが、書き取りの際に書き間違えやすいと思います。「未開」、「結末」など漢字で書き取る際に、読み方から判断し書き間違えないための覚え方も紹介します。
「盤」と「磐」、2つとも同じ読みで意味的にもほぼ同じですが、一体何が決定的に違うのでしょうか?また「盤石」と「磐石」は2つとも「ばんじゃく」と読みますが、一体どっちが正解になるのか?詳しく見ていきましょう!