毎日の食生活のバランスを保つために、様々な料理を口にする人は多いでしょう。
日本食問わずいろいろな国の料理に欠かせない汁料理といえば、「スープ」ですね。
「わかめスープ」とか「コンソメスープ」を思い浮かべますが、改めて「スープ」って漢字で書けますか?
なんだろう。普通に「汁」一文字でいいんじゃないかな?
うーん、当て字で「素布」かな?
毎日のように目にする料理ではありますが、改めて漢字で問われると、わからない人は多いでしょう。
ということで「スープ」の漢字を詳しく見ていきましょう!
あの和菓子の漢字も出てきたよ!
「スープ」を漢字で書くとどうなる?
そもそも「スープ」の漢字表記があるのかと思いたくなりますが、あるんです!「スープ」の漢字表記はこうなります!
なんか一つだけ凄く難しい漢字が混ざってる
意外なことにこれだけ表記がありました。
また3つ目はかなり難しい漢字となります。果たして何が由来なんでしょうか、詳しく探っていきましょう!
「肉汁」の意味と由来とは?
「スープ」は、英語で「soup」と書き、日本語では一般的に「汁」とか「汁物」で知られていますが、正式には「肉や野菜、魚介類を煮込んだ水分の多い料理」というのが定義です。
つまり「肉・野菜などが入った汁」なので、「肉汁」となります。
ここで注意すべきポイントは、肉や野菜などを煮ていることが条件で、そのエキスが入っていないものは「スープ」ではないことです。
わかりやすい例だと「レモン汁」とかの「果汁」も「汁」の一種ですが、肉や野菜などが入っていないので含まれません。
また厳密には「味噌汁」も、単なる味噌だけを溶かした「汁」は当然「肉汁」にはなりません。
「ステーキ」などの肉汁のことではない!
ステーキや焼肉などを食べた時に、肉から汁が出ます。
この時「肉汁の旨味が最高に良い!」なんて表現することがありますが、この場合の「肉汁」は「生肉から出た汁」という意味で「スープ」とは異なります。
ステーキから「スープ」が出たら大変だよ
「羹」・「吸物」の由来は?
「スープ」の漢字表記の候補としては、ほかに「吸物」と「羹」があります。
まず「吸物」については、国語辞書の文章を引用するとこうなります。
日本料理の汁物の一つ。具として野菜や魚などを入れ、醤油や塩で味をつけた汁物。すましじる
引用元:国語辞典オンライン
この意味を先程の「スープ」の意味と重ねると、「野菜や魚などを入れ」という部分で確かに「スープ」と合致します。よって「吸物」も「スープ」の漢字候補の一つとなります。
さらに「吸物」で英語辞書を検索すると、やはり「soup」となります。
次に紹介する「羹」という表記ですが、読みは「あつもの」、「かん」で実は和菓子の「羊羹」の漢字にも使われています。
そしてこの「羹」の意味も、国語辞書だとこのように書かれていました。
魚・鳥の肉や野菜を入れた熱い吸い物。
引用元:goo国語辞書
これまた確かに「スープ」の意味とほぼ同じです。つまり「羹」も「スープ」の漢字候補となります。
因みに「羊羹」というのも、由来を辿れば「羊の肉を煮込んだスープ」という意味になります。
昔中国から日本に「羊羹」が伝わったのですが、当時の日本の僧侶は羊はおろか、肉類すら食べられなかったので、代わりに小豆に置き換えて現代と同じ「羊羹」を作ったわけです。
「羹」という漢字をよく見ると、「羊」が含まれているね
「羹」を使った熟語とは?
「羹」を使った例として、以下のように様々なスープ料理の名前があります。
- 菜羹:読みは「さいこう」、野菜スープのこと
- 清羹:読みは「せいこう」、見た目が澄んだスープ、コンソメスープのこと
- 濁羹:読みは「だっこう」、見た目が濁ったスープ、ポタージュスープのこと
「数夫」の由来は?
さて最後に紹介する漢字表記は「数夫」です。
これまでと全く毛色が違う表記です。もうおわかりかもしれませんが、これは完全な当て字です。
「数」が音読みで「スウ」、「夫」が音読みで「フ」、それぞれ「数学」とか「夫人」で用いられます。
この2つを組み合わせて、「スウ・フ」→「スープ」となったわけです。
「スープ」の中国語表記は?
これまで紹介してきたのは「スープ」の日本語での漢字表記でした。
ですが漢字だと、お隣中国での表現も気になります。調べたら結構いろいろな表現がありました。
中国ではこのように、「湯」一文字で「スープ」を意味します。日本語で言う「汁」と一緒です。
因みに朝鮮語でも同じ発音で「スープ」を意味します。
「羹」については、日本語と同じですが発音と意味が異なります。
発音は「ガァン」となり、意味は「とろみのある汁物」となります。3つ目の「焿」は、「羹」の台湾語表記です。
さらに細かい話になりますと、長時間煮込んで作ったスープは「燉(トン)」、すまし汁は「汆(ツアン)」、茶碗蒸しの器に似た容器に入れたスープは、「盅(ジョン)」という漢字をそれぞれ素材の後に付けて呼んでいます。
まとめ
今回は「スープ」の漢字表記を詳しく解説してきました。ではおさらいしましょう!
- 「スープ」を漢字で書くと「肉汁」、「吸物」、「羹」、「数夫」の4つある
- 「肉汁」の由来はスープの定義から、単なる「汁」ではない
- 「吸物」の意味はスープの定義と同じ
- 「羹」は「あつもの」とも言うが、意味はスープと同じ
- 「羊羹」の由来は「羊のスープ」から
- 中国語で「スープ」は「湯」、「羹」、台湾語だと「焿」などの表記がある
単なる「汁」ではなかったのが今回の大発見だと個人的に思いました。
中華料理でもたくさんの「羹」が出されますので、中国や台湾への旅行の際にも知っていれば役に立ちますよ。
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