海水浴をする時に気をつけなけれいけない生き物と言えば「クラゲ」ですね。
触手の生えたゼラチン質の動物ですが、中には毒を持った個体もいたりしますから本当に危険です、海水浴客の天敵とも言っていいでしょう。
でもその「くらげ」には、いくつかの漢字表記があったみたいです。
うーん、これは難しいな。なんて書くんだろう?
当て字で「九羅毛」とかじゃないかな?
たった3文字なんですが、漢字で書けと言われたらやっぱり悩みます。
ということで「クラゲ」の漢字表記とその由来を詳しく調べてみました。中国語表記も合わせて紹介しましょう!
調べたらけっこうたくさんあったみたいだよ
「くらげ」を漢字で書くとどうなる?
「くらげ」とは海水及び淡水に生息する透明でゼラチン質から成る体、及び傘部分から垂れ下がる数本の触手があり、浮遊しながら生活する生き物です。
その「くらげ」を漢字で書くとこうなります。
え、こんなに漢字があったの?
カタカナ3文字ですが、漢字に直すと3つも候補があったんです。
どうして「くらげ」の漢字表記が上の3つになるのか、それぞれの意味と由来を見ていきましょう!
「海月」と「水月」の意味と由来とは?
「くらげ」を漢字で書くと「海月」あるいは「水月」とも書きます。
これは「くらげ」が海中、及び水中を泳いでいる時の様子をそのまま喩えた表現です。
「くらげ」は半透明な見た目をしていますが、同時に丸い形を帯びています。
特に夜の月明かりに照らされた海中を覗くと、その光に照らされた「くらげ」が何体も浮遊している様子を見て、昔の人は「まるで海の中に月があるようだ」と思ったのでしょう。
つまり「海(水)の中の月」となり、「海(水)月」となったわけです。
確かに、美しい月に見えなくもないね
「水母」の意味と由来とは?
続いて「水母」の意味ですが、実はこれについてははっきりとした由来がわかりませんでした。
かろうじて有力だと言える説は、中国の晋王朝の時代に書かれた『博物志』という書物の中にあった以下の記述です。
「くらげは目がないが、海老を自分の案内として付き従っている」
後述しますが、くらげは目がない生き物です。にもかかわらずちゃんと海の中を浮遊できているのは、実は海老が付き添っているからとのこと。
正直どこまで真実かは不明ですが、海老とくらげが一緒に進んでいる様子は、この2体があたかも母子であるように見えます。
くらげが母、海老が子供、よって「水母」になったわけです。
因みにこの表記は現在でも中国語として通用します、つまり漢名となります。
ほかにもあった「くらげ」の漢字表記とは?
実は調べてみたら「くらげ」を意味する漢字表記は、ほかにもいくつかあったんです。
- 鮓
- 蚱
- 鏡虫
- 久羅下
- 久良介
調べてみたらこれだけありましたが、正直これらの表記については由来も意味もほぼ不明でした。
「鏡虫」というのは、海面に映ったくらげの姿が「鏡に映った虫」だからでしょうか。
最後の2つの「久羅下」と「久良介」というのは、完全に音だけで当てはめた当て字です。
「久羅下」については、古事記の最初の方にこの表記が出てきます。
「くらげ」の語源とは?
そもそもどうして「くらげ」という名前がつけられたのでしょうか?
「くらげ」という言葉の語源を探ってみると、いくつか説があるとされています。
まずは「くらげ」の行動から来ていまして、それはくらげが海の中を自由自在に動き回っているから。
あたかも「クラクラ浮遊している」ように見えたので、「くらげ」と名付けられたというのが一つ目の説。
もう一つは、「くらげ」に目がないことです。
「目がない」ということは、すなわち「暗(くら)い場所も関係なく動ける生き物」という意味合いから、「くらげ」と付けられたという説です。
様々なクラゲ種を漢字で表記!
「くらげ」は「くらげ」でも、世の中には様々なくらげ種があります。
そこで代表的な「くらげ」の種類をそれぞれ漢字で表記してみました。
- ミズクラゲ:「水海月」、日本近海で最も普通に観察できるくらげ、ヨツメクラゲとも呼ばれる
- カミクラゲ:「髪海月」、多数の細長い触手が髪の毛を連想させることから付いた
- アンドンクラゲ:「行灯海月」、お盆過ぎに日本近海によく現れる、海水浴客への被害が多い
- ハナガサクラゲ:「花笠海月」、傘の模様や色が美しく泳ぎの美しさが花笠踊りに喩えられたから
- アカクラゲ:「赤海月」、赤い色を呈しているから付けられた
- カツオノカンムリ:「鰹冠」、鰹の群れと一緒に見つかることから付けられた
「くらげ」の中国語は「水母」だけじゃない?
さて日本語での漢字表記を解説してきたので、ここからは中国語で「くらげ」をどう表現するか見ていきましょう。
実は中国語では前述したように「水母」という表記が既にあります。しかし中国語での「くらげ」もそれだけではなく
という表記もあったんです。
発音は「ハイヂェー」、2文字目の「蜇」は「刺す、しみる」という意味があります。
「海に生きる人を刺す生き物」という意味合いがあり、確かに「くらげ」の意味に合っています。
中華料理でも「くらげ」は酢の物や和え物で人気があるんだよ
まとめ
以上「くらげ」の漢字表記の紹介でした。それでは今回の内容をまとめましょう!
- 「くらげ」を漢字で書くと「海月」と「水月」と「水母」の3つある
- 「海(水)月」の由来は、くらげが月のように見えるから
- 「水母」の由来は、中国の古典から
- 「くらげ」には「久羅下」、「久良介」といった当て字もある
- 「くらげ」は中国語で「海蜇」
満月に照らされた「海月」、それは凄く幻想的な光景になることでしょう。
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