突然ですが空から降ってくるものといえば皆さん何を想像しますか?

もちろん大半の人は雨か雪だと答えるでしょう。それ以外で空から降る物体はあまり考えにくいと言えます。





しかし滅多に起こることではありませんが、時々ゴルフボールくらいの大きさの氷の塊が降ってくることがあります。これはひょう(雹)という物体ですが、一体なぜこれほど大きい氷の塊になるのでしょうか?

また他にもあられ(霰)やみぞれ(霙)といった似たような物体があります、どれも空から降る氷状の物体という点では共通しています。


特に夏の時期は急な天候の変化で、バラバラという大きな音を立てて氷の粒が落下しているのを見かけることがあります。

一体なぜ暑い時期に空から氷が降ってくるのか、凄く謎ですね!?雪とは違って降ってもすぐ溶けますが、大きさや固さ次第では車のボンネットに傷がついたりして決して無視できる被害とは言えません。

あられ・ひょう・みぞれ、これら3つの違いについて今回は詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください!
 

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あられ・ひょう・みぞれの違いとは?



あられ・ひょう・みぞれ



これら3つは漢字でそれぞれ、霰・雹・霙とも書きますが、どれも空から降ってくる冷たい固形物です。

それぞれの定義の違いを一言で簡単に解説すると、以下のような感じになります。

  • あられ(霰)は空気中の水滴が過冷却状態のままぶつかり続けて大きくなった氷の粒子、大きさは直径5mm以下
  • ひょう(雹)は上昇気流に乗った氷の粒子が上昇と下降を繰り返してさらに大きくなった氷の塊、大きさは直径5mm以上
  • みぞれ(霙)は上空1500m付近の気温が-6~-3℃の時に降る、雪になる手前の物体

日本の天気予報ではそれぞれ以下のような記号で表せます。



この中で冬に降る雪の仲間としてはみぞれが該当します。みぞれとはわかりやすく言えば、雪になる一歩手前の状態で、雨交じりの雪という表現がよく当てはまります。

しかしこれ以外のあられとひょうに関しては、実は大きさだけが違っているようですが、発生の仕組みや時期なども似ていてちょっとややこしいですね。

そこで次からは空から雨や雪が降る仕組みなど基本的な部分から、細かく解説していきます。

雨や雪はなぜ降るのか?

そもそも空からなぜ雨や雪が降ってくるのでしょうか?

雨や雪を降らすのはご存知雲ですが、その雲はどういった過程で成長するのかについてまず解説していきます。

みなさんが想像する雲というのは空の上に浮かんでいる白い水蒸気の塊というのが大半でしょう。しかし実際は空に浮かんでいるのではなく、1秒間に1cmのペースで地上に向かって落下しているのです。


ではなぜ地上に落ちてこないのかというと、上昇気流があるためです。上昇気流によって雲の粒を下から支えていることで雲があたかも空に浮かんでいるように見えるだけです。

ただしいくら上昇気流が強いからと言っても、雲を構成する微粒子が大きくなれば地上に落ちてきます。

地上にある大量の水蒸気が上昇気流で雲の周りを大量に囲んだ時、雲の粒子が水蒸気を取り込んで大きくなった粒が雨や雪となります。大きくなりすぎると上昇気流でも支えきれなくなるので、地上に落下するという形になります。


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雲の粒が雨粒へと成長する過程とは?

空から降ってくる雨に関しては2種類に分類されます、その2種類とは暖かい雨と冷たい雨です。

暖かい雨というのは水の粒だけで出来た雲から降ってくる雨で、南の海でよくみられる現象です。その発生のメカニズムは主に以下の流れになります。

  1. 太陽光で暖められた海水が蒸発して、上昇気流で雲を形成する
  2. 海の上で漂う塩の粒子とぶつかって吸着して地上に落下する
  3. 落下する水の粒が周辺の水蒸気と衝突しながらどんどん大きくなって降り注ぐ

これが暖かい雨の降り方になります。

一方で冷たい雨を降らす雲は氷の粒からなり、氷の粒が地上に落下する途中で溶けて落下したのが雨となります。

地上よりも上空の方が気温が低いというのはよくご存じだと思いますが、具体的には高度が1000m上がるごとに大気の温度が約6.5℃低くなります。地上が30℃以上あったとしても、上空5000m付近では気温が0℃以下になります。

垂直方向に高く成長する雲は積乱雲で夏の時期によく見られますが、上空に行けば行くほど0℃に近づいて氷の粒ができやすくなります。しかし0℃以下になったからと言ってすぐに氷になるわけではありません。

実は氷の結晶が育つにはある程度の水分子同士が結合しないといけないわけですが、水の粒が小さすぎると氷の結晶にまで育たないのです。中には氷点下を下回っても水の状態のまま維持している粒もありますが、これを過冷却水滴と呼びます。

この過冷却水滴と呼ばれる水の粒が、今回のテーマとなっているあられとひょうを生成する鍵となっています。


 

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あられ・ひょうが生成する過程とは?

まずはあられ(霰)とひょう(雹)が発生する過程について述べましょう!

過冷却水滴が氷になる温度はマイナス33℃以下とされています。

積乱雲は上空高くまで成長しますが、一番高い部分ではこのくらい気温が下がっているので氷の粒が成長しやすく、最終的には雪となって地上に降り注ぐわけです。

 
積乱雲の中には過冷却水滴がたくさん存在しているので、雪のまわりにたくさんの過冷却水滴が付着します。そうすると大きな氷の塊となって重さが増し地上に落下するのですが、これがあられと呼ばれる物体です。

ただしあられが何度も上昇気流に乗って上層に戻されることがありますが、その度に過冷却水滴が付着してあられが大きくなります。この過程で直径5mm以上に成長して地上に落下するのがひょうとなります。

あられもひょうも氷の粒であることは共通しています、そして降った時にパラパラと大きな音をたてているのが特徴です。

記録が残っている世界最大の雹は1917年6月29日に埼玉県に降ったカボチャ大のひょうと言われていて、直径は約30cmもあったそうです。

さすがにカボチャ大まで成長するのは稀ですが、一般的にひょうはかなりサイズが大きく重いです。

当たると大けがをするリスクが大なので、天気予報でひょうが降るおそれがあると聞いたら、できるだけ外出は控えるか早めに帰宅しましょう!


あられは2種類ある?

あられに関しては降った時の状態でさらに2種類に分けられます。

  • 雪あられ
  • 氷あられ

の2つですが、この2つはどちらも観測データ的にはあられになりますが、違いとしては

  • 雪あられは白く柔らかいあられで、冬に降りやすく、天気予報では“雪”で分類
  • 氷あられは半透明でやや硬い氷の粒で、ひょうと同じように初夏に降りやすく、天気予報では“雨”で分類

となります。

豆知識になりますが、覚えておいて損はないでしょう。

みぞれとは何か?

あられとひょうに関しては同じ氷の粒ですが、その違いは大きさだけです。しかしもう一つ似たような言葉としてみぞれ(霙)というものがあります。

霙というのは簡単に言えば雪と雨が混ざったものです。天気予報では霙のことを「雨また雪」、「雪または雨」という曖昧な表現をしますが、これは霙を予報することが難しいということが理由となっています。

改めて言いますが、みぞれとあられは全く別物です。見た目は同じ氷状でも気象学的に正しく違いを述べるなら、みぞれは雨と雪が混ざったもので、あられは直径5mm未満の氷の粒ということになります。


雨も同時に降っているので雪が溶けかかっていますから、降った時にビシャビシャという音を立てていればみぞれだと判断できますね。

みぞれは雪と雨が混ざったものということで基本的に冬にしか見られない現象です、そのため気象観測の分類上は雪と同じ扱いとなります。

それに対してあられやひょうは積乱雲の発生が多い夏季に多い現象です。ただし地表の気温が高すぎると完全に雨になるので初夏の5~6月頃に最もよく見られます。
積乱雲の発生の原因や時期を解説! 入道雲との違いは何?

まとめ

以上あられとひょうとみぞれの違いについて詳しく説明してきました、3文字とも似ていますが明確な違いがあることがわかったと思います。

今回の内容をわかりやすく簡潔にまとめるなら、

  • あられは空から降る氷の粒で、初夏に降る氷あられと冬に降る雪あられの2種類ある
  • ひょうは空から降る巨大な氷の塊で、積乱雲が発生しやすい初夏に降りやすい
  • みぞれは冬の時期に降る雪交じりの雨、観測データ上は雪と同じ

となりますね、参考になりましたら幸いです!


もし余裕があれば外に出て降った氷の粒を実際に見てみましょう。

大きさ次第であられかひょうか、さらに季節なども考えてみぞれなどを当てられれば、あなたは気象学者としてのセンスがあるかもです!

もちろん天気が晴れた後でしてくださいね(;^^)
 

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